方向感に欠けるBTC相場 株価は復調も仮想通貨には手控えムード
12日〜18日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比11,720円(0.14%)高の8,662,094円とほぼ変わらずだった。
米国の経済指標がインフレの継続的な伸び鈍化を示し、消費関連のデータが強めにでたことで、先週のBTC円は下値を支えられた一方、中東情勢の緊迫化や、米政府によるBTC売りの思惑などが相場の重石となり、1週間を通して概ね800万円台後半での揉み合いに終始した。
一方、5日に歴史的大暴落を演じた日経平均や米主要株価3指数は先週、今月の下げ幅を大幅に縮小する上昇を記録、金(ゴールド)価格もドル建てで史上最高値を更新するなど、BTCは出遅れている印象がある。リスクアセットの中でも特にボラティリティの高いBTCは、米国の景気後退懸念の台頭で強く売られた訳だが、こうした懸念が徐々に後退する状況下で後回しにされていると指摘される。
実際、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物の建玉は、2週間前に急落してから回復していない他、7月は堅調だった米国の現物ビットコインETFへの資金フローも足元ではまちまちとなっている(第2図)。
BTCにはこうした手控えムードが広がっていることが指摘されるが、今週は現状打破の切っ掛けが豊富と言える。20日には複数のFRB高官発言、21日には7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公開、さらに23日にはパウエルFRB議長がジャクソンホール経済シンポジウムで講演する予定となっている。
ここもとのFRB高官からは、第三・四半期中の利下げを示唆する発言や、景気抑制的な金融政策の効果を評価する声が散見され、タカ派として知られていたカンザスシティ連銀のシュミッド総裁やセントルイス連銀のムサレム総裁も利下げが近づいている可能性を指摘している。今月2日発表された7月の米雇用統計の大幅下振れを受けて景気後退懸念が市場では台頭していたが、FRBメンバーからは労働市場へ多少の懸念は散見されるものの、景気全体に対する強い懸念の声は聞こえてこず、「利下げ+景気のソフトランディング(軟着陸)」がメンバーのコンセンサスと指摘される。
ジャクソンホールの場でパウエル議長から同様の発言があれば、BTC相場もそろそろ上向き始めてもおかしくないとみている。ジャクソンホール経済シンポジウムは歴史的に金融政策の転換点、或いはその予兆となるアノマリーもあり、パウエル議長による9月の利下げ着手の本格的な地均しが期待される。
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bitbank Report 2024/08/19:方向感に欠けるBTC相場 株価は復調も仮想通貨には手控えムード