イーサリアム(ETH)とは「分散型のアプリケーション(dApps) 」や「スマートコントラクト」を動かすためのプラットフォームで、オープンソースで開発が進んでいるプロジェクトです。
イーサリアム(ETH)の大きな特徴である「スマートコントラクト」は、さまざまな契約をブロックチェーン上で契約・締結できる仕組みです。「スマートコントラクト」によって、今までは各種機関が認証していた多くの人手を必要とする手続きを自動化することが可能になります。また、契約・締結の結果をブロックチェーンに取り込むことで改ざんが困難になることから、非常に汎用性の高いプラットフォームであると言われています。
通貨記号 | ETH |
提唱者 | Vitalik Buterin |
発行上限 | 無し |
承認方式 | POS |
ハッシュアルゴリズム | Keccak-256 |
発行日 | 2014年 |
ビットバンク取扱開始日 | 2017年7月12日 |
公式サイト | |
ホワイトペーパー | |
ソースコード |
イーサリアム(ETH)はスマートコイントラクト機能を搭載した、分散型のオープンソースブロックチェーンです。ネットーワーク上の通貨の単位は「ETH(イーサ)」となります。
イーサリアム(ETH)誕生の歴史は 2013年にビタリック・ブテリン氏が発表したホワイトペーパーから始まり、プロジェクト自体は翌 2014年 1月に北アメリカ・ビットコイン・カンファレンスにて正式に発表されました。同年 8月には、イーサリアムと、関連する技術開発をサポートする「イーサリアム財団」が設立されました。
プロジェクトのファンディングは、2014年当時ではまだ珍しかったICO(イニシャル・コイン・オファリング)でビットコイン(BTC)を公募する形で行われ、開始から僅か12時間程度で3,700ビットコイン(BTC)以上(当時のレートで約230万ドル)を調達し、業界内で大変注目を集めました。
イーサリアム(ETH)は単に仮想通貨の送受信のみを目的としておらず、分散型アプリケーション(dApps)の開発プラットフォームになることを主な目的としており、スマートコントラクトを利用することによりプラットフォーム上で別のデジタルレジャー及びトークンを発行することができます。
2017年から2018年にかけては、ICOブームを切っ掛けにイーサリアム(ETH)を利用したプロジェクトが濫立したことで数多くのアルトコインが生まれました。2019年を通しては、こうしたブームも一旦落ち着きを見せましたが、2020年に入るとイーサリアム(ETH)を利用したDeFi(分散型金融)アプリケーションの人気が台頭し、再び注目を集めました。
イーサリアム(ETH)の一つの大きな特徴は、スマートコントラクト機能が備わっていることです。
スマートコントラクトとは、コンピューターサイエンティストのニック・スザボ氏が90年代に提唱したデジタル方式のコントラクト(契約)のことで、事前に当事者の間で定められた条件が満たされると自動的に契約内容を実行するプログラム、またはトランザクション・プロトコルのことを指します。
条件を満たされることで契約内容が自動で実行されることから、スマートコントラクトでは取引仲介者を必要とせず、当事者同士のみで取引を行うことができます。これにより、相手の素性がわからないインターネット上でもトラストレスに取引を行うことができることも、スマートコントラクトの特徴です。
イーサリアム(ETH)ではこのスマートコントラクトを利用して、分散型のアプリケーション(dApps)を構築することができ、現在稼働している様々な dApps がイーサリアム(ETH)上で作られています。
また、イーサリアム(ETH)のスマートコントラクト機能は様々な企業からも注目を集めており、2017年にはイーサリアム(ETH)の企業利用を推進する、Enterprise Ethereum Alliance(EEA)が設立され、サンタンデールやJPモルガンなどの著名な企業が参画しています。
dAppsとは分散型アプリケーションの略で、非中央集権型ネットワーク上でスマートコントラクトを駆使して構築されたアプリケーションの総称となります。
dAppsとイーサリアム(ETH)は切っても切り離せない関係にあります。そもそも、イーサリアム(ETH)のホワイトペーパーを作成したビタリック・ブテリン氏は、ビットコイン(BTC)にはアプリ開発用のスクリプト言語が必要だと提案しましたが、コミュニティーから同意を得ることができなかった背景があり、これを実現するための汎用性の高いスクリプト言語と、それを実装するプラットフォームであるイーサリアム(ETH)を考案しました。
ビットコイン(BTC)は暗号資産(仮想通貨)とブロックチェーンの先駆けとなりましたが、イーサリアム(ETH)はスマートコントラクトとdAppsの先駆けと言えます。
現在はイーサリアム(ETH)のスマートコントラクトを駆使して、様々なdAppsが実装されており、代表的な物にはステーブルコインのDAI(ダイ)や、分散型予測市場のAugur(オーガー)などがあります。
イーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)は暗号資産(仮想通貨)の中でも最も人気のあるコインです。時価総額ランキングではビットコイン(BTC)が1位、イーサリアム(ETH)2位になっています。仮想通貨へ投資する際にはまずこの 2つが対象になります。
2つの仮想通貨には大きな違いがあり、それは発行上限です。ビットコイン(BTC)は発行上限が2100万ビットコイン(BTC)であるのに対しイーサリアム(ETH)には発行上限はありません。イーサリアム(ETH)はスマートコントラクトを使ったワールドコンピューターを目指しているため、発行上限が設けられていません。
イーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)のマイニングアルゴリズムにはプルーフ・オブ・ワーク(POW)が採用されていますが、イーサリアム(ETH)は主に GPU 機器を用いてマイニングされます。ビットコイン(BTC)はASICと呼ばれるマイニングに特化したコンピューターが使われます。
イーサリアム(ETH)はネットワーク上にアプリケーションを走らせ様々な用途で利用できる仮想通貨を目指しています。多くのユーザーが利用しやすい仕様になっています。ビットコイン(BTC)はよりセキュリティに特化した作りになっており、保管や送金などのシンプルな利用方法が主な役目になります。
イーサリアム(ETH)とイーサリアムクラシック(ETC)は元々同じブロックチェーンを共有していましたが、ハッキング事件をきっかけに分岐し別の仮想通貨となりました。創業者であるビタリック・ブテリン氏が開発を続けるイーサリアムが本家と表現されることが多々あります。
イーサリアムクラシック(ETC)はイーサリアム(ETH)の分家と表現されクラシックとも呼ばれるますが、実は元々のブロックチェーンを継承しているのはイーサリアムクラシック(ETC)の方です。DAOハック事件と呼ばれるアプリケーションの脆弱性を利用したイーサの不正流出が発生した際、イーサリアム(ETH)はブロックチェーンを巻き戻し、ハッキング自体をなかったことにしました。
ブロックチェーンを巻き戻す際にイーサリアム(ETH)はハードフォークを行っています。一方、イーサリアムクラシック(ETC)はそのままのブロックチェーンを運用し続けたため、ハッカーのアドレスには大量のイーサ(ETC)が残ったままだったことが確認されています。
不測の自体が起きても極力ハードフォークを行わない方針を貫いたのがイーサリアムクラシック(ETC)でした。2つの仮想通貨はハッキングが起きた際の対処方法が明確に異なり、その後の開発方針も違いが生じる結果になりました。
ハードフォーク後の仮想通貨時価総額ランキングなどをみると、常にイーサリアム(ETH)がイーサリアムクラシック(ETC)の上位に位置しており、ユーザーはイーサリアム(ETH)の方をより支持していたことがわかります。
イーサリアム(ETH)の課題として最も挙げられるのがネットワークの効率性です。イーサリアム(ETH)はそのネットワーク上で無数のアプリケーションを走られることができるプラットフォームです。イーサリアム(ETH)の創業者はワールドコンピューターを作ることを目標に掲げています。
イーサリアム(ETH)は非中央集権のネットワークであることから、誰でもアプリケーションを走らせユーザーへサービスを提供することができます。カルダノ、EOS、ネムなどアプリケーションを走らせることができる機能を持つ仮想通貨は多く存在しますが、最も多くのユーザーを抱えるのがイーサリアム(ETH)です。
アプリケーションはゲーム系アプリから金融サービス、不動産などをトークン化することができるものなど様々あります。特にゲームや金融は多くの需要が見込まれており、日々新たなアプリがローンチされています。
多くのユーザーを抱えるイーサリアム(ETH)ですが、利用量が増えすぎるとネットワークの処理が追いつかないといった課題があります。この課題を解決するためにネットワーク効率を向上させる施策が今後控えています。それがセレニティと呼ばれるイーサリアム(ETH)の開発の最終段階にあたるプロジェクトです。
セレニティではマイニング・アルゴリズムが変更されることが決まっており、アップデートによりネットワーク効率は飛躍的に伸びるとされています。ネットワーク効率が上がると手数料も安価に抑えることができるため、ユーザーの数はさらに伸びると予想されています。
イーサリアム(ETH)のマイニング方式にはビットコイン(BTC)と同様のプルーフ・オブ・ワーク(POW)が採用されています。POWではマイナーが演算することでブロックを生成します。生成されたブロックがネットワークに承認されるとブロックチェーンに追加されます。POWはブロックチェーンを運用する上で最もセキュリティが高いとされており、仮想通貨には一般的に使われているマイニング・アルゴリズムです。
ハッシュレートが高いネットワークには 51%攻撃を仕掛けることが非常に困難になるため、POWには 2重支払いを防ぐ狙いがあります。一方でマイナーへの負担が多くなったりネットワーク効率が低くなるという点が課題として挙げられることもあります。
ネットワークの効率を上げるためイーサリアム(ETH)の開発者は今後、マイニング・アルゴリズムをPOWからプルーフ・オブ・ステーク(POS)に変更することを決定しています。POSに変更されるとマイナーの演算作業が不要になり、ユーザーがコインをステークすることで新規のブロックが発行されるようになります。
マイニング方式の変更は大きなネットワークの大きなアップデートとなるため、慎重に開発が進められています。2021年に最新のソフトウェアがリリースされる予定です。イーサリアム(ETH)のような時価総額が高い仮想通貨がマイニング方式を変更した例は今までないため注目が集まっています。
イーサリアム(ETH)はネットワーク上にアプリケーションを走らせることができるプロジェクトです。アプリケーションの種類はゲームができるものからレンディングなどの金融関連サービスまで幅広く存在します。このアプリケーションの発展がイーサリアム(ETH)の将来を左右するといっても過言ではありません。
最近では特にイーサリアム(ETH)では金融系のアプリケーションに注目が集まっており、多額の金額がネットワーク上に集まってきています。金融系アプリケーションはDeFiとも呼ばれ2020年の始め頃から資金が徐々に集まるようになり、市場の話題の中心にまで成長しました。仮想通貨は通常、金利などがつかないコモディティに近い存在でしたが、レンディングに出すことで金利収入を得ることも可能になりました。
イーサリアム(ETH)にとってアプリケーションは大きな意味を持ちますが、ユーザーが増えすぎるとネットワークが混雑し手数料が高騰するというリスクも同時に抱えています。手数料が混雑した際には1回の手数料が数千円にまで上昇したこともありました。
ネットワーク性能を上げるために開発者はイーサリアム(ETH)の大幅なアップデートを予定しており、今後の開発状況もイーサリアム(ETH)の将来に関わってきます。マイニングアルゴリズムを変更する計画もあり、ネットワーク性能は飛躍的に伸びるとされています。アプリケーションの発展とネットワーク性能の向上がイーサリアム(ETH)の将来の決め手となるでしょう。