BTC週足は続伸でブレイクアウト直近 週後半の材料まで水準を維持できるか?
20日〜26日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比408,710円(3.95%)高の10,758,701円と2週続伸した。
先週のBTC円は週明けの相場上昇で史上最高値の1100万円を更新するも、その後は失速し、23日には1050万円周辺まで押した。しかし、24日朝方に米証券取引委員会(SEC)が現物イーサETFを上場させるためのルール変更申請を承認し(証券登録申請は依然審査中)、イーサ(ETH)相場の上昇につれてBTC円も下げ止まると、この日の米国時間に米ミシガン大学が発表した消費者信頼感指数の低下と期待インフレの下振れを好感し、相場は下げ幅を縮小した。また、同日には国際司法裁(ICJ)がイスラエルに対してガザ地区南部ラファの侵攻停止命令を下し、中東情勢悪化の収束期待が相場の支えとなった。
週末のBTC円は概ね1080万円台での揉み合いに終始。26日には、ドナルド・トランプ元米大統領が、米国の暗号資産(仮想通貨)業界発展に支持を示し、自身が11月に再選した暁にはシルクロード創設者で現在は終身刑に服しているロス・ウルブリヒト氏に大統領恩赦を与えると発言したが、相場の反応は薄かった。
今週のBTC相場は続伸を想定し、ドル建てではいよいよ3月から続く下降チャネルからのブレイクアウトが視野に入る(第2図)。
24日に発表された米国の4月耐久財受注は、市場予想の-0.8%に対して+0.7%と大幅に上振れたが、消費者信頼感指数の低下(77.2→69.1)や5年先のインフレ期待が市場予想の3.1%に対して3%の伸びにとどまったことで安心感が広がった。今週は30日に第一・四半期の米GDP成長率や価格指数といった一連の四半期データの改定値、31日には4月の米個人消費支出(PCE)価格指数の発表を控えており、週後半にかけて重要材料が目白押しとなっている。
一連の四半期データでは、GDP成長率の下方修正に対して物価指標の上方修正が見込まれており、スタグフレーション懸念の再燃もやや警戒されるが、データの遅効性を鑑みればBTCにとっては新たな売り材料とはならないか。よって、より注目されるのは米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注目するPCE価格指数と言える。
消費者物価指数(CPI)と同様に、PCE価格指数は3月に前月から伸びが加速(2.5%→2.7%)していたが、4月のCPIは3.5%から3.4%に低下した。4月は原油価格の上昇が主なCPIの上昇要因となっていたが、それを除けばサービス全般と運輸サービス価格の上昇鈍化や新・中古車と言った単価の高い耐久財の値下がり目立ち、全体で見た消費額は3月と比べて低下している可能性が高いと指摘され、PCE価格指数も緩慢ながら伸びの鈍化を見込んでいる。
ただ、週後半に待ち受ける米国の重要指標までBTC相場がチャネル上限周辺の水準を維持できるかもブレイクアウト成功を左右すると言えよう。足元では、米国の現物ビットコインETFへの資金フロー改善やテクニカル的なセンチメントの改善も見受けられるが、先週のSECによる現物イーサETFの承認機運の高まりを受けてビットコインのドミナンスは頭打ちとなっており、先週はETHへ資金が流れていた可能性が指摘される。そんなETHも短期間での急激な相場上昇で過熱感が窺え、利益確定売りが入ればBTCもつれて値を下げるだろう。
目先のBTC相場の下値目途はオプション市場で建玉が集中する65,000ドル周辺(≒1018万円)と見ているが、4月の米CPI下振れを受けてBTC相場は5,000 ドル弱ほどしか戻せておらず、相場が65,000ドルまで押した状態で米PCE価格指数を迎えれば、70,000ドルより少し上を走るチャネル上限のブレイクは難しいだろう。
一方、BTCドルが下降チャネルのブレイクアウトに成功すれば、史上初の80,000ドル台が視野に入ると見ている。
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bitbank Report 2024/05/27:BTC週足は続伸でブレイクアウト直近 週後半の材料まで水準を維持できるか?