デジタル通貨は現金以外の電子的通貨すべて!仮想通貨や電子マネーの違いを解説
デジタル通貨とは、現金ではないすべての電子通貨のことです。
仮想通貨もデジタル通貨の一種ですが、電子マネーや中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは特徴が異なります。
デジタル通貨をひとまとめにせず、それぞれの特徴を理解しておくことで、自分に合った通貨を利用できるでしょう。
本記事では、デジタル通貨と仮想通貨の違いに関する以下の項目を解説しています。
【この記事を読むとわかること】
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デジタル通貨と仮想通貨の違いについて気になる方は、参考にしてください。
デジタル通貨の一種が仮想通貨(暗号資産)
デジタル通貨とは現金以外の電子的通貨を指すため、仮想通貨もその一部です。そしてデジタル通貨は、仮想通貨以外にも存在し、それぞれ特徴があります。
たとえば、仮想通貨とよく比較されるデジタル通貨に「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」があり、中央機関の存在しない仮想通貨とは発行元が異なります。
以降の章で、デジタル通貨の種類や特徴、メリットデメリットを理解し、投資対象になるか判断しましょう。
デジタル通貨の主な種類|それぞれの違いを一覧化
デジタル通貨の主な種類と違いを理解して、仮想通貨に投資すべきか判断できるようにしましょう。
ここでは、デジタル通貨の主な種類について以下3つを紹介します。
特徴 | メリット | デメリット | |
仮想通貨 |
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電子マネー | 現金(法定通貨)を決済アプリやサービスにチャージして使える通貨 |
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中央銀行デジタル通貨 | 法定通貨をデジタル化した通貨 |
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仮想通貨(暗号資産)の特徴
仮想通貨(暗号資産)は、インターネット上で自立的に発行される特徴があり、中央銀行や政府など公的な発行機関が存在しません。
仮想通貨には、デジタル通貨として以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
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仮想通貨の詳しい内容につきましては、以下の記事も参考にしてください。
https://bitbank.cc/knowledge/column/article/kyokasho-useful
電子マネーの特徴
電子マネーは、現金に代わる決済手段であり、日本円や米ドルなどの法定通貨をデジタル化した通貨です。決済アプリや決済サービスに現金をチャージ(送金)して利用できる特徴があります。
電子マネーのメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
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基本的に電子マネーは、現金を決済アプリやサービスにチャージして利用する通貨であり、法定通貨を使いやすくしたサービスである意味合いが強いです。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)の特徴
中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、現在使用されている法定通貨をデジタル化した通貨であり、中央銀行の債務として発行される特徴があります。
中央銀行デジタル通貨のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
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現在使用されている紙幣や貨幣の発行から流通コストを削減できる一方で、普及するまでのハードルが高く、導入コストが高いデメリットもあります。
中央銀行デジタル通貨は、仮想通貨と混合される場合があります。仮想通貨とは異なり、法定通貨をデジタル化しているという特徴を理解しておきましょう。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入国と先進国の取り組み
中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、国ごとに取り組み姿勢が異なっています。
バハマや東カリブ通貨同盟、ジャマイカやナイジェリアなど中央銀行デジタル通貨導入国もある一方で、自国通貨のデジタル化には、慎重な姿勢の国もあるのが現状です。
この章では、各国の中央銀行デジタル通貨に対しての取り組みについて、以下3つを紹介します。
- 中国では「デジタル人民元」が拡大している
- アメリカはCBDC導入に対して慎重に取り組んでいる
- CBDCが日本に導入される予定はない
中国では「デジタル人民元」が拡大している
中国ではデジタル人民元の実証実験が進んでおり、中央銀行デジタル通貨への取り組みに積極的です。
中国の2大決済プラットフォームである「アリペイ」と「ウィーチャットペイ」は協力関係にあり、キャンペーンを企画してデジタル人民元導入を進めています。
具体的には、指定都市の住人にデジタル人民元を配布して実証実験を行い、今後はオリンピックやアジア大会開催予定地でも導入予定です。
先進国のなかでも中国は中央銀行デジタル通貨の普及に対して積極的に取り組んでおり、各国も動向に注目しています。
アメリカはCBDC導入に対して慎重に取り組んでいる
アメリカは、法定通貨のなかでも影響力がある「米ドル」を自国通貨としていますが、金融システムやプライバシー保護への影響を考え、中央銀行デジタル通貨の導入は慎重に進めています。
たとえば、アメリカではFRB(連邦準備制度理事会)を中心に、以下の調査と検討を重ねています。
- 既存の金融システムに影響があるか
- プライバシーをどう保護するか
- 経済への影響がどの程度でるのか
アメリカの自国通貨は世界的に影響があるため、中央銀行デジタル通貨の導入は、慎重に調査や検討を重ねる必要があるのです。
CBDCが日本に導入される予定はない
日本では、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に対して実証実験を進めているものの、導入の予定はありません。
実証実験を行っている理由としては、今後国際的に法定通貨がデジタル化した際に対応できるようにするためです。
具体的には日本銀行が中心となり「パイロット実験」と呼ばれる実証実験を行っており、以下2つの取り組みをしています。
項目 | 内容 |
実験用システムの構築と検証 | CBDCを導入する際に必要なシステムの実験を行う |
CBDCフォーラムでの議論 | リテール決済※に関する技術や実務の知見がある金融機関と企業が集まり、議論・検討を行う |
参考:日本銀行決済機構局「中央銀行デジタル通貨に関する実証実験「パイロット実験」の進捗状況(2024 年 4 月)」
※:銀行や中央銀行が提供する預金やお札利用者を仲介する決済業務
日本では、現状中央銀行デジタル通貨の導入予定はありませんが、いつでも普及が進められる準備をしている段階です。
デジタル通貨を使う3つのメリット
デジタル通貨を使うと得られるメリットについて、理解を深めておきましょう。
ここでは、デジタル通貨を使うメリットについて以下3つを解説します。
- 決済・送金の効率が上がる
- 造幣コストを削減できる
- マネーロンダリングを防止できる
決済・送金の効率が上がる
デジタル通貨はオンラインで管理するため、現金よりも決済と送金の効率が上がります。また、現金を持ち運ぶ必要もないため、お金の保管をしやすい点もメリットです。
ブロックチェーン技術や分散型台帳技術を利用するため、従来の金融システムでは数日かかる決済や送金システムも数秒で完結できます。
たとえば、現行の国際送金システムである「SWIFT」とデジタル通貨の送金スピードを下表で比較してみましょう。
国際送金システム | デジタル通貨 | |
送金時間 | 2~5営業日 | 3~5秒 |
参考:Wise「SWIFTでの入金について」
デジタル通貨は、世界中どこに送金しても数秒で行えるため、取引の幅が広がる決済手段なのです。
とくに仮想通貨は、国際送金に強い特徴があるため、送金手段として注目を集めています。
仮想通貨のメリットにつきましては、以下の記事も参考にしてください。
https://bitbank.cc/knowledge/column/article/bitbankplus-column-cryptocurrency-merit-demerit
造幣コストを削減できる
デジタル通貨は現金と違い、製造や輸送、保管に関する必要がないため、コストを削減できます。
財務省によると、貨幣製造にかかる予算は以下のとおりです。
令和4年 | |
変動費(原材料費等) | 4,373 |
固定費(労務費等) | 11,207 |
合計 | 17,138 |
参考:財務省「貨幣の製造に必要な経費」
貨幣製造には、年間約150億円を必要としますが、デジタル通貨を導入すると上記の費用を削減できるメリットがあります。
マネーロンダリングを防止できる
デジタル通貨は、現金と違い取引や送金履歴を常に確認できるため、マネーロンダリングを防止できるメリットがあります。
マネーロンダリングとは「洗浄」を意味する言葉で、不法な手段で得たお金を、合法的に見える化する方法です。
たとえば、盗難や違法薬物で得たお金は、そのまま使うと警察に捕まる可能性が高いため、以下の方法でマネーロンダリングが行われます。
- お金を複数の銀行口座に分けて預ける
- 偽のビジネスを使う
- 海外の銀行を使う
上記の方法は現金で実施できる可能性もありますが、デジタル通貨の場合、お金の動きが履歴で残ってしまうため実行できません。
そのため、デジタル通貨の導入によって、マネーロンダリングによる犯罪を防止できます。
デジタル通貨を使う3つのデメリット
デジタル通貨は便利な面もありますが、導入するデメリットも存在します。
ここでは、デジタル通貨のデメリットについて以下3つを解説します。
- 金融機関の機能が低下する
- プライバシーの侵害が懸念される
- サイバー攻撃のリスクが高くなる
金融機関の機能が低下する
デジタル通貨が普及した場合、銀行やキャッシュレス事業など金融機関の機能低下が懸念されます。
たとえば、預金や給与の受け取りなどは一般的には銀行を仲介しますが、デジタル通貨が導入されると、既存の金融機関に代わる仲介事業が必要です。
既存の金融機関は、デジタル通貨に対応できないと生き残れません。さらに、銀行や信用金庫などの利用に慣れているユーザーは、急なシステム変更に対応できない可能性があるため、デジタル通貨を利用するデメリットといえます。
プライバシーの侵害が懸念される
デジタル通貨は個人の取引情報が追跡され、プライバシーが侵害される可能性もあります。
個人情報が流出してしまうと、以下の被害確率が高まるため、デジタル通貨の導入は慎重に行う必要がああります。
- オンライン詐欺
- ネットストーキング
- ID盗難
デジタル通貨は、個人の取引履歴が残るため管理しやすい一方で、プライバシー保護が課題です。そのため、各国でもデジタル通貨導入に向けて実証実験を行っています。
サイバー攻撃のリスクが高くなる
デジタル通貨はインターネット上で管理するため、現金と比較するとサイバー攻撃のリスクは高く、被害総額も現金よりも大きくなります。
たとえば、銀行強盗と仮想通貨取引所のハッキングによる被害額を下表で比較してみましょう。
被害額 | 被害場所 | |
銀行強盗 | 約6億400万円 | 日月警備保障立川営業所 |
取引所ハッキング事件 | 約580億円 | コインチェック |
参考:日本経済新聞「国内最高額の6億円強奪 東京・立川の警備会社で」「コインチェックの仮想通貨不正流出、過去最大580億円」
デジタル通貨を導入した場合、現金を対象とした強盗事件とは比較にならない規模の流出が発生する可能性もあります。
今後、デジタル通貨が導入されるにあたり、リスク対策やサイバー攻撃発生時の補填などは課題となることが予想されます。日本では実証実験や討論会を開催して、慎重に導入までのプロセスを進める方針です。
中央銀行デジタル通貨や仮想通貨の普及は金融システムに影響する?
中央銀行デジタル通貨や仮想通貨などのデジタル通貨は、現金よりも使い勝手がよい分、既存の金融システムに影響があります。
最後に、デジタル通貨が普及する影響について以下3つを解説します。
- 現金の輸送・保管コスト削減が実現する
- 銀行口座がない人でも決済できるようになる
- 自国通貨が不安定な国では法定通貨として使われる
現金の輸送・保管コスト削減が実現する
現在、物理的に流通している通貨をデジタル化すると、現金に関わるコストを大幅に削減でき、既存の金融システムに影響を与えます。
たとえば、現金の発行や輸送、保管コストやATMの設置や維持コストは不要になるため、デジタル通貨の普及によって削減可能です。
銀行窓口の需要も減少するため、デジタル通貨の普及は金融業界の構造や雇用に大きな影響を与える可能性があります。
銀行口座がない人でも決済できるようになる
中央銀行デジタル通貨や仮想通貨の普及は、銀行口座を保有しない人々にとって、決済手段を提供する可能性も秘めています。
たとえば、ケニアではM-Pesaというモバイル決済サービスが広く普及し、銀行口座を持たない人々も携帯電話を使用して送金や支払いが可能です。
ケニア人口約5,400万に対して、M-Pesa利用者は約4,000万人と80%のシェア率を誇るため、デジタル通貨がもたらす影響もあるとわかります。
参考:総務省「途上国に広がる「モバイル送金」サービス」
銀行口座を保有していない層が決済システムに参加できると、より経済の成長に期待ができます。
自国通貨が不安定な国では法定通貨として使われる
中央銀行デジタル通貨や仮想通貨の普及は、自国通貨が不安定な国々において法定通貨としての役割を果たす可能性があります。
たとえば、各国で仮想通貨を法定通貨とした例は以下のとおりです。
国 | 具体例 |
エルサルバドル | 2021年にビットコインを法定通貨として採用 |
ベネズエラ | 2018年に政府が仮想通貨「ペトロ」を発行 |
中央アフリカ | 2022年にビットコインを法定通貨として採用 |
自国通貨が不安定な国では、より使いやすい通貨を求めているため、世界共通で利用できる仮想通貨は法定通貨として注目を集めています。
デジタル通貨で利益を得たいなら仮想通貨に投資してみよう
デジタル通貨は、現金以外の通貨であり、主な種類には以下3つがあります。
- 電子マネー
- 中央銀行デジタル通貨
- 仮想通貨
仮想通貨は、電子マネーや中央銀行デジタル通貨と違い、法定通貨をベースにして発行されていません。価格の変動幅は大きいですが、他のデジタル通貨と異なり、売買で利益を得られるのが特徴です。
デジタル通貨を使って利益を得たい場合は、仮想通貨取引所の口座開設をして投資をしてみましょう。