Bitcoin Monthly Report:下落トレンドの底は近い?オンチェーンが示唆

ビットコイン週足

- ビットコインは先週の週足が8.8%上昇し、強い買いが見られた。今週は小幅に価格が下落しているが、安値を割り込む動きにはなっていない。最安値近辺の250万円を割り込むのには、売り手もかなり苦労しているようだ。一方、週足は約2ヶ月間平均となる8EMAを下回っており、弱いプライスアクションには変わりはない。
- 週足のMACDは依然としてマイナス圏で遅行線を下回り、売りシグナルが継続している。しかし先週はMACDと遅行線との差が縮まっており、下落の勢いが落ちていることを示唆している。
- 週足のRSIはかなり低い水準で推移している。今週は31で推移しており、売られすぎ水準の30を僅かに上回っている状態だ。ヒストリカルで見ると、30を下回ったのは2018年12月の29と2022年6月の28だけだ。2018年では下落トレンドが底打ちしており、現在の水準もかなり底打ちに近いことを週足RSIは示している。
デリバティブ市場
未決済建玉数

- 未決済建玉数は全体的に上昇している。価格が500万円近辺で推移していた4月頃から上昇が継続している。ビットコインを裏付け資産にするBTCマージンは、価格が400万円から300万円を割り込んだ際に一時大きく下落したが、現在は再び上昇している。BTCマージンは足元で18.2万BTCとなり、約1年ぶりの高値圏で推移している。USDTなどを裏付け資産にするキャッシュマージンは、4月から順調に上昇しており現在は28.0万ドルで推移している。キャッシュマージンは、glassnodeのデータでは最高値圏で推移している。高い未決済建玉は今後の相場でボラティリティが高くなる可能性を示している。
先物価格乖離

- 3ヶ月先の先物価格と現物価格の乖離は足元で小幅に上昇しているが、長期的に見ると下落傾向が見られる。現在の乖離は1.8%で推移している。2週間前は0.3%まで下落し、ヒストリカルで見ても最低水準となった。多くのトレーダーが価格の上昇を見込んでいないことを示している。ここ2年間のデータでは、乖離が2%を下回った際に下落トレンドが底打ち傾向が見られた。現在の先物価格の乖離は下落トレンドの底打ちが近いことを示唆している。
オンチェーン・データ
取引所保有BTC

- 取引所が保有するBTCは長期で下落傾向にある。1ヶ月前は251万BTCで推移していたが、現在は237万BTCで推移している。これは2018年以来の低水準となっており、ユーザーがビットコインを取引所以外で管理するようになっていることを示している。取引所からビットコインが出金されている大きな流れは変わっていが、価格が500万円から400万円まで下落した際に一時取引所保有BTCは上昇している。一方、400万円から300万円近辺まで下落した際、取引所保有BTCが大きく上昇することはなかった。これは価格の下落を懸念したユーザーの売り圧力が減少していると推測される。
リアライズドP/L

- リアライズド・プロフィット/ロス(P/L)は、送金があったコインの損益を合計した指標だ。プラスで推移している際は、送金されたコインが利益を出している状態を示し、マイナスで推移していると損失が出ている状態を示す。
- 同指標は、6月に価格が400万円から300万円まで下落した際に大きくマイナスに振れている。先月は-423万ドルを記録しており、今年の下落トレンド中の最低値を記録した。多くの投資家が損失を確定する動きが発生した。この指標が大きくマイナスになると、相場の底打ちを示唆する。
- ビットコインは価格が年々上昇しているため単純比較はできないが、先月は史上最も低い値を記録し、相場のターニングポイントになってもおかしくはない損失金額を記録した。
含み益アドレス割合

- 含み益アドレス割合は、下落トレンドの進行に合わせて低下している。現在は57%程度で推移している。これは2020年以来の低水準だ。ヒストリカルでは、同指標が50%を下回ると下落トレンドが底を打つ傾向が見られる。
- 最近の動きで注目すべき点として、価格が500万円から400万円まで下落した際に含み益アドレス割合は13%ほど低下している。一方、400万円から300万円まで下落した際は、5%程度の下落に止まっている。価格が300万円より低い価格で購入された
アドレスはかなり多かったことを示している。最近の上昇トレンドが始まった2020年10月以前に購入された可能性が高く、長期投資家のアドレスではまだ含み益が出ていることを示唆している。
長期保有者損失推移

- 長期保有者損失推移は、155日以上保有されたビットコインの送金時で損失を出している数を合計している。同指標は、価格が500万円を割り込んだ4月頃から急上昇している。多くの長期保有者が損失を確定させる動きになったことがわかる。
- 現在の同指標は、480万BTCに上る。これはヒストリカルで見て最高水準に該当する。2020年5月のコロナショック時と2018年のバブル崩壊時に同指標はそれぞれ500万BTCを超えている。
まとめ
- 週足は依然として移動平均線の下位で推移し弱いチャートを形成している。一方、今週も含めここ4週間は安値を更新しておらず、底堅さも見られるようになった。週足RSIはヒストリカルの売られすぎ水準となり、売りポジションにも注意を促している。
- オンチェーン・データでは、取引所保有BTCが減少しており売り圧力の減少を示唆している。リアライズド・P/Lからは、6月に多くの投資家が損失を確定したことがわかる。売り手の一巡から今後の価格推移が底堅く推移することを示唆するデータが出てきている。