BTCは史上最高値が射程圏内に 米中通商協議の結果とインフレ指標でどう動く?

5日〜11日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比151万9113円(11.11%)高の1519万4113円と5週続伸した。
米ニューハンプシャー州とアリゾナ州での暗号資産(仮想通貨)準備金法案可決と、トランプ関税を巡る米英通商協議の合意によって、1450万円を回復したBTC円は、9日米国市場引け間際にトランプ大統領が対中関税を80%まで引き下げる可能性を示唆したことで、1500万円に到達した。
週末には、インドとパキスタンが即時停戦で合意したほか、トランプ氏が米中通商協議において「多くが議論され、多くが合意に至った」と進展をアピールしたことで、一時は1527万円近辺まで上昇した。
一方、これによりドル建てBTC相場が10万5000ドルにタッチすると、相場は1500万円をサポートに揉み合い転じた。

BTC円は1500万円到達で「目標達成感がある」と指摘したが、米中通商協議が想定外にも早々にポジティブな形で合意する可能性が浮上し、週末も底堅い推移を維持した。トランプ米政権は米国時間で本日朝方に協議内容の詳細を発表するとしており、英国と同様に相互関税の上乗せ分撤廃か、大幅な関税の引き下げが実現すれば、BTCはもう一段上昇する余地があるだろう。
この場合、相場は史上最高値の10万9000ドル(≒1594万円)を試しにいくとみている。
一方、今週は4月分の米消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)の発表をそれぞれ13日と15日に控えている。4月はトランプ政権の相互関税において10%の一律関税が発動されており、一時的な物価上昇率の加速が懸念されている。
先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)通過以降、FF金利先物市場は年内三回の25bp利下げを織り込んでいるが、その確率は徐々に低下しつつあり、今週の米インフレ指標の伸びが加速すれば、BTC相場には重石となる可能性がある。
BTC相場は既にテクニカル的な過熱感も確認されており、米インフレ指標が強めに出れば、利益確定売りの良い口実にもなるだろう。史上最高値が射程圏内に入ったBTCだが、今週は上下に振れる展開に注意が必要だ。




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bitbank Report 2025/05/12:BTCは史上最高値が射程圏内に 米中通商協議の結果とインフレ指標でどう動く?