米国債・米株上昇もBTCは冴えない動き オンチェーンは調整一巡を示唆
10日〜16日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比418,118円(3.82%)安の10,524,900円と反落した。
12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内の利下げ回数見通しがこれまでの3回から1回に修正されたことで、先週のBTC円は1100万円周辺から上値の重い展開となり、1050万円周辺まで下落。翌13日にの5月米卸売物価指数(PPI)が市場予想比で下振れるも、相場はイベントを消化する形で続落した。14日には、仏政局不安を受けたドルの急伸がBTC相場の重石となり、相場はロングの投げを伴って1025万円近辺まで急落した。
一方、これによりBTCのドル建て相場が65,000ドルにタッチすると、押し目買いが入り反発し、1040万円を回復し週末に入った。
週末のBTC円は1040万円台での揉み合いが続いたが、16日にはトランプ前米大統領が「バイデン政権の暗号資産(仮想通貨)に対する戦争を終わらせる」と発言すると、相場は小締まる展開となり、週足終値では1050万円を回復した。
先週は、米国の消費者物価指数(CPI)、PPIに加え、14日に発表された前月比の輸入物価指数が大幅に下振れ、利下げ見通しにタカ派的な修正が入ったFOMCとは裏腹にFF金利先物市場では9月と12月の2回の利下げを織り込む動きが確認された。しかし、先週の米国債と米株の上昇(金利は低下)をもってしてもBTC相場は上値追いに失敗し、冴えない動きが続いた。
BTC相場が軟調となった背景ははっきりしないが、①週明けの急落によるテクニカルの悪化、②タカ派的だったFOMC、③ドル指数の上昇、④さらにはマイナーのBTC換金売りの思惑などが複合的に相場の重石となった格好か。ドル指数の上昇は、タカ派的だったFOMCの影響もあるが、加えて仏政局不安を反映したユーロの下落の影響も大きいと言える。だとすると、フランスの総選挙が完結する7月7日まではユーロの軟調地合いが続く可能性が指摘され、それに伴うドル指数の上昇がBTC相場の上値圧迫要因となるか。
ただ、BTCのドル建て相場は心理的節目の65,000ドルで反発し、長期の75日線や一目均衡表の雲が相場のサポートとなっており、足元ではテクニカル的なサポートが豊富な水準で推移している。こうした中、短期で保有されるBTC(STH、Short-Term Holder)の損益レシオは、含み益と含み損が拮抗する水準まで低下しており(第2図)、これにより相場の値幅調整も一巡した可能性が指摘され、今週のBTCは底堅い推移に転じると見ている。今週も65,000ドル周辺がBTC相場のサポートとなるだろう。
一方、先週と比較すると今週は経済指標などの材料が乏しい1週間となっており、積極的な買いもあまり見込めないだろう。BTCマイナーのアドレスからはBTCの純流出が続いており、相場が戻せば換金の売りが入る可能性もあり、上値の余地はせいぜい69,000ドル〜70,000ドル(≒1086万円〜1102万円)程度と見ている。
PDFリンク
bitbank Report 2024/06/17:米国債・米株上昇もBTCは冴えない動き オンチェーンは調整一巡を示唆