仮想通貨の空売り(ショート)とは?メリット・デメリットや取引のコツを解説
仮想通貨のショートとは、空売りとも呼ばれる投資手法です。下落時にも利益を狙える点が特徴から、空売り(ショート)を始めてみたいと考える方も多いでしょう。
そこで本記事では、仮想通貨の空売り(ショート)についての基礎知識から、メリットやデメリットなどを解説しています。ショートの始め方や利益を上げるコツも解説しているため、ぜひ参考にしてください。
仮想通貨の空売り(ショート)の基礎知識
まずは、仮想通貨の空売り(ショート)に関する基本的な知識を解説します。
- 従来と真逆の取引方法
- 空売り(ショート)の具体例
従来と真逆の取引方法
仮想通貨取引における「空売り(ショート)」は、従来の「購入してから売却する」方法とは異なります。
一般的な投資は、価格上昇が予測される仮想通貨を購入し、利益が出たタイミングで売却して利益を得ます。
一方、空売りは価格下落が予測される仮想通貨を先に売却し、価値が下落したタイミングで買い戻す方法です。
空売り(ショート)は、市場が下落している相場でも利益を狙えます。ただし、価格が予想とは裏腹に上昇した場合、損失を被るリスクもあります。
従来の方法と同様ですが、価格変動が激しい仮想通貨市場において、市場分析やリスク管理に関する知識が求められます。
空売り(ショート)の具体例
空売り(ショート)は、一般的な投資原理と真逆の手順で行うため、理解するのに時間がかかる可能性もあります。
空売り(ショート)のメリットを説明する前に、具体例(ビットコイン1BTCあたり100万円で取引)を見ていきましょう。
- ビットコインの価格が下落すると予想
- 取引所またはユーザー間の貸し借りでビットコインを100万円入手し、直ちに市場で売却
- ビットコインの価格が80万円に下落
- 80万円でビットコインを市場で購入
- 最初に借りたビットコインを返却し、取引完了(20万円の利益)
投資家はビットコインを100万円で売却、80万円で買い戻したため、1BTCあたり20万円の利益を得られます。
空売り(ショート)は、正確な市場分析と投資タイミングが成功のカギを握ります。
価格が予想と異なる方向に動いた場合、損失が発生する可能性もあるため、リスク管理と並行して市場動向にも注目しましょう。
仮想通貨の空売り(ショート)のメリット
従来の投資方法と真逆の空売り(ショート)には、どんなメリットがあるのでしょうか。
本章では、仮想通貨取引における空売り(ショート)のメリットを3つ紹介します。
- 価格の下落時でも利益を狙える
- レバレッジを効かせると利益を上げられる
- リスクヘッジにも対応している
価格の下落時でも利益を狙える
空売り(ショート)最大のメリットは、市場の価格が下落している場面でも、利益が狙える点です。
仮想通貨のように価格変動が激しい市場において、上昇・下落両方の相場に対応できる空売り(ショート)は、投資家にとって重要な戦略です。
基本的に価値が下落している局面では、損失を避ける努力しかできません。空売り(ショート)なら、下落している状況でも積極的に利益を追及できます。
レバレッジを効かせると利益を上げられる
レバレッジを効かせると、少ない資本で大きな取引を行えるため、利益を大幅に上げられる可能性があります。
たとえば、10万円の資金で2倍のレバレッジを利用すると、20万円分の取引が可能です。価格が2倍に上昇すると利益は40万円になり、元手の10万円だけで投資するよりも利益が大きくなります。
レバレッジを効かせた空売りは、正しい予測のもとで適切なリスク管理を行うと、投じた資本以上の大きな利益を得られます。
ただ、レバレッジを利用して価格が予測と逆方向に動いた場合、損失も拡大するため、慎重な取引計画とリスク管理が必要です。
仮想通貨のレバレッジ取引に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
https://bitbank.cc/knowledge/column/article/bitbankplus-column-leverage-trading
リスクヘッジにも対応している
空売り(ショート)は、リスクヘッジの手段としても機能します。
たとえば、保有している仮想通貨の価格下落を予測した場合、空売りを行うと、価格下落による損失をカバーできます。
空売りは、保有資産の価値減少に備えるリスクヘッジの戦略としても有効です。
仮想通貨の空売り(ショート)のデメリット
仮想通貨の空売り(ショート)にはデメリットもあります。
損失リスク回避のためにも、メリットだけではなくデメリットも理解したうえで投資を実行しましょう。
- 価格が上昇すると損失となる
- 追証の請求や強制決済(ロスカット)がある
- レバレッジ手数料がかかる可能性もある
価格が上昇すると損失となる
仮想通貨の空売り(ショート)では、価格の下落を予測して売り注文を出しますが、予測が外れると投資家は損失を被ります。
空売り(ショート)の損失は、価格の上昇幅に比例して際限なく大きくなります。
損失リスクを管理するためには、市場の動向を常に確認し、損失を抑えるためのリスク管理を徹底しましょう。
追証の請求や強制決済(ロスカット)がある
空売り(ショート)では、保有ポジションの維持に必要な追加資金(追証:マージンコール)の請求を受ける場合があります。
追証とは、各取引所が定めている保証金と取引額間の割合を下回ったときに発生する「追加の保証金」です。
追証を支払わない場合、ポジションの一部または全てを強制的に解消される(強制決済:ロスカット)可能性があります。
追証やロスカットは、市場の急激な価格変動時に発生する可能性が高くなります。
空売り(ショート)を行う際は、追証やロスカットラインに達していないかこまめに確認しましょう。
レバレッジ手数料がかかる可能性もある
レバレッジ取引は手数料がかかります。一般的に手数料は、レバレッジの効いたポジションを翌日に持ち越した場合に発生します。
たとえば、1BTC100万円を購入し翌日に持ち越したとしましょう。レバレッジ手数料が0.04%の場合、保有している100万円分の注文に0.04%の手数料400円(100万円×0.04%)が発生します。
とくに、長期間にわたりレバレッジの効いたポジションを保持すると、手数料が発生しつづけるため、利益が減少する要因になります。
レバレッジ手数料は利益に影響を及ぼすため、取引を実行する前に手数料の詳細を確認し、事前にコストとリターンの計算を行いましょう。
仮想通貨の空売り(ショート)が向いている人の特徴
仮想通貨の空売り(ショート)は、以下の特徴をもつ投資家にとっては有効な投資手法です。
- 市場を正確に分析できる
- リスク管理ができる
- 短期間の利益を求める
- 価格が変動しても軸がブレない
利益を上げるためには、リスク管理や市場分析、急な価格変動へ冷静に対応できるスキルや精神力が求められます。
また、空売り(ショート)は短期間の利益追求に適した手法のため、価格変動に素早く対応するための時間が取れる方にも向いています。
今回紹介した特徴に当てはまる方は、空売り(ショート)の実行を検討してみましょう。
仮想通貨の空売り(ショート)が向いていない人の特徴
一方で、空売りが向いていない方の特徴も存在します。
- 市場分析が得意ではない
- リスク管理が得意ではない
- 長期間の取引を好む
- 価格変動で一喜一憂しやすい
分析やリスク管理が苦手な方は、空売り(ショート)よりも通常取引の方が、向いている可能性があります。また、仮想通貨市場は短期間で価格が大きく変動するため、投資に時間を取れない方も難しいでしょう。
ただし、仮想通貨投資には空売り(ショート)以外にも多様な投資手法があります。自分の性格やスキルに合った投資手法を探してみましょう。
仮想通貨の空売り(ショート)の進め方
仮想通貨の空売り(ショート)を行うためには、仮想通貨取引所での口座開設が必要です。
例として、国内仮想通貨取引所「bitbank」の口座開設手順を紹介します。
- 仮想通貨取引所の口座開設ページにアクセス
- メールアドレスを入力
- 届いたメールから登録ページへアクセス
- 登録ページで必要情報を入力
- 本人確認書類を提出で完了
上記の手続きが完了後、早ければ翌営業日に口座開設となり、空売り(ショート)を始められます。
bitbankでも、空売り(ショート)「信用取引サービス」をリリース予定です。空売り(ショート)に興味のある方は、すぐに始められるように口座を開設しておきましょう。
仮想通貨取引の始め方については、以下の記事で詳しく解説しています。
https://bitbank.cc/knowledge/column/article/kyokasho-start
仮想通貨の空売り(ショート)で利益を上げるコツ
空売り(ショート)は仮想通貨取引を続けるにあたり、覚えておきたい投資方法です。
仮想通貨の空売り(ショート)で利益を上げるためにも、以下のコツを押さえておきましょう。
- 値動きを分析する
- 仮想通貨関連のニュースを確認する
値動きを分析する
仮想通貨の空売り(ショート)で利益を上げるためには、市場の値動きを正確に分析するスキルが必要です。
値動きの分析は、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の2種類に分かれます。
テクニカル分析 | ファンダメンタルズ分析 | |
概要 | 過去チャートの傾向から、値動きを予測する手法 | 経済指標の変化などから、値動きを予測する手法 |
方法 | チャート重視 | 経済指標重視 |
分析対象 | 価格データ、取引量など | 業績、経済状況、政治情勢など |
投資期間 | 短期〜中期 | 長期 |
過去の価格変動パターンや経済ニュースなどの要因から値動きを分析し、価格下落の可能性が高いタイミングで空売り(ショート)のポジションを取りましょう。
仮想通貨関連のニュースを確認する
仮想通貨の価格は、新しい技術の発展や法規制の変更、世界経済に関わるニュースなどの外部要因に反応します。
仮想通貨関連のニュースやイベントを日常的にチェックしておくと、値動きを判断する材料になります。
たとえば、ある国が仮想通貨を禁止するというニュースは、一般的に市場価格に悪影響を与える可能性があります。
仮想通貨関連の情報をこまめにチェックして、利益獲得のチャンスを見つけ出しましょう。
仮想通貨の空売り(ショート)に関するよくある質問
最後に仮想通貨の空売り(ショート)についてよくある質問を2つ紹介します。
空売り(ショート)で取引を進めたい方は、回答を参考にしてください。
- 仮想通貨のショートで得た利益に税金はかかる?
- 仮想通貨のショートとロングの違いは?
仮想通貨のショートで得た利益に税金はかかる?
仮想通貨のショート取引から得られる利益には税金がかかります。
日本の場合、仮想通貨の利益は「雑所得」として分類され、利益額によって税率が変動する「累進課税制」が適用されます。
仮想通貨で20万円以上の利益を得た方は確定申告が必要であるため、毎年2月16日から3月15日までの間に忘れずに行いましょう。
仮想通貨の確定申告に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
https://bitbank.cc/knowledge/column/article/bitbankplus-column-tax
仮想通貨のショートとロングの違いは?
ショートとロングの違いを以下に示します。
項目 | ロング | ショート |
市場の予測 | 価格が上昇すると予測 | 価格が下落すると予測 |
取引の目的 | 低価格で購入し、高価格で売却して利益を得る | 高価格で売り、低価格で買い戻して利益を得る |
利益の発生条件 | 価格が購入時点より上昇する | 価格が売却時点より下落する |
リスク | 価格が下落すると損失が発生 | 価格が上昇すると損失が発生 |
ショートとロングで利益を得る仕組みは異なります。相場の局面によって使い分けて、保有している通貨の利益を上げましょう。
仮想通貨の空売り(ショート)は下落局面でも利益を上げたい方におすすめの方法
空売り(ショート)を利用すると、下落局面でも利益を上げられるため、利益を得るチャンスが広がります。
ただし、空売り(ショート)は初心者の方にとって比較的難易度が高い投資手法です。まずは通常の取引から始めて、投資に慣れてから空売り(ショート)にチャレンジすることをおすすめします。
仮想通貨の空売り(ショート)も取り入れて、さらに仮想通貨投資による利益を伸ばしていきましょう。