スイ(SUI)は、高速な処理性能と高いスケーラビリティを備えたレイヤー1ブロックチェーンです。オブジェクト指向のデータモデルによりトランザクションの並列処理が可能で、Move言語を基盤とした安全かつ柔軟なスマートコントラクト開発環境を提供しています。SUIは、ネットワークのセキュリティを支えるステーキングや、ガバナンス投票、トランザクション手数料の支払いなどに使用できます。
通貨記号 | SUI |
発行者 | Mysten Labs |
発行上限 | 10,000,000,000 SUI |
承認方式 | DPoS |
発行日 | 2023年4月12日 |
ビットバンク取扱開始日 | 2025年8月14日 |
公式サイト | |
ホワイトペーパー | https://docs.sui.io/paper/sui.pdf |
ソースコード |
2021年:プロジェクトの構想とMysten Labsの設立
Meta(旧Facebook)の「Diem」プロジェクトに携わっていたエンジニアたちが、米シリコンバレーでMysten Labsを創業し、高性能なレイヤー1ブロックチェーンの構想を開始しました。資産管理に特化したモデルとして、Move言語を拡張した「Sui Move」の開発も提唱されました。
2022年:ホワイトペーパーの公開とSui Foundationの設立
技術設計をまとめた「Sui Smart Contracts Platform」およびトークンエコノミクスに関するホワイトペーパーが公開されました。同年には、研究開発とエコシステム支援を目的とする非営利団体「Sui Foundation」が設立されました。
2023年:メインネットのローンチ
2023年5月3日、スイのメインネットが正式に稼働を開始しました。SUIの発行およびステーキングが始まり、高速かつ低遅延なトランザクション処理が本番環境で実現されました。
2024年:USDCの対応とプロトコル機能の拡張
CircleのCCTP(Cross-Chain Transfer Protocol)を通じてネイティブUSDCがローンチされ、ドル建ての流動性が本格的に拡大しました。あわせて、zkLoginにAppleアカウントとの連携機能とマルチシグによるリカバリー機能が実装され、Web2ライクなユーザー体験がさらに強化されました。
スイは、高速かつ安全に利用できる分散型アプリケーション(dApp)プラットフォームの実現を目指しています。
スイは、従来のアカウント残高型モデルではなく、オブジェクト指向のデータモデルを採用しています。スマートコントラクトは、Rustをベースに拡張されたMove言語(Sui Move)で記述されており、各オブジェクトには、所有権・可変性・型安全性が厳密に紐付けられています。
この設計により、NFTやゲームアイテムといった複雑な状態遷移を伴う資産を、安全かつガス効率良く扱うことが可能となります。また、トランザクション間の依存関係が明確になるため、並列実行が容易となり、処理効率の向上にも寄与します。
その結果、スイは「高スループット × 低レイテンシ」という優れたユーザー体験を実現しています。
スイのトランザクション処理は、メモプール層の「Narwhal」とコンセンサス層の「Bullshark」という二層構造に分かれています。
Narwhalは、トランザクションをDAG(有向非循環グラフ)としてネットワークにブロードキャストし、データの可用性と順序保証を提供します。
一方、Bullsharkは、そのDAG構造を利用し、リーダーレス方式でブロックのファイナライズを行います。
このように処理層を分離した設計により、依存関係のないオブジェクトの更新は、コンセンサスを経ることなくローカルで即時に確定でき、依存関係のある処理においても高い並列性が維持されます。
その結果、スイは、数十万TPS規模のスケーラビリティと秒単位のファイナリティを両立する、高性能な実行環境を実現しています。
スイは、ゼロ知識証明を応用した認証プリミティブ「zkLogin」を公式に提供しており、Google・Facebook・Appleなどの既存のWeb2アカウントを用いて、ウォレットを持たずにdAppへアクセスできる仕組みを実現しています。
2024年のアップデートでは、Apple IDへの対応およびマルチシグによる鍵の復旧機能が追加され、ユーザーの鍵管理に伴うハードルが大幅に軽減されました。
さらに、スイはプロトコルレベルで「Sponsored Transaction」を実装しており、dApp提供者がユーザーに代わってガス代を負担することが可能です。これにより、ユーザーはガス残高がなくてもトランザクションを実行できます。
これらの機能が組み合わさることで、スイはWeb2に近い直感的かつスムーズなオンボーディング体験と、継続的な利用を促す高いユーザビリティを実現しています。
SUIは、ネットワークセキュリティを維持するために使用できます。
具体的には、SUIの保有者は、自身が保有するSUIをバリデーター(検証者)にデリゲート(委任)し、ステーキングを行うことが可能です。
バリデーターは、ブロックの生成やトランザクションの検証を担当し、その対価として報酬を得ます。得られた報酬の一部は、SUIをステーキングした保有者にも分配されます。
SUIは、プロトコルの変更やネットワークの運営方針に関する意思決定に使用できます。