BTCは1600万円乗せで史上最高値更新 米国のSBRに期待感
9日〜15日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比86,5550円(5.71%)高の16,015,552円と2週続伸し、初めて1600万円台に乗せた。
先週は米国のインフレ指標の発表を控え、BTC円は弱含む展開で取引が始まり、週明け9日から1500万円の維持に失敗し、10日には1440万円周辺まで水準を下げた。しかし、ドル建てで95,000ドル周辺となる同水準で下げ渋ると、トランプ氏がBTC価格を「もう一つの株式市場」として重視しているとの発言を受けて、11日には1500万円を回復。更にこの日発表された11月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想と合致したことで、米国時間には1500万円台中盤まで戻した。
その後はドル建てで102,000ドル周辺となる1500万円台中盤で上げ渋る展開となったが、ドル円相場の上昇を受けて円建てBTC相場は強含み、13日の米国時間には米株の上昇を味方に1563万円まで上昇。14日には一時1574.7万円の史上最高値を付けた。
また、週末には米ストライクCEOのジャック・マラーズ氏(JM)が、トランプ次期米大統領が就任1日目に大統領令を駆使してBTCを購入する可能性があると発言。15日にはフォーブス誌もトランプ氏が戦略的ビットコイン準備(SBR)計画を承認しているとのタイトルの記事を公開し、相場は徐々に強含んだ。今朝方には、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物取引再開と同時に相場は一段と水準を上げ、1600万円台乗せに成功した。
週末の相場上昇でBTCは円建て・ドル建ての双方で史上最高値を更新、ドル建てでは本日既に106,500ドル(≒1637.4万円)周辺まで上昇している。米国以外にもロシアやブラジルなどでSBRが提案される中、国によるBTC購入競争への注目度や期待感が相場を押し上げていると言えるが、今週は今年最後の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えており、冷静さを保ちたいところだ。
9月のFOMCで50ベーシスポイント(bp)の利下げが決定された際の経済見通し(Summary of Economic Projection、SEP)では、FOMCは2025年に4回の25bp利下げ見通しを発表していた(第2図内赤線)。しかし、それ以降で米国のインフレ指標は軒並み前年比で伸びが加速し始めており(第3図)、当時想定されていた利下げの計画は幾分ペースダウンすることがほぼ確実と言えるだろう。
尤も、市場も9月からの米インフレ指標の上昇を受けて政策金利の道筋の見通しを大幅に修正した。16日時点では、FF金利先物市場では来年に2回の25bp利下げが織り込まれており、利下げペースにブレーキが掛かることは織り込み済みだ(第2図内青線)。問題は12月のSEPで来年末の政策金利の着地予想がどれだけ引き上がるかと言えるが、今回のFOMCではそれ以外にも声明分やパウエル議長の記者会見でインフレ再燃への警戒感が改めて示される可能性も含んでおり、こうした定性的な部分を市場がどれだけ織り込めているかは不透明だ。
ベースケースとしては、インフレの様子をみながら利下げを継続していくことが予想され、金利の道筋が市場予想と合致すれば、安心感からBTCには追い風とみているが、仮に来年どこかのタイミングでの利下げ停止の可能性が示唆されれば、BTC相場に下押し圧力を掛けるだろう。
BTCドルは11月から安値と高値を切り上げながら徐々に上昇しており、上昇チャネルの形成が指摘される(第4図)。チャネル上限の上抜けに成功すれば、120,000ドル(≒1843.6万円)を試す展開が視野に入るが、テクニカル的に上昇チャネルは下降トレンド中に現れる調整期間で、下降トレンドの継続を示唆すると言われる。足元のBTCドルは上昇トレンドが進行中ではあるが、チャートの形としてはやや警戒が必要か。
FOMCが想定以上にタカ派的な結果となれば、BTCはチャネル下限を試す展開が視野に入る。
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bitbank Report 2024/12/16:BTCは1600万円乗せで史上最高値更新 米国のSBRに期待感