BTC円週足は大幅下落 円高、中東リスク、米景気後退懸念で
7月29日〜8月4日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比2,068,399円(19.65%)安の8,459,562円と大幅に下落し、2月28日ぶりに終値で900万円を割り込んだ。
①米ハイテク企業の決算を控えたナスダック総合の下落、②日銀の政策金利引き上げによるドル円相場の下落、③イランとヒズボラのイスラエルに対する報復宣言、④さらには7月の米製造業PMIの下振れによる米国の景気後退懸念などを背景に先週のBTC円は週明けの1070万円から下値を模索する展開となり、2日の東京時間には960万円周辺まで下落した。
2日米時間序盤に発表された7月の米雇用統計では、賃金の伸びが鈍化したものの、月間非農業部門雇用者数が大幅に下振れた上に失業率が予想外に上昇(4.1%→4.3%)し、景気後退懸念が加速。するとBTC円は950万円を下抜け、週末は900万円周辺での推移となった。
しかし、昨晩にかけて再び売り優勢の展開となり、週足終値は850万円を僅かに割り込んだ。本日もアジアの株式市場の下落を眺め売り先行で取引を始めており、足元では800万円を割り込んでいる。
米連邦準備理事会(FRB)が7月30日から7月31日にかけて開催した連邦公開市場委員会では、政策金利の据え置きが決定され、パウエルFRB議長は会合後の記者会見で9月利下げ開始の可能性を示唆した。一方、先週は製造業PMIと雇用統計の下振れを受けて米経済のハードランディング(強行着陸)懸念が急速に台頭し、BTCを含めリスクアセットが軒並み売られている。
フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では、これを受けて9月に50ベーシスポイント(bp)の利下げ、年末までに125bpの利下げを一気に織り込んだが、単に「利下げをする」のと、景気後退によって「利下げをしなければならない」では市場の反応が大きく変わる。
ただ、依然として米経済のハードランディングが確定した訳ではなく、足元の市場の反応はやや大袈裟にも感じる。本日発表される7月の米非製造業PMIでは、6月の48.8から51への改善が見込まれており、市場が冷静さを取り戻す切っ掛けになるか。また、FOMC直前までのメディア・ブラックアウト期間も過ぎており、今週はサンフランシスコ連銀のデイリー総裁やリッチモンド連銀のバーキン総裁らの発言を控えている。双方ともこれまで利下げについての具体的な言及はなく、特にバーキン総裁はかなりの慎重派だったが、昨今のインフレ低下と先週の経済指標を受けて多少なりともタカ派的なトーンを弱めるだろう。
チャート上では、BTCのドル建て相場は3月から続く下降チャネル(第2図内紫線)の下限を僅かに割り込んでいるが、5月と7月にも同様の値動きをしていたことに鑑みれば足元の下落は許容範囲内と言えよう。テクニカル的にも売りの過熱感が確認され、今週の相場は売り一巡後に反発する可能性もあるだろう。足元のBTC先物市場ではショートポジションの増加も確認され、踏み上げ相場となる可能性も指摘される。
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bitbank Report 2024/08/05:BTC円週足は大幅下落 円高、中東リスク、米景気後退懸念で