BTC週足反発で4月の下げ幅を縮小 チャネルブレイクは今週もお預けか?
13日〜19日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比744,898円(7.76%)高の10,349,991円と7週ぶりに反発し、直近5週間の下げ幅を奪回した。
週央15日に発表された4月の米消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化(3.5%→3.4%)を受けて、利上げ再開やスタグフレーション懸念が後退し、米連邦準備理事会(FRB)による年内の利下げ開始期待が強まったことで、BTC円は4月27日ぶりに終値で1000万円を回復。翌16日に発表された4月の米輸入物価の上昇を受けて一時は下げ幅を縮小するも、ドル建てで65,000ドル水準(≒1010万円)周辺で下げ止まると、米国の現物ビットコインETFへの資金フロー改善や、機関投資家が米証券取引委員会(SEC)に四半期毎に提出する13Fレポートで、ヘッジファンドのミレニアム・・マネジメントや大手銀行のウェルズ・ファーゴとUBSに続きモルガン・スタンレーもビットコインETFを保有していることが明らかとなり、17日の相場は確りと推移。さらにこの日は海外時間のドル安進行を眺め、相場は一時1050万円にタッチした。
一方、この日はNYダウが初めて終値で40,000ドルに乗せたが、米株式市場全体では上値が重く、BTCは1050万円を背に揉み合いに転じると、週末には一部アルトコイン相場の軟化に連れ安となり、週足の終値にかけて相場はやや押した。
今週のBTC相場も確りとした推移が続くと想定する。先週のBTC対ドルは、3月から続く下降チャネルの下限近辺から反発に成功し、足元では4月23日の戻り高値67,200ドル(≒1047万円)周辺で上値を抑えられている(第2図内オレンジ線)。こうした中、米CPIの伸び鈍化や堅調な米株式市場を背景にビットコインETFへの資金フローは直近5営業日連続で純流入を維持しており、15日からは日次の純流入額が2億ドルを超えている。また、テクニカルの側面では、BTCドルの日足は一目均衡表の三役逆転を解消するなど、テクニカル的なセンチメントの改善が指摘される。
加えて、BTCのオプション市場では、週末にかけて65,000ドルストライクの建玉が減少し、足元では70,000ドルストライクが最大ピンとなっており、24日のオプションカットに向けて相場が70,000ドルに吸い寄せられる展開が視野に入る。
他方、今週は23日未明に公開される4月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が注目材料となろう。4月FOMC後にパウエルFRB議長は「インフレ沈静化の進捗は失速している」と発言していた他、当会合は4月CPIの発表前に開かれたことから、会合参加者の大多数が政策金利を当面維持することを支持していたと推測される。尤も、4月のCPIを受けて利上げ再開懸念が後退した現状では、今夏いっぱいの金利維持も市場では織り込み済みであり、4月FOMCの議事要旨がBTCにとって特段の買い材料にも売り材料にもならないか。
上述の通り、今週のBTCドルは70,000ドルを試す余地があると見ているが、米国のインフレ指標ほど影響力のある材料も今週は視界に入っておらず、BTC相場が下降チャネルからブレイクアウトできるかは、来週発表される4月の米個人消費支出(PCE)価格指数で再びインフレ鈍化を確認できるかにかかっていると見ている。
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bitbank Report 2024/05/20:BTC週足反発で4月の下げ幅を縮小 チャネルブレイクは今週もお預けか?