BTCは連日の史上最高値更新 ボラティリティ復活で活気を取り戻すか

7日〜13日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比170万5050円(10.79%)高の1750万5174円と大幅に上昇し、史上最高値を更新した。
米連邦準備理事会(FRB)による利下げ期待と、米国におけるDeFi規制緩和期待により、先週のBTC円は9日〜10日にかけて1600万円から1700万円近辺まで上昇し、ドル建てで史上最高値の更新に成功。11日東京時間も買い優勢となると、1700万円を回復し、海外時間には1750万円に肉薄した。米国時間には、トランプ関税を巡る懸念が再燃する中、米国株相場の失速を受けてBTCは上渋ったが、米国債の長短金利差拡大を背景に底堅く推移した。
週末にはトランプ政権がEUとメキシコに対して新たな関税を発表し、一時は弱含みに推移するも、一部のアルトコイン相場の上昇を受けてBTCも連れ高となり、14日には1750万円を僅かに上回った。

ドル建てBTC相場は、5月から続いた下降チャネル上限での揉み合いから上放れに成功し、連日の史上最高値更新となっている(第2図)。テクニカル分析の手法の一つであるパターンフォーメーションでは、ブレイクアウト後の相場の値動きは保ち合い直前と同等期間に同等幅で動きやすいと言われ、4月7日から5月22日の約1カ月半でおよそ3万7500ドル上昇していることから、6月22日に付けた安値9万8500ドルから約1カ月半後の8月7日までに13万6000ドル近辺まで上昇余地があると言える。
また、今週は米下院金融サービス委員会が暗号資産(仮想通貨)に関する3つの法案を審議する「クリプトウィーク」となっており、米国における規制緩和と明確化に進展があれば、相場の更なる支援材料となろう。

他方、今週は15日に6月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えている。FRB当局者の一部は、6月からトランプ関税の影響がインフレ指標に表れ始めると指摘しており、市場もCPIは前月比と前年比で共に5月からの伸び加速を見込んでいる。6月FOMCの議事要旨の内容から、トランプ関税の影響は一時的とみている当局者も少数派ながら存在することが明らかとなってはいるが、CPIの伸びが加速すれば、市場の9月利下げ観測は後退し、BTC相場にとっては重石となろう。
尤も、足元ではトランプ関税懸念から米長期国債への売り圧力も強まっており、BTCがこうした逃避資金の受け皿となってる可能性が指摘される。また、ETF経由の資金流入増加もさることながら、連日の史上最高値更新によって、ビットコインのオンチェーン上では短期筋(STH)の増加も若干ながら確認される(第3図)。
STHの増加はリテール層の増加を示し、過去のBTC相場の中長期的な上昇トレンドにおいて必要不可欠な現象となってきた。今年はBTC相場のボラティリティ低下によってリテール層の取引が乏しかったが、下降チャネルからのブレイクアウトと史上最高値更新を切っ掛けにリテールからの資金流入復活も期待される。





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bitbank Report 2025/07/14:BTCは連日の史上最高値更新 ボラティリティ復活で活気を取り戻すか