貿易戦争懸念でBTC急落 下げ止まったとはまだ言えないか
1月27日〜2月2日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比80万6007円円(5.03%)安の1523万1041円と反落した。
週明けのディープシークプチショックから徐々に戻りを試した先週のBTC円だったが、週央に下げ幅を奪回すると1650万円近辺で失速。その後は節目の1600万円で下げ止まり、31日に発表された12月米個人消費支出(PCE)が市場予想と合致したことで、一時は1650万円を試すも、ドナルド・トランプ(DT)米大統領がカナダとメキシコに対する関税延期の報道を否定したことで、米株式市場の下落に連れて下げ足を速めた。
これによりBTCは1600万円を割り込み週末に突入。2日土曜日は小幅な揉み合いで始まったが、トランプ大統領がカナダとメキシコに25%、中国に10%の関税を4日から課すと発表すると、相場は再び下落を開始した。関税の応酬よる貿易戦争への懸念からその後もBTCは弱地合いが続き、今朝方には1500万円にタッチ。更に、米株先物が取引再開と同時に急落すると、本日は1500万円を割り込み、一時1440万円まで下値を広げている。
カナダは既に米国製品に対して同様に25%の報復関税を発表、メキシコも本日から報復措置を取るとしており、貿易戦争への懸念が浮上した。対して中国の商務省は米国の関税に「断固反対」と表明し、世界貿易機関(WTO)に提訴する方針に止まっており、中国の次の動き次第ではもう一段とリスクオフムードが加速する恐れもあるか。
ただ、米国に対する輸出への依存度が高いカナダとメキシコが2018年の中国のように米国を相手取って貿易戦争ができるかは、正直、疑問に思う。トランプ大統領は昨日、3日にカナダとメキシコの首相と電話会談すると明かしたが、双方とも相当に焦りがあるように見受けられる。
とは言え、米国時間本日朝方に予定される電話会談を通過するまでは安心し切れない。BTCは本日の取引で既に9万1000ドル(≒1417万円)近辺まで急落して9万4000ドル(≒1463万円)まで反発しているが、現時点では不確定要素が多すぎて下げ止まったとは判断し難い。米国の関税の目的は、国内への不法移民と合成薬物フェンタニルの流入を阻止することだが、関税解除の要件は明かされておらず、電話一本で事態が収束するとも考え難い。
BTCは高値レンジ下限の9万2000ドル(≒1432万円)を終値ベースで死守できるかが目先の焦点と言え、本日の米国時間の値動きで明日からの明暗が別れる可能性に注意しておきたい。
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bitbank Report 2025/02/03:貿易戦争懸念でBTC急落 下げ止まったとはまだ言えないか