BTC反落で難しい局面へ 今週も重要指標が目白押し
8月26日〜9月1日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比848,842円(9.17%)安の8,409,678円と反落した。一方、8月のBTC円は一時-27.88%と大きく下げたが、月足終値は-11.05%の8,632,879円に止まり、長い下ヒゲを付けた。
先週のBTC円は900万円台前半から緩む地合いとなると、ドル建てBTC相場が200日移動平均線や62,000ドルのサポートを割り込んだことで、27日には売りが加速し850万円周辺まで押された。
29日には、第二・四半期の米GDP成長率が上方修正されたことで、景気後退懸念が一層緩和したものの、CMEのBTC先物が窓埋めを達成すると900万円回復を目前に戻り売りが入った。
翌30日、BTC円は850万円から徐々に戻りを試したが、7月の米個人消費支出(PCE)価格指数やミシガン大学の消費者信頼感指数が概ね市場予想と一致したことで、米連邦準備理事会(FRB)による大幅利下げ観測が後退し、再び850万円下抜けを試した。しかし、インフレの鈍化と米経済のゴルディロックス状態が米株の支援となると、BTC円も切り返し、結局は方向感に欠ける展開となった。
一方、週末の相場は後半にかけて小緩む展開となり、相場は850万円近辺で動意に欠ける展開。今朝方にCMEのBTC先物が取引を再開すると、やや売り優勢の地合いとなり、850万円を僅かに下回った。
先週は特段に目立った売り材料も視界に入ってこなかったが、ジャクソンホール通過後に相場が900万円台に回復した時点で先物市場では過熱感もあり、相場が200日線などテクニカル的なサポートを次々と割り込む中、ロングの投げが発生した格好だ。
尚、7月の米雇用統計の大幅下振れを受けて台頭した米国の景気後退懸念に関しては、その後発表されたデータによってほぼ解消されたと言え、インフレも継続的な鈍化傾向を示している。ただ、市場は7月の雇用統計を受けて9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが大幅な利下げを行うことを織り込んだが、その後のデータが想定以上に景気の底堅さを示したことでこうした観測に修正が入り、ここもとの米国債利回りは上昇している。
その一方で、景気は過熱も減速もし過ぎないゴルディロックス状態である可能性が浮上し、NYダウは30日、終値ベースで史上最高値を更新、S&P500種も史上最高値更新が直近となっており、全体的な市場のリスク選好度は回復基調と言えよう。先週はエヌビディアの決算を控えて大型テック株は同決算の前後で軟化したが、30日には売りが一服しナスダック総合は反発した。
要は、BTCにとっては米国の景気が強くなり大幅利下げ観測の後退で金利が上昇することと、弱くなって株価が下落するという二つのリスクが同時に存在している状況となっている。こうした中、今週は8月の米製造業・非製造業PMIや雇用統計といった重要指標の発表を控えており、各指標で上振れ・下振れサプライズがあればBTCにとっては向かい風となろう。
重要なのは経済がゴルディロックスを保つことであり、FRBが「経済のソフトランディング」と「利下げ開始」という至難の業をやってのけるかが注目される。
他方、テクニカル的には、BTC円の日足は一目均衡表の三役逆転が解消されてはいるものの、ボンリンジャーバンドでは下降バンドウォークが意識される展開となっており、中期的な相場トレンドの方向感が定まらない中で次の動きを想定し難い状況と言える。相場が60,000ドル水準(≒875.3万円)を速やかに回復できれば、短期的な復調の芽が生える公算も指摘されるが、同水準には一目均衡表の雲上限が走っており、相応に強い材料が必要だろう。