仮想通貨のレバレッジ取引は簡単?やり方や注意点を知っておこう

仮想通貨の売買方法として「レバレッジ取引」があります。
レバレッジ取引は保有資産以上の売買ができる制度で、うまく利用すると、通常取引よりも資産を増やせる可能性があります。
ただし、特徴や仕組みを正しく理解していないと、資産を失うリスクもあるので要注意です。
本記事では、仮想通貨のレバレッジ取引の特徴やメリット、デメリットを解説しています。レバレッジを効かせて取引を始めるべきか悩んでいる方は、参考にしてください。
仮想通貨のレバレッジ取引は簡単?
まずは、レバレッジ取引の概要から解説します。
- レバレッジの計算方法
- 現物取引との違い
- 信用取引・先物取引との違い
レバレッジの計算方法
レバレッジ取引は「てこ」の意味があり、保有している資産を担保に取引所から最大2倍まで資金を借りて売買できます。
計算方法は以下のとおりです。
【取引数量=(倍率×受入証拠金)÷取引銘柄のレート】
たとえば、ビットコインのレートが600万円のときに30万円を預け入れて、レバレッジ2倍の取引を実施する場合は、0.1BTC(約60万円)まで取引可能です。
(2倍×30万円)÷600万円=0.1BTC
同条件での現物取引だと、0.05BTC(約30万円)までしか売買ができません。レバレッジ取引は保有している資産以上の金額で売買できる便利な手法です。
現物取引との違い
レバレッジ取引と現物取引の違いを、以下表で確認しましょう。
レバレッジ取引 | 現物取引 | |
取引金額 | 保有資産の最大2倍 | 保有資産のみ |
取引方法の種類 | 買いと売りどちらでも取引ができる | 買いからのみ |
レバレッジ取引は現物取引とは違い、売買できる金額と種類が多いです。リスクもありますが、使いこなすと取引の幅が広がります。
信用取引・先物取引との違い
信用取引と先物取引は、株式投資で主に使われる取引方法です。仮想通貨レバレッジ取引との違いは以下のとおりです。
レバレッジ倍率(上限) | 返済期限 | |
仮想通貨レバレッジ | 2倍 | なし |
信用取引 | 約3倍 | あり |
先物取引 | 約20倍 | あり |
FX | 25倍 | なし |
レバレッジの倍率と期限はそれぞれ異なります。仮想通貨の場合、FXや先物取引と比べると倍率の上限が低いです。
また、信用・先物取引に存在する「返済期限」もないため、期間に縛られることもありません。
仮想通貨のレバレッジ取引には特有のメリットがある
仮想通貨のレバレッジ取引には、現物取引にない以下4つのメリットがあります」。
- 保有資産以上の取引ができる
- 「ショート取引」は下落相場でも利益が出せる
- 24時間365日いつでも取引できる
- ロスカットで損失リスクを抑えられる
メリットを把握して、利益をコツコツと積み重ねましょう。
保有資産以上の取引ができる
レバレッジ取引は、保有資産の最大2倍までが投資対象となるため、効率よく資金を増やせるかもしれません。
たとえば、ビットコインの価格が500万円から600万円まで上昇したと仮定します。保有資産が50万円だった場合、現物取引と比べて利益額も変化します。
- 現物取引の利益:10万円
- レバレッジ取引の利益:20万円
もちろん損失リスクも大きくなりますが、効率的に利益を積み重ねられます。
「ショート取引」は下落相場でも利益が出せる
レバレッジ取引では、「ショート取引」と呼ばれる「売りからスタートできる手法」があります。
現物取引の場合、売りから始められないため、基本的に上昇相場で利益を出します。レバレッジ取引の場合、売りからでも売買できるため、下落相場からでも始められるのです。
ショート取引は、基本的に以下の流れで進みます。
- 取引所から資金を借りて、現在のBTC価格で売る(1BTC:600万円)
- BTC価格が下落した時点で買い戻す(1BTC:500万円)
- 取引所に買い戻したBTCを返却する
上記の場合、500万円で買い戻しつつ600万円で売却しているため、100万円分の利益が出ています。
相場状況が良し悪し問わず、どちらでも稼げるのがメリットです。
24時間365日いつでも取引できる
仮想通貨市場には休みがないので、いつでも取引ができます。
FXや株式投資などレバレッジを効かせられる金融商品は存在しますが、24時間365日取引できる商品は「仮想通貨」だけです。
そのため、土日休みの会社員でも取引できる点はメリットといえます。
とくに、スキャルピングやデイトレードなどの「短期売買」は、短時間で取引を完結させるため、落ち着いて取引できる環境が重要です。
ロスカットで損失リスクを抑えられる
仮想通貨レバレッジ取引には「強制ロスカット」があるため、通常の取引よりも損失を抑えられる可能性があります。
ロスカットとは、保有しているポジションが一定の水準以上まで損失を抱えた場合、強制的に決済されることです。
ロスカットラインを設けることで、相場の急落による損失額を抑制してくれます。
仮想通貨のレバレッジ取引にはデメリットもある
仮想通貨でレバレッジ取引をすると効率よく資金を増やせる一方、デメリットも存在します。
- 現物取引よりも大きな損失を抱える可能性がある
- レバレッジ特有の手数料がかかる
- 長期保有に向いていない
デメリットも把握して、極力リスクの少ない状態から始めましょう。
現物取引よりも大きな損失を抱える可能性がある
レバレッジ取引は保有している資産の最大2倍で売買できるため、現物で取引するよりも大きな損失を抱える可能性があります。
現物で取引した際の損失額が5万円の場合、10万円まで膨れ上がります。利益と損失のどちらの金額も「2倍」動くリスクを把握しておきましょう。
レバレッジ特有の手数料がかかる
レバレッジ取引は取引所からお金を借りて売買しているため、特有の手数料がかかります。
取引所によってパーセンテージは異なりますが、取引日の終値から計算した評価額に対して、保有しているポジション(建玉)ごとに手数料が発生します。
レバレッジ手数料の計算式と具体的な例を見てみましょう。
【レバレッジ手数料計算式と具体例】
※かかる比率は取引所によって変動する 1BTCが500万円時にポジションを持ち越した場合は、以下の手数料がかかります。 1BTC×500万円×0.04%=2,000円 |
レバレッジ手数料はポジションを保有する限り、毎日発生します。
まず、売買手数料とレバレッジ手数料を加味した取引金額の設定から始めましょう。
長期保有に向いていない
レバレッジ取引は、以下の理由から長期保有に向いていません
- 保有日数が長いほど、レバレッジ手数料がかかる
- 強制ロスカットでポジションを決済される可能性がある
保有資産より大きな金額のポジションを長期間保有するほど、デメリットが大きくなります。
短期取引や下落相場のショート取引など、相性のよい売買方法で活用しましょう。
レバレッジ取引のやり方
レバレッジ取引は以下の手順で実施しますが、基本的に通常売買と変わりません。
- 銘柄選択
- 発注方法を設定
- 価格・数量を入力
- 発注
ただ、レバレッジ取引には「ショート取引」が存在するため、2番の「発注方法」に関しては選択肢が多いです。
発注方法を誤ると損失につながりやすいです。初めて実施する予定の方は、本記事を参考にレバレッジ取引を進めてみましょう。
レバレッジ取引を効率的に進めるポイント
レバレッジ取引は現物取引と比べると手数料が高く、コストを抑えるためにも、効率的に取引を進める必要があります。
取引を進める際には、以下3つのポイントに注意しましょう。
- 余裕資金で投資を始める
- 損切りの設定を厳しくする
- 証拠金維持率を確認する
余裕資金で投資を始める
レバレッジ取引に限りませんが、投資は生活と関係のない余裕資金で始めましょう。
生活資金を投資に回してしまうと、精神的なプレッシャーからうまく取引できない可能性があります。
とくにレバレッジをかけて取引する場合は、保有している資産の2倍となる金額を動かす機会もあるため、損失が通常よりも大きくなります。
精神的なプレッシャーで焦らないためにも、余裕資金で取引を行いましょう。
損切りの設定を厳しくする
損切りは、現物で取引するよりも厳しい設定にしましょう。
レバレッジ取引は保有している資産の2倍の金額を扱うため、損切りのタイミングが遅れると、損失額も大きくなります。
余計な損失を発生させないためにも、損切り設定は厳しくしましょう。
証拠金維持率を確認する
ロスカットは、取引所ごとに設定された「証拠金維持率」を割ると実施されるため、事前にチェックしましょう。
証拠金維持率は「証拠金の残高÷取引に必要な証拠金×100」で計算できます。
たとえば、保有資産が20万円の場合、レバレッジ2倍で40万円の取引が可能です。証拠金維持率は「20万÷40万×100=50%」です。
ロスカットの証拠金維持率を30%に設定している場合、保有資産が12万円(40万円×30%)を割ると強制決済が行われます。
そのため、マイナス8万円(20万-12万)以上の損失には耐えられません。いくらまで損失を抱えられるのか、計算してから取引を始めましょう。
投資初心者には「現物取引」がおすすめ
レバレッジ取引は保有資産以上の金額を投資できるため、資金効率がよく資産を増やすチャンスです。
ただし、以下のリスクがあるため、投資初心者には難しい可能性があります。
- 2倍の資金で取引するためリスクが大きい
- 強制ロスカットがあり素早い投資判断を求められる
- 日ごとに手数料がかかり長期保有は難しい
- 用語や計算式を理解するのに時間がかかる
投資初心者の場合、まず積立投資などの「リスクの低い取引」から始めましょう。
仮想通貨レバレッジ取引によくある質問
最後に、仮想通貨レバレッジ取引に関するよくある質問4つを紹介します。
- レバレッジで損失が発生するとどうなりますか?
- 仮想通貨のレバレッジは100倍まで効かせられますか?
- レバレッジ取引の税金はどうなりますか?
- 海外と日本のレバレッジ倍率は異なりますか?
レバレッジで損失が発生するとどうなりますか?
仮想通貨レバレッジ取引は保有資産の2倍の金額で実施するため、損失も大きくなります。
また、損失額が証拠金維持率を割ると、強制ロスカットが行われるので要注意です。
保有資産より大きな金額で売買を実施する際は、余剰資金での取引をおすすめします。
仮想通貨のレバレッジは100倍まで効かせられますか?
国内では価格変動の大きさを考慮して、上限は2倍までと定められています。
一方、海外取引所は制限がないため、100倍、1,000倍からでも取引可能です。
ただし、海外取引所は金融庁の認可を受けていないため、信頼性・安全性の面で不安が残ります。安全に取引するためにも、基本は国内取引所を利用しましょう。
レバレッジ取引の税金はどうなりますか?
レバレッジ取引の税金は現物取引と同様です。取引によって得た利益は「雑所得」の対象になり、累進課税により最大で45%の所得税が発生します。
税金を納め忘れると、給与・貯金・不動産等の差し押さえや、資産の売却などが行われる可能性もあるので注意しましょう。
海外と日本のレバレッジ倍率は異なりますか?
海外と日本ではレバレッジ倍率に関するルールが異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。
日本では法律によって2倍までに制限されています。海外では倍率に制限はなく100倍、1,000倍などリスクの高い取引も可能です。
現物取引に慣れてからレバレッジ取引に挑戦しよう
仮想通貨レバレッジ取引は、保有資産の2倍まで売買可能かつ下落相場でもショート取引ができるため、投資の幅が広がります。
ただし、以下のリスクもあるので注意が必要です。
- 損失が想像以上に膨らむ
- レバレッジ特有の手数料が発生する
- ロスカットで強制的に損失が確定する
そのため、投資初心者がいきなり始めるのはハードルが高いです。
まずは、仮想通貨の現物取引で投資自体に慣れてから挑戦することをおすすめします。