2008年、突如ネットフォーラムに現れた「サトシ・ナカモト」という謎の研究者がビットコイン(BTC)の構想を論文として発表しました。ビットコイン(BTC)は「P2P(Peer to Peer)」方式によって管理者不在で動作する新しい通貨として、翌2009年にリリースされました。紙幣などの実物がないピュアな「情報(データ)」であるビットコイン(BTC)の取引は「ブロックチェーン」という技術によって管理されます。「ブロックチェーン」は世界各地に散らばる「ノード」によって取引履歴を記録する台帳が分散管理されていることから、分散型台帳技術と呼ばれるようになりました。この方式を採用することで、悪意のあるユーザーによる過去の取引履歴の改ざんが困難になっています。今後、ブロックチェーンは暗号資産(仮想通貨)だけでなく、日常のさまざまなところにも応用されていくことが期待されています。ビットコイン(BTC)はその先駆者といえるでしょう。
通貨記号 | BTC |
提唱者 | Satoshi Nakamoto |
発行上限 | 2100万枚 |
認証方式 | Pow |
ハッシュアルゴリズム | SHA256 |
発行日 | 2009年1月3日 |
ビットバンク取扱開始 | 2017年3月1日 |
公式サイト | https://bitcoin.org |
ホワイトペーパー | https://bitcoin.org/bitcoin.pdf |
ソースコード | https://github.com/bitcoin |
ビットコイン(BTC)の特徴はブロックチェーンを活用したセキュリティの高さと、2100万ビットコイン(BTC)という固定された供給量にあります。また創設者のサトシ・ナカモト氏が現在開発に関わっていないというユニークな点があります。 ビットコイン(BTC)は世界で初めて非中央集権のネットワーク上で希少性があるデジタル通貨の生成に成功した例に挙げられます。一度取引が記録されると書き換えることはできなくなり、ダブル・スペンディングを限りなく不可能にした堅牢性により価値を生み出しました。昔の人は文字や歴史を石や本に記録していましたが、ビットコイン(BTC)のデータはネットワーク上で管理され、ユーザーがいつでも確認できる仕組みになっています。 サトシ・ナカモト氏は開発の初期にメール上で他の開発者とやり取りをしていますが、実際にどのような人物であったのかはいまでも謎に包まれています。ビットコイン(BTC)が他の暗号通貨(仮想通貨)と違う点は、創設者が開発から離れてもネットワークが機能している点にあります。このような開発方針も非中央集権のネットワークならではといえます。
ビットコイン(BTC)はデジタルのお金でインターネット上に存在するため、普段使っている紙幣とは異なる特徴があります。まずビットコイン(BTC)の供給量は決まっているため価値の保存機能があり、貯金に適していると考えられています。 中央銀行が発行する紙幣は時の経過とともに供給量が増やされインフレする傾向があり、紙幣の価値は減り続けています。ビットコイン(BTC)を保有する人の中にはインフレに対するヘッジとして保有する人も増えてきています。今まではインフレに対するヘッジとして金を保有する人が多くいましたが、金は持ち運びに不便で管理費用が高いという欠点がありました。その点ビットコイン(BTC)はブロックチェーン上に記録されているため管理コストはほぼかかりません。またビットコイン(BTC)をコールドウォレットなどで保管することで、持ち運びなども容易にできます。 ビットコイン(BTC)はアドレスを作成することで誰でも簡単に使用することができるため、世界中で利用が可能という利点もあり、今後、利用する人が増えるとさらに利用できる場所が増えると予想されてます。あらゆる紙幣やモノと交換または変換できるという点を好む人も多くいます。
ビットコイン(BTC)の課題で最も多く挙げられるのがスケーラビリティです。スケーラビリティ問題とも言われ、トランザクションの処理をどう効率化していくという議論が長年に渡り行われてきました。ビットコイン(BTC)の処理能力は1秒間に7トランザクションとされています。 ビットコイン(BTC)はブロックチェーンを活用した分散型のネットワークであるため、高いセキュリティを誇る一方、トランザクションの処理が遅いという欠点があります。 スケーラビリティ問題の解決策として挙げられているのは大きく分けて3つあり、ネットワークを改良し効率化される方法、セカンドレイヤーを活用する方法、ブロックサイズを引き上げる方法があります。 特にライトニングネットワークと呼ばれるセカンドレイヤーを構築するプロジェクトが最も注目されています。ビットコイン(BTC)は今後プロトコルのアップデートも予定されており、ネットワークの効率化も見込まれています。スケーラビリティ問題がきっかけとなりハードフォークを行い誕生したビットコイン・キャッシュは、ブロックサイズを引き上げるという解決方法を選びました。 歴史的にみても、多くの議論を巻き起こしてきたスケーラビリティ問題はビットコイン(BTC)最大の課題とされています。
ビットコイン(BTC)の仕組みとして重要なのが取引データがチェーン状に組み込まれるデータ構造にあります。取引データはブロック毎に分けられ、このブロックがチェーン状に繋がっているためブロックチェーンと呼ばれています。ブロックはそれぞれマイニングを行うことでブロックチェーンに追加されていきます。すでに追加されたブロックを書き換えるためには同様のマイニング作業を行う必要があります。管理者が存在しないため悪意を持ったマイナーがデータを書き換えることは可能です。 しかしネットワーク上の参加者の過半数が悪意のない参加者である限り、ブロックチェーン上にあるデータが書き換えられることはありません。またビットコイン(BTC)の仕組み上、正しくマイニング作業を行ったほうが安全に報酬または利益を得ることができるため、データを書き換えようとするインセンティブが低く抑えられています。 ビットコイン(BTC)のブロックチェーンは運用開始からデータが書き換えられたことはなく、最も安全な非中央集権のネットワークであると考えれています。
ビットコイン(BTC)の発行量は2100万ビットコイン(BTC)にプログラムによって設定されており変更されることがありません。発行上限を設定することでデータに希少性価値を生み出しています。オンライン上のデータは容易にコピーすることができますが、ビットコイン(BTC)はブロックチェーンを使うことでコピーをほぼ不可能にすることに成功しました。 ビットコイン(BTC)の発行はマイニングと呼ばれる演算作業によって行われ、マイニングに成功すると報酬としてビットコイン(BTC)が新規に発行されます。報酬として発行されるビットコイン(BTC)の数量は4年に一度半分になります。これは半減期と呼ばれています。 ビットコイン(BTC)が最初にマイニングされた2009年当時のマイニング報酬は50BTCでした。その後、4年毎に報酬は半減され、2020年に4回目の半減期を迎え6.25BTCに設定されました。 2020年5月の半減期時点で約1830万BTCが発行済みとなり、総発行量の89%がマイニングされました。12年後の7回目の半減期を迎えるころには99%のビットコイン(BTC)が発行済になる予定です。
ビットコイン(BTC)は改ざんが困難なブロックチェーン上に台帳が記録されるデジタルのお金としての価値が認められ始めており、その台帳の正当性をだれでもオンライン上で確認することができることから、信用を必要としない新たな金融システムとしての将来性を秘めています。 従来の金融システムではお金を銀行などの金融機関に預ける際、利用者は相手を信用する必要があり不正を外部から見抜きにくいという点をビットコイン(BTC)は改善することができると期待されています。 さらにビットコイン(BTC)はインターネットが発展したようにネットワーク上に様々なアプリケーションが走ることによって多様なサービスが構築されると予想されており、将来性は無限に広がっています。 ビットコイン(BTC)のブロックチェーン以外と連携するアプリケーションなども開発されており、時間の経過と共にお金としてのユーザービリティが進化する点にも注目です。