年始から強含むBTC トランプ2.0まで残り14日
12月30日〜1月5日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比67万6925円(4.58%)高の1547万269円と反発。ドル建てでは、9万3000ドル台から9万8000ドル台に戻した。
1480万円周辺から取引が始まった先週のBTC円は、週明け30日の海外時間に一段安を演じ、1430万円周辺まで水準を下げた。しかし31日には、クリプトクワントがコインベースプレミアムが2024年1月ぶりの低水準に下落したと指摘したことで割安感から相場は切り返すと、スイス政府がスイス国立銀行にBTCを準備金として保有させる憲法改正案を連邦官報に登録したことも好感され、BTC円は強含みに推移。新年1月1日からも締まる地合いが続き、2日の米国時間には1540万円近辺まで水準を戻した。
2日にブラックロックの現物ビットコインETF(IBIT)から過去最大の3.32億ドルの資金流出が確認されたことで、3日の東京時間に相場は失速したが、この日の米国時間には米ハイテク株主導で株式市場が反発し、BTCも連れ高で1550万円にタッチした。
また、3日には米国の現物ビットコインETFに計9.08億ドルの資金流入があり、週末のBTCは底堅く推移。本日は既に9万9000ドル(≒1560万円)を試す展開となっている。
年末にかけて資金の純流出が続いた米国の現物ビットコインETFだったが、3日にはおよそ1カ月半ぶりに9億ドルを超える資金の純流入を記録した(第2図)。今週からは年末年始の休暇が明け、機関投資家が戻ってくることから、ETFからの資金流出にも歯止めが掛かるだろう。
さて、新年に入りついに第2次トランプ政権発足まで後14日となった。暗号資産(仮想通貨)界隈では、①戦略的ビットコイン備蓄(Strategic Bitcoin Reserve、SBR)の設立、②マイニング促進や、③規制緩和などに期待が寄せられており、特に①のSBR設立はロシアやブラジル、上述のスイスでも同様の提案が出されており、「国家によるビットコイン争奪戦」という市場にとって2025年の一つの大きなテーマとなり得る。
一方、一部ではトランプ次期大統領が就任初日に大統領令を駆使してSBRを設立するとの声もあるが、昨年11月の米大統領選で注目された予測市場のポリマーケットでは、トランプ次期大統領の就任後100日以内にSBRが設立される可能性は28%しか織り込まれておらず、ハネムーン期間中の達成確率はお世辞にも高く見込まれていない。確かに、シンシア・ルミス上院議員が提出した「ビットコイン法案」は5年間で年間20万BTC(≒3.09兆円)を購入し、最終的に100万BTC(≒15.4兆円)を準備金として備蓄するというもので、その規模からリスクや財源確保の観点で議論が難航する公算は高いと言える。
しかし、米司法省が既に保有する18.7万BTC(≒2.89兆円)をSBRに転換するハードルは、追加の購入オペを必要としないことから、「ビットコイン法案」と比較してもかなり低いと指摘され、トランプ氏が大統領令でこれを実施する可能性があると見ている。
こうした米国でのSBR設立への期待感から、目先のBTCは強地合いが続くだろう。今週は全米供給管理協会(ISM)の12月非製造業購買担当者景気指数(PMI)、12月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、更には12月の米雇用統計と重要指標が目白押しとなっているが、FF金利先物市場では米連邦準備理事会(FRB)による利下げは年内1回だけというのが大勢のコンセンサスとなりつつあり、既にFOMCの示した2025年の政策見通しよりもタカ派的なシナリオを織り込んでいる。よって、ある程度の指標の上振れはBTCにとっても大きなサプライズにはならないと指摘される。