【初心者向け】ビットコインの先物取引は使える?現物取引との違いや注意点も解説

ビットコイン先物取引とは、将来価格の設定後に売買を約束する取引方法です。現物取引とは売買の流れが異なるため、理解するまでに時間がかかる取引手法といえます。
一方で、先物取引の仕組みを理解すると、仮想通貨取引の幅が広がるため、覚えておいて損はありません。
本記事では、ビットコイン先物取引の仕組みや特徴、現物取引・レバレッジ取引との違いを解説します。
ビットコイン先物取引の仕組み

ビットコイン先物取引とは、将来の価格を決めたあとに売買を約束する方法です。現物取引と違い、現在価格でビットコイン取引を実施しません。
たとえば、2ヶ月後に「1BTC=600万円」で購入すると仮定します。経済状況の変動に関わらず、2ヶ月後の価格の購入を確約する方法が「先物取引」です。
そのため、2ヶ月後の価格が「1BTC=600万円」以上なら利益となります。
先物取引は、将来の期日と価格を現時点で予想して売買するため、現物取引と比べてイメージするのが難しいかもしれません。
本章では、現物取引とレバレッジ取引との違いや、現物取引との価格差について解説します。
現物取引・レバレッジ取引との違い
先物取引と現物取引、レバレッジ取引の違いを下記の表で解説します。
先物取引 | レバレッジ取引 | 現物取引 | |
証拠金 | 暗号資産業者に担保として預ける | 暗号資産業者に担保として預ける | 保有資産のみ取引可能 |
レバレッジ | 最大2倍 | 最大2倍 | なし |
決済期日 | 期日までに決済 | なし | なし |
取引の種類 | 買い・売り両方可能 | 買い・売り両方可能 | 買いのみ |
先物取引はレバレッジ取引と似ていますが、「決済期日の有無」で種類が分かれます。上記の表を参考に各取引の特徴をとらえて、仮想通貨売買に活用してみましょう。
現物取引との価格差
ビットコイン現物取引は現在の価格を参考に売買する方法です。一方、先物取引は将来の価格を予想して売買を行うため、現物取引との価格差が発生する場合もあります。
また、先物取引の場合、「決済期日までの期間」でも価格差が発生する場合もあります。決済期日で価格差が発生している状態は、以下の用語で解説されています。
- コンタンゴ:決済期日までの期間が長いほど、価格が高くなる状態
- バックワーデーション:コンタンゴとは反対に期間が長いほど、価格が安くなる状態
仮想通貨取引を実施する前に、先物取引と現物取引の間に価格差が発生することを把握しておきましょう。
ビットコイン先物取引に関する事前知識
ビットコイン先物取引には、事前に知っておきたい専門用語が存在します。
用語 | 内容 |
証拠金 | 取引所に預け入れる資金 |
限月(げんげつ) | 契約満期日 |
追加証拠金(追証) | 証拠金維持率を下回った場合、ポジションを維持するために追加で入金する行為 |
レバレッジ | 証拠金を担保に、手持ち資金に対して最大2倍の金額で取引できる手法 |
ロスカット | 損失が一定水準を超えた場合、自動的に決済される仕組み |
各専門用語について詳しく解説します。
証拠金
証拠金とは、取引所に預け入れている資金のことです。先物取引では売買価格をあらかじめ決定、通貨の購入を約束するため、取引所に預け入れた資金(証拠金)によって取引金額が決まります。
また、ポジションを維持するためには、各取引所で決められた「証拠金維持率※」を保つ必要があり、一定の水準を下回ると強制決済となります。
※証拠金を強制決済する際の判断基準。「残りの証拠金÷必要証拠金×100」で計算する。
限月(げんげつ)
限月(げんげつ)とは「契約満期日」のことです。
先物取引では、売買価格をあらかじめ決めてから取引を行いますが、満期日までに売買が成立しない場合、強制決済となります。
追加証拠金(追証)
追加証拠金(追証)とは、証拠金維持率を下回った際に、ポジションを維持するために追加で入金する行為のことです。
追証しなかった場合、強制決済となり損失が確定します。値上がりによる利益獲得を予想する場合は、追証を実施してポジションを維持しましょう。
レバレッジ
レバレッジは証拠金を担保に、手持ち資金に対して最大2倍の金額で取引できる手法です。
ビットコイン先物取引の場合、証拠金ベースでレバレッジ取引できるため、効率よく資産を増やせる可能性があります。
一方で、損失額も大きくなる可能性があるため、レバレッジを効かせる際は余裕資金で実施しましょう。
ロスカット
ロスカットは損失が一定水準を超えた場合、自動的に決済される仕組みで、取引所によって基準が異なります。
損失を抑える目的で導入されていますが、急激な価格変動に巻き込まれると、証拠金以上に損失が出る可能性もあります。
ビットコイン先物取引を実施するメリット
先物取引には、現物取引にないメリットが存在します。
本章では、ビットコインで先物取引をする3つのメリットについて解説します。
- 手持ちより大きな金額で取引できる
- 少額で取引できる
- 売り注文から取引できる
手持ちより大きな金額で取引できる
先物取引は、手持ち資金より大きな金額で取引できる点がメリットです。
取引所に預け入れた証拠金を担保に、最大2倍までレバレッジをかけて取引ができます。
たとえば、現物取引で「500万円」売買できる資産がある場合、先物取引だと「1,000万円」までの取引が可能です。
現物取引と比べて、2倍のペースでビットコインを増やせるため、資金効率が向上する可能性もあります。
少額で取引できる
ビットコインは少額からでも取引可能なので、損失リスクを抑えて先物取引ができます。
たとえば、国内仮想通貨取引所「bitbank」の場合、BTCの最小取引数量は0.0001BTCなので、500〜1,000円で取引可能です。
また、先物取引は少額で実施できるため、ビットコイン以外の仮想通貨でも気軽に始められます。
売り注文から取引できる
先物取引は現物取引と違い、証拠金をもとに取引所から資金を調達して売買するため、売りから発注できます。
現物取引の場合、ビットコイン価格が上昇する相場でしか利益を出せません。一方で先物取引を活用すると、下落相場でも利益を出せる可能性があります。
先物取引は、相場環境に関係なく利益を挙げられる手法なので、活用できると取引の幅がさらに広がります。
ビットコイン先物取引を実施するデメリット
ビットコイン先物取引には、以下3つのデメリットも存在します。
- レバレッジによるリスクが高い
- 売買に期日がある
- 強制ロスカットで損失が確定する
先物取引を実施する前に、あらかじめ確認しておきましょう。
レバレッジによるリスクが高い
先物取引はレバレッジをかけられるため、利益が上がりやすい反面、損失リスクも高くなります。
先物取引とレバレッジ取引どちらも経験がない場合は、損失リスクを軽減するためにも、レバレッジなしの状態から始めましょう。
売買に期日がある
先物取引は決済期日を約束してから売買するため、期日に取引を完了させる必要があります。
そのため、期日までに損失を抱えている場合や価格上昇する見込みがあっても、取引を完結させなくてはいけません。
一方、現物取引の場合、利益が出るまで保有することも可能です。期日に対してプレッシャーを感じる方は、損失リスクを抑えるためにも、まずは少額から始めてみましょう。
強制ロスカットで損失が確定する
先物取引は損失が膨らまないように、一定水準を超えるとロスカットによって強制決済されます。
現物取引の場合、仮に損失が出たとしてもロスカットが発生しないため、利益が出るまで保有を続けられます。
先物取引の場合、ロスカットライン到達後に価格が高騰しても強制決済されるため、本来出るはずだった利益を逃してしまうのです。
ただ、ロスカットは「損失を現時点より増やさないための仕組み」なので、思わぬ損失を救ってくれる可能性もあります。
ロスカットによる損失を避けたい方は、あらかじめ損切りライン設定をしたり証拠金を増やしたりしましょう。
ビットコイン先物取引が向いている方の特徴
ビットコイン先物取引が向いている方の特徴は、以下のとおりです。
- デイトレードやスキャルピングなどの短期取引で利益を積み重ねたい
- トレードに慣れており、売買の判断が早い
- 資金に余裕があり、損失を抱えても追加入金ができる
先物取引は期日を決めて売買するため、短期取引で利益を積み重ねたい方に向いています。
また、短期取引は素早い判断が求められるため、トレードに慣れている中上級者に向いている手法といえます。
加えて、資金に余裕がある状態で始めると、仮に損失を抱えたとしても証拠金を追加で増やせるため、ロスカットを気にする必要がありません。
上記の特徴に当てはまる方は、ビットコイン先物取引を検討してみましょう。
ビットコイン先物取引が向いていない方の特徴
ビットコイン先物取引が向いていない方の特徴は、以下のとおりです。
- 長期保有が目的
- 取引に割ける時間がない
- 投資を始めたばかりでチャートの読み方がわからない
先物取引は短時間での判断が求められる手法なので、トレードに割ける時間がない場合、向いていないかもしれません。
また、先物取引は現物取引と比べて、レバレッジによる損失が大きくなるため、投資に慣れていない方には適していない可能性があります。
上記の特徴に当てはまる方は、先物取引を始める前に「現物取引」から始めることをおすすめします。
ビットコイン先物取引の注意点
ビットコイン先物取引には、現物取引にはない以下3つの注意点が存在します。
- 利益が発生した場合は税金がかかる
- 日本ではゼロカットが禁止されている
- ビットコイン現物ETFの承認ニュースが影響する
取引を始める前に確認しておきましょう。
利益が発生した場合は税金がかかる
先物取引で利益が出た場合、通常の仮想通貨取引と同様に「雑所得」として扱われるため、所得税と住民税が発生します。
雑所得は「累進課税」なので、所得税が最大で45%、住民税が一律で約10%かかります。そのため、先物取引を始める前に税金知識の習得が必要です。
日本ではゼロカットが禁止されている
国内取引所では、「追証なし(ゼロカット)」が金融商品取引法によって禁止されています。具体的には、以下の行為がゼロカットに該当します。
第三十八条の二 金融商品取引業者等は、その行う投資助言・代理業又は投資運用業に関して、次に掲げる行為をしてはならない。 二 顧客を勧誘するに際し、顧客に対して、損失の全部又は一部を補てんする旨を約束する行為(損失補塡等の禁止) 第三十九条 金融商品取引業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。 三 有価証券売買取引等につき、当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補塡し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため、当該顧客又は第三者に対し、財産上の利益を提供し、又は第三者に提供させる行為 引用:金融商品取引法 |
そのため、急激な価格変動によって損失が発生したとしても、補填されることはありません。思わぬ損失にも耐えるためにも、先物取引は余裕資金で始めましょう。
初心者は先物取引より現物取引がおすすめ
先物取引は、将来売買する価格と数量を現時点で決定してから取引を進める手法です。決済期日を約束してから売買するため、現物取引とは異なるルートで利益を積み重ねられます。
ビットコイン先物取引に向いている方の特徴は、以下のとおりです。
- デイトレードやスキャルピングなど短期取引をしたい
- トレードに慣れていて売買の判断が早い
- 資金に余裕があり損失もカバーできる
先物取引はビットコイン取引歴が長い中上級者におすすめの手法で、投資初心者にとってはハードルが高いかもしれません。
まずは、ビットコインの現物取引から始めて、投資に慣れたら先物取引を実施してみましょう。