仮想通貨の板取引について徹底解説!取引のやり方や利益を上げるコツも紹介
仮想通貨の板取引は、個人間での仮想通貨売買を指します。
板取引は通常の取引と比べて、難易度が高い取引方法であるため、特徴や取引方法などの理解をしないと、円滑に進まないかもしれません。
本記事では仮想通貨の板取引について、基本情報やメリット・デメリット、取引方法などを解説しています。
利益を上げるコツも紹介しているため、板取引を実施する際の参考にしてください。
仮想通貨の板取引は個人間で実施される
板取引は、インターネット上に表示される銘柄や値段ごとの売買注文を「板」で確認することから名付けられた取引方法です。
まずは、板取引に関する基本知識から見ていきましょう。
- 取引所のみ実施可能
- 取引板の見方
取引所のみ実施可能
仮想通貨取引所には「取引所」と「販売所」があり、板取引は「取引所」のみで行えます。取引所と販売所の違いは、以下のとおりです。
項目 | 販売所 | 取引所 |
概要 | 仮想通貨を運営会社が直接販売 | ユーザー同士が仮想通貨を売買 |
価格 | 運営会社が定める価格 | ユーザーの需要と供給により変動 |
手数料 | 高い(スプレッド) | 低い(取引手数料) |
取引難易度 | 簡単 | 難しい |
対象ユーザー | 投資初心者 | 投資経験者(中・上級者向け) |
販売所が初心者向けの取引場所である一方、取引所は中・上級者向けです。
板取引は初心者には難易度の高い方法のため、まずは販売所で簡単な取引に慣れてから、取引所での売買にチャレンジすることをおすすめします。
取引板の見方
画面右側の赤色と緑色の数値が表示されている部分を「取引板」と呼びます。
取引板の数値は気配値とも呼ばれており、赤字の部分に「売り注文」、緑字の部分に「買い注文」が表示されます。色付き価格の横に並んでいる数字は「売買数量」です。
赤字(売り注文)は、上側から順に「高値での売却注文」、緑字(買い注文)は「高値での購買注文」を指しています。
投資家は気配値を見て、保有する仮想通貨がどのくらいの価格で取引されているのか判断し、買い・売り注文を出しています。
仮想通貨の板取引のメリット
通常の取引方法とは異なる板取引には、どんなメリットがあるのでしょうか。
本章では、仮想通貨の板取引のメリットを3つ紹介します。
- 指値・成行注文ができる
- 手数料を抑えられる
- 相場をリアルタイムで観察できる
指値・成行注文ができる
成行注文と指値注文を組み合わせると、自分が好きなタイミング・価格で取引しやすくなります。
注文方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
成行注文 | 現在の市場価格ですぐに売買できる | すぐに売買が完了する | 予想と異なる価格で購入する可能性もある |
指値注文 | 事前に設定した価格に到達したときのみ売買できる | 希望価格で売買できる | 希望価格に到達するまで売買が成立しない |
成行注文は指値注文とは異なり、売買する際の価格や数量が確定した時点で取引が成立します。板取引で成行注文を行った場合、成立時点のもっとも良い条件が採用されます。
指値注文は、あらかじめ設定した条件に当てはまる売買のみ実行される注文方法です。
指値注文を出すと、板情報に注文が並びます。成行注文とは異なりすぐに取引成立となりませんが、好みの条件で取引を実行できます。
成行注文と指値注文を組み合わせて、効率的な取引を実現しましょう。
手数料を抑えられる
取引所での板取引は、販売所での取引よりも手数料を抑えられる点がメリットです。
取引所の板取引では、取引金額に応じて売買手数料がかかります。一方で、板取引を行えない販売所では「スプレッド」と呼ばれる、買値と売値の差額が手数料としてかかります。
たとえば、2024年2月18日時点の国内仮想通貨取引所「bitbank」で0.001BTCを購入した場合にかかる手数料は、以下のとおりです。
売買手数料 | スプレッド | |
取引所 | 約9円 | - |
販売所 | - | 約386円 |
2024年2月18日時点のスプレッド(買値と売値の差額)は約386円です。一方、bitbankの取引所でかかる売買手数料は一律0.12%であるため、販売所よりも低いコストで取引できます。
板取引は、コストを抑えつつ取引を実行したい方に適しています。
相場をリアルタイムで観察できる
板取引ではリアルタイムの気配値を確認しながら取引できるため、相場の変化に素早く対応できます。
仮想通貨市場は、株式や債券市場と比べて価格変動が激しく、数時間で数十%の価格が下落するケースもあります。板情報からリアルタイムの市場の様子を確認できると、利益の獲得や損失の回避をしやすくなるのです。
板取引でリアルタイムの相場を分析して、利益の最大化を目指しましょう。
仮想通貨の板取引のデメリット
仮想通貨の板取引には、メリットだけでなくデメリットも存在します。
思わぬ損失を発生させないためにも、以下2つのデメリットを確認しましょう。
- 取引が成立しない場合もある
- 分析項目が増える
取引が成立しない場合もある
板取引では、提示した条件に合った注文が入らない場合、残念ながら取引は成立しません。
たとえば、指値注文の場合、指定した価格に買い手がつかなければ取引は不成立となります。
成行注文は取引が実行されやすい反面、需要と供給の関係から、注文の一部しか約定(ヤクジョウ)※しない「一部約定」が発生する場合もあります。
※仮想通貨や株式の取引が成立すること
初心者の方は取引が成立しやすい販売所から始めて、慣れてきたら板取引に切り替えてみましょう。
分析項目が増える
板取引では気配値以外にも、チャート(価格を示すグラフ)から相場を分析するスキルが必要です。
分析手法は多岐に渡ります。主な手法としては、テクニカル分析やファンダメンタル分析が挙げられます。
難易度が高い手法である反面、使いこなせると利益を出しやすくなる有効な分析手法です。
板取引はもちろん、通常の取引でもテクニカル分析やファンダメンタルズ分析を活用してみましょう。
分析が得意・コスト重視の方は板取引が向いている可能性あり
板取引では、気配値の読み取りやチャート分析が、利益を上げるために重要です。また、手数料が低いため、分析が得意な方やコストを重視して取引をしたい方に適している手法といえます。
一方で、分析が苦手な方や仮想通貨初心者の方に、板取引は難しい可能性があります。
板取引に対して苦手意識のある方は、まず販売所での取引から始めてみましょう。
販売所の手数料は取引所と比べて高い傾向にありますが、投資初心者向けの取引場所として設計されているため、簡単に取引を行えます。
板取引のやり方
板取引は、基本的に国内仮想通貨取引所で実行できます。
本章では、国内仮想通貨取引所のbitbankを例に板取引のやり方を解説します。
- 指値注文での取引方法
- 成行注文での取引方法
- 板取引にかかる手数料
指値注文での取引方法
指値注文で板取引を行うステップは、以下のとおりです。
- 注文画面で「指値」と「買い」または「売り」を選択
- 希望価格と数量を入力し、注文ボタンをタップ
- 注文内容確認のポップアップ画面が表示されたら、実行ボタンをタップで完了
- 市場価格が注文価格に到達したら約定
指値注文は希望価格で取引できる一方、希望価格に達するまで取引が成立しません。
成行注文での取引方法
成行注文で「購入」する場合のステップは以下のとおりです。
- 注文画面で「成行」と「買い」または「売り」を選択
- 購入 / 売却希望「数量」または「金額」どちらかを指定
- 「注文」をタップすると、注文が確定
成行注文は指値注文とは異なり、すぐに取引が成立します。
ただ、注文を出したときの価格と、約定した時点の価格に差が発生する可能性もあるため、あらかじめ考慮しておきましょう。
ビットコインから板取引を始めてみたい方は、以下の記事を参考にしてください。
https://bitbank.cc/knowledge/column/article/how-to-buy-bitcoin
板取引にかかる手数料
板取引でかかる手数料は、各取引所によって異なります。
例として当社bitbankの手数料を、以下表に示します。
通貨名 | メイカー※1 | テイカ―※2 |
BTC/JPY (ビットコイン/日本円) | -0.02% | 0.12% |
ETH/JPY (イーサリアム/日本円) | -0.02% | 0.12% |
LTC/JPY (ライトコイン/日本円) | -0.02% | 0.12% |
XRP/JPY (リップル/日本円) | -0.02% | 0.12% |
MONA/JPY (モナコイン/日本円) | -0.02% | 0.12% |
※1 取引板に新規注文を並べて、市場に流動性を作る投資家
※2 取引板に並ぶ価格で注文する投資家
メイカーは取引板に新規注文を提供しているため、仮想通貨売買が成立するたびに手数料を獲得できます。
取引所の板取引は販売所と比べて手数料が低いため、コストを抑えて投資したい方に向いている手法といえます。
仮想通貨の板取引で利益を上げるコツ
仮想通貨の板取引で利益を上げるコツは、以下の3点です。
仮想通貨で利益を増やすためにも、投資前に確認しておきましょう。
- 相場を分析する
- 損切りルールを決める
- 仮想通貨関連の最新情報を収集する
相場を分析する
利益を最大化させるためには、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析などで相場を分析する必要があります。
テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の特徴は、以下のとおりです。
テクニカル分析 | ファンダメンタルズ分析 | |
概要 | 過去チャートの傾向から、売買のタイミングを見極める手法 | 経済情勢や企業の財務状況などの経済指標をもとに、現状の通貨価格が高いか安いかを判断する手法 |
方法 | チャート重視 | 経済指標重視 |
分析対象 | 価格データ、取引量など | 業績、経済状況、政治情勢など |
投資期間 | 短期〜中期 | 長期 |
損切りルールを決める
板取引において、損切りルールを設定しておくと、損失を抑えやすくなります。
損切りルールの決め方に正解はありませんが、以下の設定方法が一般的です。
- ◯〇円損したら売却する
- 買値から△△円下がったら売却する
- トレンドラインを下回ったら損切りする
上記の指標を参考に、明確に数字で観測できるルールを決めておきましょう。
仮想通貨関連の最新情報を収集する
板取引において、最新情報を収集する意識は大切です。仮想通貨関連のニュースや取引所のチャート、世界の経済状況など、幅広く情報を集めましょう。
情報収集は、取引タイミングを見極めるための判断材料になります。また、リアルタイムの市場データやニュースを把握しておくと、予期せぬ市場変動にも素早く対応できます。
板取引で利益を上げたり、リスクを軽減したりするためにも、日々最新の情報をチェックしましょう。
仮想通貨の板取引に関するよくある質問
最後に仮想通貨の板取引に関するよくある質問を2つ紹介します。
- 板取引で購入した仮想通貨は現物扱いですか?
- 海外取引所でも板取引できますか?
板取引で購入した仮想通貨は現物扱いですか?
基本的に板取引で購入した仮想通貨は、現物(仮想通貨を保有している状態)扱いです。
反対に、レバレッジなど実際に手元に資産がない状態は「現物扱い」ではありません。
海外取引所でも板取引できますか?
海外取引所でも、板取引は可能です。海外取引所によっては日本よりも手数料が安かったり、取り扱っている仮想通貨が多かったりします。
しかし、口座開設から通貨の売買、トラブル解決まで、日本語ではなく英語で対応しなければいけません。また、為替レートを考慮した取引が必要になるため、投資に対するハードルも高くなります。
日本円での取引やサポート体制の充実度を考慮する方は、国内仮想通貨取引所を利用してみましょう。
仮想通貨の板取引にチャレンジしてみよう
仮想通貨の板取引は、板情報からチャートを適切に分析する手法です。販売所での売買注文に加えて板取引を投資スキルとして身につけると、取引の幅が広がります。
また、板取引は販売所のスプレッドと比べてコストが低いため、長期的に仮想通貨投資を実行したい方にもおすすめです。
ただし、適切な売買タイミングを見極めるためには相場の分析も必要であるため、初心者の方にとって難易度が高い方法です。
投資初心者の方は、直接売買注文が実行できる販売所で慣れてから、取引所で板取引を始めてみましょう。