仮想通貨FXは「暗号資産のレバレッジ取引」FXや現物取引との違いも
仮想通貨FXとは、仮想通貨取引にFXの仕組みを取り入れた取引方法です。
仮想通貨FXは「レバレッジ取引」のルールを基本としており、ハイリスクハイリターンの取引が特徴です。
ただ、概要やルールを理解せずに始めると、大きな損失を抱える可能性があるため注意しましょう。
本記事では、仮想通貨FXの特徴に関する以下の項目を解説(紹介)しています。
【この記事を読むとわかること】
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仮想通貨FXをこれから始めてみたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
「仮想通貨FX」は暗号資産のレバレッジ取引
仮想通貨FXは、暗号資産でレバレッジをかけて取引できる仕組みです。
まずは、以下2つの取引方法との違いから見ていきましょう。
- FXとの違い
- 現物取引との違い
FXとの違い
仮想通貨FXと通常のFXは、取り扱う商品が異なります。
通常のFXは「ドル/円」や「ユーロ/ドル」などの法定通貨をトレードしますが、仮想通貨FXではビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨をトレードします。
法定通貨と違い、仮想通貨FXでは価格変動の大きい仮想通貨を取引するため、ハイリスクハイリターンの投資スタイルです。
たとえば「ドル/円」の場合、一日に変動する価格は大きくても数円程度ですが、ビットコインの場合は一日で1BTCあたり10万円以上動くケースも少なくありません。
現物取引との違い
仮想通貨FXは現物取引とは違い、証拠金をもとに取引所から資金を借りられるため、取引の幅が広いです。
仮想通貨FXと現物の主な違いを下表で確認してみましょう。
レバレッジ | ショート取引(空売り) | |
現物取引 | かけられない | できない |
仮想通貨FX | 最大2倍まで | できる |
仮想通貨FXは、保有資金の2倍までレバレッジをかけられるため、取引がスムーズに進むと効率よく資産を増やせます。
現物取引と違いショート取引(空売り)もできるため、下落相場でも利益を出せるチャンスがあります。
レバレッジ取引やショート取引を行いたい場合は、仮想通貨FXを利用しましょう。
仮想通貨FXのメリット
仮想通貨FXには、他の取引方法にはないメリットが存在します。
本章では、仮想通貨FXで得られるメリットについて以下の3つを解説します。
- 現物取引より資金効率を上げられる
- 下落相場でも利益のチャンスがある
- 365日いつでも取引できる
現物取引より資金効率を上げられる
仮想通貨FXはレバレッジ取引ができるため、現物取引よりも資金効率を上げられます。
たとえば、元手50万円でレバレッジ取引をした場合と現物取引した場合を比較してみましょう。
取引できる金額 | 2倍になった場合の利益 | |
現物取引 | 50万円 | 50万円(100万-50万) |
レバレッジ2倍 | 100万円 | 150万円(200万-50万) |
レバレッジ2倍で取引した場合、同じ投資金額でも現物取引よりも得られる利益は大きくなります。
少額でも効率よく資金を増やせるため、短期間で大きな利益を獲得したいときに活用できます。
下落相場でも利益のチャンスがある
仮想通貨FXはショート取引ができるため、下落相場でも利益を出せるチャンスがあります。
たとえば、2021〜2022年のビットコインの価格推移を以下の画像から確認してみましょう。
出典:TradingView
2021年の最高値である約700万円から一年間下落しつづけ、2023年1月時点で200万円代まで価格が下がっています。
現物取引のみで進めた場合、2021年〜2022年は利益を出せるチャンスがほとんどありません。
一方で仮想通貨FXのショート取引をしていた場合は、利益を出しやすい相場環境だったといえます。
仮想通貨FXを使うと、現物保有だけでは利益が出せない下落相場でも、ショート取引でチャンスを生み出せるメリットがあります。
ショート取引の詳しい内容につきましては、以下の記事も参考にしてください。
https://bitbank.cc/knowledge/column/article/bitbankplus-column-short
365日いつでも取引できる
仮想通貨FXは法定通貨や株式投資と違い、365日いつでも取引できるメリットがあります。
「ドル/円」「ユーロ/ドル」などのFX取引や株式投資の信用取引でも、レバレッジ取引やショート取引は可能です。
しかし、仮想通貨と違い市場には休みもあるため、年中取引できるわけではありません。
土日祝など仕事が休みの日に取引回数を増やして、トレード経験を積みたい方にとって365日取引できるのはメリットといえます。
仮想通貨FXのデメリット
仮想通貨FXで思わぬ損失を抱えないために、デメリットも理解しておきましょう。
本章では、仮想通貨FXを行うデメリットについて以下3つを解説します。
- レバレッジのリスクが高い
- ロスカットで損失が確定する
- 長期保有に向いていない
レバレッジのリスクが高い
仮想通貨FXのレバレッジ取引は、保有資金以上の金額で取引するため、他の方法と比べるとハイリスクな取引手法です。
元手資金の倍額で取引するため、効率よく資産を増やせますが、取引に失敗すると想定以上に資産を減らす可能性があります。
たとえば、100万円でビットコイン取引を行ったとしましょう。現物取引だと価値が10%下落した場合、10万円の損失で済みます。
一方で2倍のレバレッジで取引した場合は、10%減少すると残金は80万円で20%の損失です。
レバレッジ取引の損失リスクを理解したうえで、資金を考慮しながら取引を進めましょう。
ロスカットで損失が確定する
仮想通貨FXでレバレッジ取引を進めた場合、強制ロスカットで損失が確定します。
現物取引の場合は損失を抱えたとしても、強制ロスカットがないため、価格が上昇するまでポジションを保有しつづける選択も可能です。
しかし、レバレッジ取引は保有資産以上の金額で取引しているため、価格が上昇するまでに、売買できる資金が手元から無くなってしまう可能性もあります。
ロスカットで損失を確定させないためにも、証拠金を多めに取引所に入金しておきましょう。
長期保有に向いていない
仮想通貨FXは、以下の理由から長期保有には向いていません。
- ロスカットが発生すると、強制的に決済となる
- レバレッジ手数料が毎日発生し、保有するほど手数料がかかる
仮想通貨FXは一定以上の損失を抱えてしまうと、ロスカットで強制的にポジション決済される可能性があるため、長期保有は困難です。
また、レバレッジ手数料が毎日かかるため、長期保有には向いていません。
仮想通貨を長期保有したい場合は現物取引、仮想通貨FXを行いたい場合は短期取引を選択しましょう。
仮想通貨FXが向いている人の特徴
仮想通貨FXに向いてる人の特徴を理解して、始めるべきか検討してみましょう。
仮想通貨FXが向いている人の特徴は以下のとおりです。
向いている人の特徴 | 理由 |
資金を多く用意できる人 | 証拠金が一定額を下回るとロスカットされてしまう |
効率よく資産を増やしたい人 | レバレッジで保有資金以上の金額を取引できる |
短期取引を進めたい人 | ロスカットや手数料の性質上、短期取引に適した手法である |
仮想通貨FXはレバレッジ取引に対応しているため、短期間で効率よく資産を増やしたい方に向いている手法です。
また、ロスカットや取引手数料の都合上、長期保有に適していないため、普段からデイトレードやスキャルピングなどの短期取引を行っている方にもおすすめです。
上記の特徴に当てはまる方は、仮想通貨FXに挑戦してみるとよいでしょう。
仮想通貨FXが向いていない人の特徴
仮想通貨FXはハイリスクハイリターンの投資手法です。損失を抱えないためにも、仮想通貨FXが向いていない人の特徴を確認してから取り組みましょう。
向いていない人の特徴 | 理由 |
ハイリスクな取引を避けたい人 | 保有資金以上の金額で取引を進めるため、リスクが高い |
長期保有を考えている人 | ロスカットや取引手数料の観点から、長期保有に適していない |
チャートを頻繁に確認できない人 | 短期売買に適した取引であるため、チャートを頻繁に確認する必要がある |
仮想通貨FXは、株式投資などの金融商品とは異なり「ロスカット」の概念が存在するため、長期保有を考えている方には向いていません。
また、短期売買向きの投資方法であるため、チャートを頻繁に確認する必要があります。
仮想通貨FXが向いていない人の特徴に当てはまる場合は、スタンダードな投資方法である「現物取引」から始めることをおすすめします。
仮想通貨FXの始め方
仮想通貨FXを始めるには、サービスを提供している取引所の口座を開設しましょう。口座開設の流れは以下のとおりです。
- 仮想通貨取引所の口座開設ページにアクセス
- メールアドレスを入力
- 届いたメールから登録ページへアクセス
- 登録ページで必要情報を入力
- 本人確認書類を提出で完了
スムーズに進めると5〜10分で登録ができます。スマホで本人確認を行うと翌日には口座開設が完了します。
口座開設が完了して取引所に入金したあとは、以下の流れで取引が可能です。
- レバレッジ取引画面に移動
- 取引したい銘柄を選択
- レバレッジ倍率を設定
- 欲しい数量を購入
国内取引所の場合、レバレッジ倍率は固定されており、設定の必要がないケースもあります。仮想通貨の始め方につきましては、以下の記事も参考にしてください。
https://bitbank.cc/knowledge/column/article/kyokasho-start
仮想通貨FXを実施する際の注意点
仮想通貨FXは現物取引とは特徴が異なります。取引を始める前に注意点を確認しておきましょう。
本章では、仮想通貨FXに関する注意点について以下3つを解説します。
- レバレッジ倍率は2倍までと定められている
- 仮想通貨FXの利益には税金がかかる
- 仮想通貨FXの手数料について
レバレッジ倍率は2倍までと定められている
国内の仮想通貨FXはレバレッジ倍率が2倍までと定められています。理由としては、暗号資産の有用性についての評価が定まっていないためです。
証拠金の上限倍率(レバレッジ倍率)を、以下の通り設定 個人向け取引:主要な暗号資産であっても価格変動が激しいものが複数存在していることや、 顧客に対する規制の簡明性確保の観点を踏まえ、暗号資産の種類によらず2倍とする 引用:金融庁「暗号資産(仮想通貨)に関連する制度整備について」 |
現状国内では、暗号資産(仮想通貨)取引のレバレッジ倍率が2倍までと設定されています。
国内FXの倍率は25倍、海外の仮想通貨取引所では100倍で取引できることを考えると、仮想通貨FXのレバレッジ倍率は高くありません。
ハイレバレッジ取引を希望している方は、国内FX取引の検討をおすすめします。
仮想通貨FXの利益には税金がかかる
仮想通貨FXで20万円以上の利益が発生した場合は、課税対象になるため注意しましょう。
仮想通貨にかかる税金(所得税)には累進課税が適用されるため、申告分離課税に該当する株式投資や国内FXと比較すると(税率:20.315%)税負担が重くなります。
500万円の利益が発生した場合の税金を比較してみましょう。仮想通貨は所得税と住民税合わせて30%の税金が発生するため、その分負担も重くなります。
- 株式投資:約100万円(約20%)
- 仮想通貨:約107万円(所得税20%・住民税10%・控除額42万7,500円)
仮想通貨の税金については、以下の記事も参考にしてください。
https://bitbank.cc/knowledge/column/article/kyokasho-start
仮想通貨FXの手数料について
仮想通貨FXでレバレッジ取引を進める場合は、手数料に注意しましょう。
レバレッジ取引は、取引所からお金を借りて売買する仕組みであるため、売買手数料とは別にレバレッジ手数料が必要です。
取引所によってパーセンテージは異なりますが、日をまたいでポジションを保有していると、取引日の終値から計算した評価額に対して手数料が発生します。
レバレッジ手数料は、ポジションを保有する限り毎日発生するため、値動きで利益を出したとしても手数料負けする可能性もあります。
仮想通貨FXを始める際は、手数料もあらかじめ考慮しておきましょう。
仮想通貨FXを取り入れて円滑に取引を進めよう
仮想通貨FXはレバレッジ取引やショート取引ができるため、活用できると取引の幅が広がり、利益を出すチャンスが増えます。
ただし、ロスカットやレバレッジ手数料がかかるなど長期投資には向かない手法であるため、始める前に注意点を把握する必要があります。
仮想通貨FXが自分の投資スタイルに向いていると感じた方は、まず少額から始めてみましょう。