暗号資産(仮想通貨)とは?暗号資産の意味やメリット・注意点を紹介!まずは少額から
1.暗号資産とは?
暗号資産とは、インターネット上で取引を行う「財産的価値」のことです。日本では、資金決済に関する法律によって3つの性質を持つものが暗号資産として定められています。
1つ目の性質は不特定の者が代金の支払いなどに使用でき、かつ法定通貨(日本円やドルなどの総称)と相互交換できること、2つ目は電子的な記録・移転ができること、3つ目は法定通貨または法定通貨建ての資産ではないことです。これらを満たす代表的な暗号資産には、ビットコインが挙げられます。銀行などを通さずに財産的価値の取引ができるとして、幅広い世代から注目を集めています。
暗号資産を取引する場合、交換所や取引所など暗号資産交換業者が運営する場において入手や換金を行うのが一般的です。金融庁や財務局の登録を受けた業者だけが暗号資産の入手・交換を認められているため、取引を希望するならまず利用する暗号資産交換業者を決める必要があります。なお、暗号資産は国などが発行する円やドルといった法定通貨ではありません。インターネット上でやり取りすると聞くと電子マネーをイメージする人も多いでしょうが、電子マネーは決済手段が電子化されただけであり、支払い自体は法定通貨で行われるため暗号資産とは別物です。
法定通貨ではない暗号資産は価値が保証されておらず、市場の需給バランスによって大きく価値が変動することもあります。大きなリターンが期待できる一方、リスクも高くなる可能性があるため注意しましょう。
2.暗号資産と「仮想通貨」は同じ?
インターネット上で取引される財産的価値といえば、まず仮想通貨をイメージする人が多いのではないでしょうか。実は、仮想通貨は暗号資産と同じものです。金融庁は2018年に、当時一般的に使われていた「仮想通貨」という呼び名を2020年5月より「暗号資産」に改めると発表しました。
呼び名を改めたのは、仮想通貨が円やドルなどの法定通貨と混同されることを懸念したためと、世界的な動向に合わせるためです。世界でも従来は仮想通貨を示す「Virtual Currency」や暗号通貨を示す「Cryptocurrency」などが使われていたのですが、国際会議では暗号資産を示す「Crypto asset」が使われるようになりました。
日本もこれにならって、仮想通貨ではなく暗号資産として呼ぶようになりました。呼び名が変わっても仮想通貨を意味することは変わらないため、暗号資産は仮想通貨のグローバルな呼び名とも言えるでしょう。
3.代表的な暗号資産
暗号資産と言っても、その種類は実に豊富です。まず、「ビットコイン」と、ビットコイン以外の暗号資産の総称である「アルトコイン」の2種類に分けられます。
ビットコインは暗号資産の先駆けであり、2008年にサトシ・ナカモトという人物が発表した論文をもとにプログラムが実装され、2009年にインターネット上で運用が開始されました。アルトコインはさらに個別の暗号資産に分かれており、メジャーなものからマイナーなものまで含めれば、その数は世界で2000種類以上にも達すると言われるほどです。
法定通貨と違い、関係する者どうしが価値を認めれば取引が成立する暗号資産は、比較的誕生しやすいのでしょう。今では「イーサリアム(ETH)」「リップル(XRP)」「ネム(XEM)」など、ビットコインに次ぐ人気を誇る暗号資産も登場しています。
4.暗号資産を管理する技術「ブロックチェーン」とは
暗号資産を語る上で外せないのが「ブロックチェーン」の存在です。ブロックチェーンは、過去から現在まで続くすべての取引履歴を1本の鎖のように連携させ、正確な取引履歴を維持する技術のことです。
取引履歴を「トランザクション」、複数のトランザクションをまとめたものを「ブロック」と呼び、ブロックを鎖のようにつなげて保存したものを「ブロックチェーン」と呼びます。ブロックチェーンはさまざまなユーザーのコンピューターに分散して保存されており、ユーザーどうしが管理し合う台帳のようなものです。
どこかの機関が一元管理しているわけではないためデータの改ざんや破壊が難しく、一部のコンピューターに障害が起きてもシステム全体が影響を受ける心配がありません。これにより、暗号資産取引の正当性が守られているのです。
5.暗号資産を保有するメリット
暗号資産が投資先として人気を集める理由は、さまざまなメリットが期待できるためです。次は、具体的にどのようなメリットが得られるのか見ていきましょう。
5-1.国など外部機関の干渉なしに取引できる
暗号資産は法定通貨と違い、政府や中央銀行のコントロールを受けません。ユーザー同士が取引を監視し合い、中央集権化を防ぐことも可能です。外部機関や一部のユーザーの干渉を受けることなく取引できるため、国境などにかかわらず世界中どこでも同じ価値を保てます。
つまり、自分が保有する資産を完全に自分で管理できるのです。海外の誰かに送金する際も銀行などを通す必要がないため、手数料が安く済むだけでなく、スピーディな送金が可能になります。余計な手間をかけず柔軟な取引が可能になる点は、暗号資産の大きなメリットになるでしょう。
5-2.両替不要の世界共通通貨
通常、海外で日本円を使うには、日本円を現地の通貨へと両替しなければなりません。しかし、両替には割高な手数料がかかる上に、時間と手間も必要です。
ビジネスなどで頻繁に海外へ行く人の場合、毎回の両替に嫌気がさすこともあるでしょう。
この点、政府や中央銀行の干渉を受けない暗号資産は世界中どこでも共通の価値を持っているため、手数料を支払ってわざわざ現地の通貨に両替する必要がありません。日本で入手した暗号資産を、そのまま使うことができるのです。暗号資産での決済を可能とする店舗も増えており、将来的に暗号資産がもっと普及すれば、世界中を両替なしで旅できるようになるかもしれません。
5-3.24時間365日取引が可能
暗号資産の取引は、基本的に暗号資産交換業者が運営する交換所や取引所を利用して行われます。暗号資産は世界中で取引されているため、交換所・取引所は時間帯や曜日に関係なく、24時間365日稼働しているところがほとんどです。
このため、平日は仕事で忙しい人でも、休日や仕事が終わってからなど、いつでも好きなタイミングで取引ができます。株式の売買を行う証券取引所は基本的に平日の昼間しか稼働していないため、都合によっては取引ができない人もいるでしょう。
暗号資産ならこういった時間の縛りがなく、ライフスタイルに合わせた自由な取引が可能になるため投資の幅も広がるでしょう。
5-4.少額から取引できるものもある
投資に興味を持っているものの、まとまった資金がなく諦めている人も少なくありません。この点、暗号資産なら数百円という少額から取引を行えます。少額で取引をしながら暗号資産の仕組みを勉強していくこともできるため、投資が初めての人でも挑戦しやすいでしょう。
ただし、取引を始められる最低金額や取引手数料は暗号資産交換業者によって異なるので、事前にじっくり比較検討して自分に合うところを探すことが大切です。
6.暗号資産の注意点
さまざまなメリットが期待できる暗号資産ですが、取引にあたってはいくつか注意したいポイントもあります。これを知らずに取引を始めると思わぬ損をする恐れもあるので、しっかり確認しておきましょう。
6-1.国に価値を保証されていない
暗号資産のメリットは国などの干渉を受けないことだと上述しましたが、これは逆にデメリットにもなり得ます。国が干渉しないということは、価値が適切に保証されないことも意味しているためです。たとえば、国の規制下で営業する銀行や保険会社などは、破綻したとしても国が利用者を守るためのバックアップ体制を整えており、補償を受けて大きな損を避けられることがあります。
しかし、国の保証がない暗号資産は利用者保護の仕組みが不十分であり、仮にハッキングや交換所・取引所の破綻などが起きて一気に価値が下落しても、補償を受けられない可能性があるのです。想定以上に大きな損失を出すリスクがあることを、しっかり理解しておきましょう。
6-2.セキュリティリスクが無視できない
暗号資産は、インターネット上でのみ取引される電子データです。このため、ハッキングなどによる不正操作が起き、個人情報が漏洩したり資産を失ったりする恐れがあります。もちろん、暗号資産の交換所・取引所にはさまざまなセキュリティ対策が施されていますが、100%安全とは言い切れません。
実際に暗号資産交換業者がサイバー攻撃を受け、IDやパスワードが漏洩して暗号資産が盗まれるといった被害も起きています。このようなリスクを避けるには、自身でIDやパスワードの管理を厳重に行うことはもちろん、強力なセキュリティ体制を整えていた信頼できる交換所・取引所を利用することも大切です。
6-3.価格変動が大きい
もともとはスピーディな決済手段として開発された暗号資産ですが、現在では主に投資目的で利用する人が多いです。外部の干渉を受けにくい暗号資産はユーザーの需給バランスによって価値が変動するため、株など伝統的な種類の投資より価格変動が激しくなりがちです。
たとえば、2017年には1ビットコインが10万円ほどで取引されていましたが、12月末には200万円超まで高騰し、2018年11月には30万円台にまで急落しました。このように暗号資産は大きく価値を上げることもあれば下がることもあり、決済手段としては安定していないのが現状です。
少額から始めて少しずつ理解していくのがおすすめ
国によって価値が保証されていない暗号資産にはリスクもありますが、その一方でいつでも取引できる、価格変動の大きさを生かして大きなリターンも期待できるなどメリットもあります。大手企業が次々と事業に参入しており、将来性も期待できるでしょう。
数百円という少額から始められる暗号資産は初心者でも挑戦しやすいので、暗号資産の勉強をしつつ実戦形式で始めてみてはいかがでしょうか。