仮想通貨における「クジラ」とは何?市場への影響や確認方法を解説
仮想通貨市場における「クジラ」とは大口投資家のことを意味します。クジラは資金力があり、市場価格にも影響を与えるため、利益を確保するためにも動向を常に意識しておきましょう。
本記事では、クジラに関する以下の項目を解説しています。
【この記事を読むとわかること】
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クジラの意味や市場に与える影響について気になる方は、参考にしてください。
仮想通貨におけるクジラの正体とは?
仮想通貨におけるクジラとは、資金力のある大口投資家や古参の投資家などです。明確な定義はありませんが、一般的には1,000BTC以上の保有がクジラの基準とされています。
1,000BTCは100億円相当と高額であるため、機関投資家や限られた古参の投資家がクジラの正体といえます。
機関投資家の規模を日本の株式市場で例えると、日本銀行や年金積立金管理運用独立行政法人などと同程度の規模です。
まずは、仮想通貨市場におけるクジラの特徴から見ていきましょう。
- クジラとイルカの違いは保有量
- クジラクラスターも存在
- クジラの人物例
クジラとイルカの違いは保有量
仮想通貨市場には、クジラの他にも「イルカ」と呼ばれる投資家が存在します。
クジラとイルカの違いは仮想通貨の保有量で、他の海洋生物にも例えられます。保有量ごとの生物名は以下のとおりです。
生物名 | 保有量 |
エビ | 1BTC |
カニ | 1~10BTC |
タコ | 10~50BTC |
魚 | 50~100BTC |
イルカ | 100~500BTC |
サメ | 500~1,000BTC |
クジラ | 1,000~5,000BTC |
ザトウクジラ | 5,000BTC以上 |
保有量ごとに海洋生物の名前を設定していますが、相場を動かすほどの資金力ではないため、基本はクジラ以上の投資家に注目しておけば問題ありません。
クジラクラスターも存在
クジラの動向を探る際に覚えておきたい用語が「クジラクラスター」です。クジラクラスターとは、大口投資家がビットコインを売買したあと、ポジションを保有し続けている価格帯のことです。
クジラクラスターが重要な理由として、仮想通貨市場に与える影響力が挙げられます。
たとえば、クジラが購入してポジションを保有し続けた場合、売却しない限り価格は暴落しにくくなります。
クジラクラスターに注目すると、自分がポジションを取る際に、どの価格帯で購入するべきか判断しやすくなるでしょう。
クジラの人物例
クジラは1,000BTC以上を保有している投資家であるため、基本的には機関投資家が該当します。
ただ、個人単位でもクジラの基準である1,000BTCを保有している投資家も存在します。
人物 | 肩書 |
サトシ・ナカモト | ビットコインの生みの親 明確に個人か団体か判明していない |
チャンポン・ジャオ | バイナンス(Binance)の共同設立者 |
マイケル・セイラー | マイクロストラテジー創業者 |
ティム・ドレイパー | アメリカのベンチャーキャピタリスト |
ウィンクルボス兄弟 | アメリカの仮想通貨投資家 |
上記のビットコインクジラは、海外メディアでも取り上げられており、仮想通貨についての発言がたびたび話題となっています。
クジラが仮想通貨市場に与える影響
クジラの動向は、仮想通貨市場に大きな影響を与えます。具体的にどんな影響なのか確認していきましょう。
- 価格の急騰や急落につながる
- クジラは個人投資家と逆の動きをする
価格の急騰や急落につながる
クジラが資金を移動させたあとは、価格の急騰や急落につながる可能性があります。
たとえば、2024年5月18日にクジラが取引所からウォレットへ資金移動をしました。ウォレットに資金が移動した場合は、仮想通貨が売却されないため価格は上がりやすくなります。
実際に資金移動後の価格推移を、以下のチャートで確認してみましょう。
資金移動後の2024年5月20日に、ビットコイン価格は急騰しています。
もちろんクジラが動いたからといって、必ず価格が急騰するわけではありません。あくまでも、価格推移を予想する判断材料として活用しましょう。
クジラは個人投資家と逆の動きをする
クジラは取引する資金量が多いため、個人投資家とは逆の動きをする傾向にあります。
個人投資家は下落相場に遭遇した際、「損切り」や「通貨の購入を控える」などリスクを軽減する方向に動きます。
一方でクジラは、個人が売却するタイミングで購入を実行する傾向にあるため、個人投資家とは真逆です。
実際に、ビットコイン価格が低迷していた2023年1月当時のポストを確認すると、クジラは約20,000BTCを購入しています。
出典:X「Ali」
同時期のビットコインチャートは、次のとおりです。
クジラが購入していた2023年1月初めのビットコイン価格は底値であり、以降右肩上がりの価格推移となっています。
クジラの動きを確かめる方法5選
大口投資であるクジラの動きは、市場価格への影響力が強いため、常に動向チェックする必要があります。
ここでは、クジラの動きを確かめる方法について以下5つを紹介します。
- Whale Alert(ホエールアラート)
- WHALEMAP(ホエール・マップ)
- Glassnode(グラスノード)
- Coinbase Premium Index(コインベース・プレミアムインデックス)
- Grayscale Bitcoin Holdings(GBTCプレミアム)
Whale Alert(ホエールアラート)
Whale Alert(ホエールアラート)は、クジラによる大きな資金移動をリアルタイムで通知してくれるサービスです。
使い方は簡単で、X(旧Twitter)のアカウントをフォローするだけでクジラの動向がわかります。アカウント登録する必要もないため、個人情報を入力するのに抵抗がある方にもおすすめです。
リアルタイムで情報をキャッチしたい方は、通知をONにしておきましょう。
Whale Alert(ホエールアラート)には以下の活用方法があります。
- 暗号資産取引所からウォレットへの送金
- ウォレットから暗号資産取引所への送金
各活用方法について解説していきます。
暗号資産取引所からウォレットへの送金
暗号資産取引所からウォレットに送金された場合、クジラはしばらく仮想通貨を売却しないため、価格は下がりにくい傾向にあります。
具体的には、取引所からウォレットで大量の資金が送金されると、以下の内容がポストされます。
上記の場合、804BTCがコインベースからウォレットに送金されています。
他の投資家もクジラの動向を確認して売買を行うため、通知があった周辺の価格を観察してみるとよいでしょう。
ウォレットから暗号資産取引所への送金
ウォレットから暗号資産取引所へ送金された場合は、クジラが売却を考えている証拠であるため、市場価格の低下が懸念されます。
具体的なポスト内容は以下のとおりです。
上記の場合、ウォレットからコインベースに3,800BTCが送金されています。
ウォレットから暗号資産取引所へ送金された場合は、仮想通貨の売却により価格が下がる傾向にあるため要注意です。
WHALEMAP(ホエール・マップ)
WHALEMAP(ホエールマップ)は、クジラの動きを可視化してくれるサイトです。
WHALEMAPを使うと以下のように、クジラが資金を移動させた価格帯がわかります。
出典:Whalemap
丸が大きく表示されている部分に資金が集まっており、抵抗線(レジスタンスライン)※1や支持線(サポートライン)※2として機能します。
※1価格上昇の局面で「上げ止まる」と予想される価格帯
※2価格下落の局面で「下げ止まる」と予想される価格帯
無料会員登録するだけで利用できるサービスもあるため、ぜひ一度試してみてください。
Glassnode(グラスノード)
Glassnode(グラスノード)は、クジラの動向やマーケットデータ分析などに便利な市場データプロバイダーです。
Glassnodeの有料アカウントで分析できる内容は、以下のとおりです。
- BTCトランザクションの利益割合
- 市場出来高の分析
- BTC大口ホルダーの動向
- BTCアドレスの保有期間
上記以外にもGlassnodeを使うと幅広く相場分析ができるため、より専門的な分析をしたい方におすすめです。
Coinbase Premium Index(コインベース・プレミアムインデックス)
Coinbase Premium Index(コインベース・プレミアムインデックス)は、アメリカの大手取引所である「Coinbase」と「Binance」で取引されているビットコインの価格差を確認できる指標です。
クジラが資金移動すると、価格差に開きが生まれるため動向を把握できます。
価格差が生まれる理由は「Coinbase」と「Binance」に以下の特徴があるからです。
- Coinbase:大口の機関投資家が利用する
- Binance:個人投資家が利用する
クジラが取引を行うときは「Coinbase」を使うため、取引所に価格差が発生します。
Coinbase Premium Indexを使うと、価格差を確認できるため、クジラの動向を把握するのに向いている指標といえます。
Grayscale Bitcoin Holdings(GBTCプレミアム)
Grayscale Bitcoin Holdings(GBTCプレミアム)は、アメリカの大手暗号資産運用会社である「Grayscale(グレースケール)」が提供するビットコインの保有量を確認できる指標です。
グレースケールは資金力があるため、「指標の確認=クジラ動向を追いかける」につながります。
実際に、Grayscale Bitcoin Holdingsでビットコインの保有量を確認してみましょう。
以下の画像からもわかるように、グレースケールはBTC価格の上昇とともに総保有高を減らしています。
出典:coinglass
Grayscale Bitcoin Holdingsを参考にして、ビットコイン価格を予想する場合、総保有高を確認しましょう。総保有高が増加するほど、クジラが活発に取引をしているため、価格上昇につながります。
クジラの動きを仮想通貨取引に活かす方法
ただ、闇雲にクジラの動きを追いかけても、取引に活かす方法を理解していないと意味がありません。
最後に、クジラの動きを取引に活かす2つの方法を紹介します。
- 上昇トレンドでの押し目
- 下落後の底値
上昇トレンドでの押し目
クジラの動きは、上昇トレンドで押し目を探る際に活用できます。上昇トレンドとは、仮想通貨価格が右肩上がりに推移している状況です。
上昇トレンド中に一時的に下落したタイミングは「押し目」と呼ばれ、購入する絶好の機会になります。
たとえば、以下のチャート画像を見てみましょう。
上昇トレンドの一時的な下落中にクジラアラートが入っています。5月18日以降に価格が上昇しているため、上昇トレンド中の押し目と判断できました。
上昇トレンドが発生しているタイミングで、クジラの資金が入った際は、押し目と判断して購入を検討してみましょう。
下落後の底値
クジラの動向は、下落後の底値を判断する際にも役立ちます。理由として、クジラの資金力により価値が安定し、個人投資家が買いを検討しやすくなるからです。
クジラは個人投資家と逆の動き(価格が下落しているときに購入する)をするため、結果的に価格は底値になり、以降上昇しやすくなります。
下落中にクジラの資金移動が判明した場合は、底値が近いと判断できるため、仮想通貨購入の準備を検討してみましょう。
クジラの動向に注目して仮想通貨取引を進めてみよう
仮想通貨における「クジラ」とは資金力のある大口投資家であり、正体は機関投資家です。
クジラは個人投資家と比べて資金力が大きいため、仮想通貨市場に大きな影響を与えます。
クジラの動きによって、上昇トレンド中の押し目や、下落の底値を見極めるチャンスがあります。仮想通貨取引で利益を積み重ねるためにも、クジラの動きは常日頃から確認しておきましょう。