アルトコインとは?アルトコインの種類やその特徴について紹介
アルトコインとは、ビットコイン(BTC)以外の全ての暗号資産(仮想通貨)の事を指し、現在では約8,000種類以上のアルトコインが存在すると言われています。
ここでは日本で取り扱いのある仮想通貨の中から、比較的メジャーなアルトコインである「イーサリアム」「リップル」「ライトコイン」「ビットコインキャッシュ」「モナコイン」の計5つの仮想通貨について解説します。
イーサリアム(ETH)の特徴
イーサリアム(ETH)とは、スマートコントラクト機能を備えた、オープンソースのパブリックブロックチェーンプラットフォームです。
スマートコントラクトとは、自動実行される契約を作ることができるプロトコル(※1)を指します。ブロックチェーン上で作成されるスマートコントラクトは、契約内容がプログラミングに沿って実行され、契約後の変更や不正が行われることがない仕組みとして注目を集めています。
イーサリアムは、イーサリアムチェーン上のネイティブトークンであるETHを通じてピアツーピア(※2)契約を処理するための「Ethereum Virtual Machines」と呼ばれる分散型仮想マシンも提供しています。
開発者であるVitalik Buterin氏が2013年から2014年にかけて「次世代の仮想通貨と分散型アプリケーションプラットフォーム」というコンセプトのもと、開発に取り掛かりました。2014年にはICOクラウドファンディングを通じて発展を始め、現在ではビットコインの次に取引量の多い仮想通貨へと成長しました。
また、時価総額ではイーサリアムが2番目に高い仮想通貨であり、ビットコインに次ぐ「第2世代ブロックチェーンプラットフォーム」としても知られています。
※1 プロトコルとは、目的とされている事項を実行するための手順、規定等のこと。従うべき手順。
※2 ピアツーピア(Peer to Peer)とは、同等の立場のユーザーがインターネット間で通信を行うこと。
イーサリアムのメリット
スマートコントラクトを利用してDapps(※3)を作成したり、ERC20と呼ばれる規格を利用して自由にトークンを作り出せるメリットがあります。
具体的には中央管理を行う管理者がいないため、取引相手の不履行リスクがなくなることや、個人情報や重要情報を盗られる心配がないこと事がメリットとしてあげられます。
※3 Dapps(Decentralized application)とは、自律分散型アプリケーションで、中央管理者が存在しないものの、不特定のユーザーがそれぞれ行動した結果、そのアプリケーションシステムが正常に機能するもの。
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リップル(XRP)の特徴
リップル(XRP)とは、Ripple社が開発、実行、保守をしている仮想通貨であり、世界初のオープンペイメントネットワークとしてあらゆる通貨を簡単かつ迅速に送金することができ、数秒以内に取引確認が可能とされています。
オープンペイメントシステムとは、分散型ピアツーピア決済ネットワークのことで、2004年にRyan Fugger氏が、誰もが自分の通貨を作れる分散型金融システムを構築することを目標に実装を開始しました。
現代の世界における国際送金システムでSWIFTというシステムがありますが、そのSWIFTに代わる次世代プラットフォームを目指すことがリップル社が目標としているゴールとなっています。
また、リップルネットワーク内でのネイティブ通貨であるXRPを通じて、ビットコインや、法定通貨のドル、ユーロ、円と交換できる「ブリッジ通貨」としての役割を担っている事も特徴としてあげられます。
リップルネットワークが自動的に為替レートの変換を行い、ユーザーは任意の種類の通貨を他の種類の通貨で他の人に支払うことができるため、ネットワーク上で全ての通貨を流通させることが可能です。
取引処理に関しては数秒で完了し、特別なノードの投票により、取引の確認・承認が非常に短時間できる仕組みを導入しています。こちらの仕組みをPoC(Proof-of-Consensus)と呼び、ビットコインのようなマイニングはありません。
リップルのメリット
リップルの最大のメリットは取引のスピードが極めて速いという事があげられます。1秒間で1500件もの取引を捌けるとも言われており、短時間で大量の取引の実現が可能とされています。
また、リップルは上述した通り様々な通貨との橋渡し役としての機能を備えており、送金コストが従来の決済システムを利用した場合と比較して安価に抑えられるという点もメリットです。
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ライトコイン(LTC)の特徴
ライトコイン(LTC)の生みの親であるチャーリー・リーはMITを卒業し、かつてはGoogleの社員として働いており、2011年にライトコインを設計しました。
ライトコインはピアツーピア技術に基づいた仮想通貨で、技術的にはビットコインと同じ実装原理に基づいています。
ビットコインに影響され、技術的には同じ実装原理に基づいているライトコインは、いかなる中央機関にも支配されないオープンソースの暗号プロトコルにて作成されています。
ブロックの生成速度に関しては、2.5分ごとにブロックを処理することができるため、ビットコインと比べると、より迅速な取引確認が可能です。個人ユーザーレベルでのハードウェアで効率的にマイニングすることができ、取引の確認が早いと言われています。
また、ビットコインの発行上限枚数は2100万枚に対し、ライトコインの最大発行枚数は4倍の8400万枚とされており、仮想通貨業界では「ビットコインが金であるならば、ライトコインは銀」と言われています。
ライトコインのメリット
ビットコインの4分の1の速度で送金をする事ができるため、ビットコインよりも安く早く送金することができます。
また、セグウィット(※4)を導入していることでセキュリティが強化されており、二重取引が行われない仕組みも出来上がっています。
更にライトコインのメリットとしては、アトミックスワップという機能を搭載したことで、仲介を必要とせずにセキュリティが堅固な環境下で個人間で両替をすることが可能となりました。
アトミックスワップとはマルチシグと呼ばれる複数の鍵を利用して、不正取引を防止しつつ、個人間同士で自分のウォレット内で取引が行える仕組みを指しています。そのためセキュリティが高まり、よりセキュアな取引や両替が可能とされています。
※4 セグウィット(Segwit)とは、トランザクションデータに種名する部分を異なる領域に移動させ独立して署名をさせること意味している。この機能によって1つのブロック内におけるトランザクションデータを増加させることが可能となっている。
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ビットコインキャッシュ(BCC)の特徴
ビットコインキャッシュ(BCC)は、2017年8月にビットコインから分岐(ハードフォーク)した仮想通貨です。
もともとビットコインネットワークの課題として「スケーラビティ問題」というものがあります。こちらは、仮想通貨の取引量の増加によりネットワークが混雑し、取引手数料(送金手数料)の高騰や送金遅延等が発生する問題です。これらの問題を解消するべく、ブロックサイズをビットコインの1MBから8MBへ拡張しビットコインのブロックチェーンから分岐してできたアルトコインがビットコインキャッシュです。
現在は、ブロックサイズの制限を調整する事も可能で、現在は32MBまで増量しています。将来的には更に大幅なブロックサイズの増加を可能にするための研究が進められています。
また、新しい難易度調整アルゴリズム(DAA)を採用しており、PoWの難易度調整によって、マイナーは希望すれば古いビットコインチェーンから新しいビットコインチェーンに移行することが可能となっています。
ハードフォークプロジェクトの経緯としては、2017年7月時点でビットコインのフォークソリューション「BIP91」が、コンピューティングパワーについてネットワーク全体の支持を得て、セグウィットのアップグレードを実行しました。マイニングプールの大手である「ViaBTC」が、ビットコイン独自のチェーンをベースにしたビットコインキャッシュを立ち上げるためのハードフォークシステムを用意し、その後ブロックチェーンのブロックサイズを1Mから2Mへアップグレードすることが全会一致で合意されたことにより、ビットコインキャッシュは誕生しました。
ビットコインキャッシュのコミュニティは現在のビットコインコミュニティコアチームとは概念的に異なるため、シンプルに説明すれば、すでにビットコインとは関係がない全く新しいコインになっています。
ビットコインキャッシュとビットコインの違い
ハードフォーク後、ビットコインキャッシュはビットコインと比べより多くの取引を処理できるブロックを持つ事で、ビットコインで発生している(ブロックが小さすぎて取引数に追いつくスピードで処理できないというような)混雑はなくなりました。
また、スケーラビティ問題では、ビットコインはライトニングネットワークという方法を解決策として用いています。こちらは取引の入り口と出口だけブロックチェーンを利用し、個別の取引は利用しないという処理方法(個別の取引はブロックチェーンの外で保管する方法)です。一方でビットコインキャッシュは、ブロックサイズの拡張をし、オンチェーンスケーリングにて課題を解決しようとしており、従来の課題への解決手段も異なります。
ビットコインキャッシュのメリット
ビットコインキャッシュは、ビットコインよりもブロックサイズが大きく、取引処理をは速めることで送金スピードが速くなり、結果的に送金手数料も安価となるというメリットがあります。
また上述した通り、ブロックサイズがビットコインよりも大きい32MBとなっているため、送金遅延が起きにくくなっていることもメリットと言えます。
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モナコイン(MONA)の特徴について
モナコイン(MONA)とは、2014年にリリースされ、日本で多くの支持を得て成長した比較的古くから存在する仮想通貨です。
日本人を中心としたコミュニティで利用される事が多く、日本のカルチャーに根ざしたコミックマーケットや、動画配信と組み合わせたリアルタイム投げ銭などに用いられています。
ライトコインに影響されたモナコインは、ピアツーピア技術をベースにしたウェブベースの仮想通貨です。MIT/X11ライセンスのオープンソース・ソフトウェア・プロジェクトで、ユーザーは世界中の誰にでも瞬時に支払いができるよう設計されています。
Lyra2REv2アルゴリズムを用いたPoWマイニングを採用しており、ASIC専用の採掘者を効果的にブロックして多くの人がマイニングに参加できるため、より良い分散化を実現しながら、51%の攻撃を効果的に回避することができると言われています。
また、モナコインはセグウィットを採用し、インスタント決済やクロスチェーン取引により良く対応するためにライトニングネットワーク機能を実装しました。
モナコインのメリット
モナコインもライトコインと同様にセグウィットを導入しているため、1ブロックに取り込むことができるトランザクション数の増加に成功しており、セキュリティ面、決済面において堅牢性・利便性を向上させることに成功しています。
モナコインのファンの意見によってセグウィットの導入が決まった経緯があり、世界で最初にセグウィットを導入したアルトコインと言われています。
■モナコインについて詳しくはこちら
アルトコインよって目的が様々に異なっている
各仮想通貨は解決したい現在の課題がそれぞれあり、その課題に対して解決したいという開発者の思いを持って開発されたものとも言えるでしょう。各仮想通貨により開発された目的やゴールというものは千差万別です。
また、各仮想通貨にはホワイトペーパーと呼ばれるものがあります。ホワイトペーパーには開発された目的などを開発陣が記載しているため、その内容をご覧いただければそれぞれの意義の理解が深まるでしょう。
中島 翔