ジャクソンホール控えBTC軟化 パウエルFRB議長はどう出るか?

11日〜17日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比264,999円(1.50%)安の1734万5001円と反落した。
米連邦準備理事会(FRB)による利下げ期待から1カ月ぶりに1800万円に乗せた先週のBTC円だったが、14日の7月米卸売物価指数(PPI)が大幅に上振れたことで上げ幅を完全に吐き出し、1750万円まで下落した。翌15日には、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物が下窓を閉じたことで、弱々しくも戻りを試したが、米輸入物価の上昇を受けた金利の上昇や、円高が相場の重石となり、1720万円台まで水準を下げた。
尤も、ドル建てBTC相場は、一目均衡表の雲上限やボリンジャーバンドのセンターラインに支えられ下げ渋り、週末に入ると円建てでも値固めの様相を呈した。

一時は史上最高値を更新したBTC円だが、1800万円台の維持には失敗し、ドル建てでも12万ドル(≒1767万円)台の定着に失敗した。FF金利先物市場では、FRBによる9月の利下げがほぼ確実視されているが、先週の一連の米経済指標を受けて、ベッセント米財務長官が支持した50ベーシスポイント(bp)の大幅利下げ観測は後退した。元より、9月の利下げの確証がないなかで期待感が先行し過ぎていたとも指摘され、目先のBTC相場は期待感の剥落から地合いが緩みやすいか。
こうしたなか、今週は21日〜23日の日程でジャクソンホール会議が開催される予定となっており、中日の22日にはパウエルFRB議長の講演も控えている。7月の米インフレ指標が弱めにでていたら、パウエル議長がハト派に傾斜すると安心して予想できたが、労働市場が失速の兆候を示す反面、インフレは徐々に再燃し始めており、FRBの舵取りは難しくなってきている。
FRB当局者にとって、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定を左右する次の重要な手掛かりは8月の雇用統計と言え、労働市場の失速が継続していることを確認せずに、パウエル議長もジャクソンホールで利下げについて踏み込んだ発言はできないだろう。
ただ、FRBは不測の事態に柔軟な対応を迫られる上、それを可能な限り前もって市場にシグナルすることも重要な役割である。労働市場の失速が視野に入ってきた以上、パウエル議長も7月のFOMCの際にはなかった「予防的な利下げ」を手札の一つとして認識していると指摘され、政策調整の余地に言及する可能性があるとみている。
よって、足元では弱含みに推移しているBTC相場だが、ジャクソンホールでのパウエル議長の講演がターニングポイントになると想定している。
本日は既にドル建てで11万6000ドル(≒1710万円)を割り込んでおり、節目11万5000ドルを維持できるかが目先の焦点となろう。ジャクソンホールを控え警戒ムードが強まれば、同水準を下抜ける可能性も視野に入り、今月の安値や、75日線、それからボリンジャーバンドの-2σが密集する11万2000ドル(≒1650万円)周辺が次の下値目途となるだろう。




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bitbank Report 2025/08/18:ジャクソンホール控えBTC軟化 パウエルFRB議長はどう出るか?