BTCは値固めの様相 テクニカル的な売りに注意
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10日〜16日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比1万3219円(0.09%)安の1467万5778円とほぼ変わらずだった。
先週前半は米金利の上昇に上値を抑えられつつも、パウエル米連邦準備理事会(FRB)の発言で下値を支えられたBTCだったが、13日木曜に一目均衡表の三役逆転が完成したこともあってテクニカル的なセンチメントの悪化でその後も上値の重い展開が続いた。
14日米国時間には、1月の米小売売上高と輸入物価が市場予想比で下振れたことに加え、アブダビの政府系ファンドがブラックロックのビットコインETF(IBIT)を保有しているとの報道を受けて、一時は買いが入ったが、ドル建てBTC相場が一目均衡表の雲上限にタッチすると戻り売りが入り、上げ幅を掻き消した。
週末は特段の取引材料に乏しく、相場は概ね1480万円〜1492万円の狭いレンジで推移したが、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物が取引を再開するとやや売り優勢となり、若干水準を下げた。
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今週のBTC円は下値を模索する展開に注意したい。ドル建てで三役逆転が完成した後も底堅い展開が続いてはいるが、ボリンジャーバンドでもセンターラインが右肩下がりになる中、相場は-1σ割れを試す展開となっており、テクニカル的には弱気相場突入が意識される状況と言える。
一方、先週の米消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)は共に前年比で加速し、市場予想も上回った(第2図)。その後発表された小売売上高の大幅下振れで米金利は低下したものの、FRBによる追加利下げのタイミングには強い不透明感が残っており、BTCにとっては良くも悪くも動きづらい結果と言えよう。
ただ、PPIでは一部の項目で価格の低下が確認され、小売売上高では消費の減速が確認されたことで、市場にとってはある意味安心感につながっていると指摘され、先週のBTCは値固めの様相を呈した。今週は比較的に重要な経済指標に乏しく、BTCは引き続き方向感に欠ける展開も視野には入るが、上述の通り、BTCのテクニカル的なセンチメントは徐々に悪化しており、手掛かり難で相場がジリ安となれば、どこかのタイミングでテクニカル的な売りが入る可能性にも警戒しておきたい。
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他方、今週22日にはトランプ米大統領が先月23日に署名した大統領令によって結成された暗号資産(仮想通貨)ワーキング・グループによる、仮想通貨業界に影響する現行規制の洗い出し作業の期限を迎える。このタイミングで新たな規制緩和が打ち出される訳ではないが、何かしら情報が開示され進捗が確認されれば、多少は相場の支援となるか。
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