週初の下げを奪回したBTC 100日線を死守して反発
22日〜28日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比69,923円(1.14%)高の6,225,695円と2週続伸した。
週明けから下値を模索する展開となり、620万円周辺から一時は580万円を割り込んだ先週のBTCだったが、ドル建てで11月高値38,400(≒568.8万円)で相場は下げ止まると、その後は40,000ドル(≒592.5万円)周辺を背に揉み合う展開に終始した。この間、S&Pグローバルの米PMI上振れや、米GDP成長率の上振れなど、BTC相場の重石となる材料も多々あった一方、資金流出に伴う売り圧力が懸念されていたグレイスケースの現物ビットコインETF(GBTC)の商い低下や、JPモルガンがGBTC絡みの売りが一服したことを指摘し、相場は底堅く推移した。
26日の海外時間からは需給改善が好感され、BTCは600万円を回復。さらに、12月の米個人消費支出(PCE)価格指数が概ね市場予想と合致し、2.6%と3カ月連続で3%を下回り、BTCは一時620万円台に乗せた。
また週末28日には、今年の米大統領選でリードするトランプ元大統領が、副大統領候補者としてビットコイン推奨派のロバート・F・ケネディ氏(RFK)に接触したと報じられ、BTCは43,000ドル水準となる636.9万円に肉薄。その後は上げ幅を縮小したが、週足は終値で週初の下げ幅を完全に奪回した。
12月分の米小売売上高や消費者物価指数(CPI)が強目にでていたことから、PCE価格指数の上振れを懸念していたが、結果は前年比で2.6%と11月から横ばい、コア指数は2.9%と前月の3%から鈍化した。さらに、中長期的なインフレの方向感を示すトリム平均PCEインフレも前年比で11月の3.42%から3.29%と順調に伸びが減速しており、米連邦準備制度(FRB)による上半期中の利下げ開始観測が維持された(第2図)。
ただ、昨年末にかけて追加的な政策引き締めに慎重な姿勢を示し始めたFRBだが、今月は12月分の経済指標が景気の底堅さを示したことで、FRB高官からは市場の早期利下げ観測を牽制する発言が相次いでいた。昨年末の時点でパウエルFRB議長は当時の政策が引き締め過ぎと緩め過ぎのバランスを取れている状況と話しており、足元では政策の緩め過ぎに懸念を示す余地もできたと言え、日本時間2月1日午前4時に完結する米連邦公開市場委員会(FOMC)では、BTC相場の支援となる材料は期待できないと見ている。
他方、テクニカルの側面では、先週のBTCドルは強い売りシグナルとなる一目均衡表の三役逆転が完成し、一時は100日移動平均線を割り込む場面もあったが、終値ベースでは100日線を維持し、三役逆転も解消した(第3図)。円建てでも先週のBTCは、週初にボリンジャーバンドの下降バンドウォークが意識される値動きとなっていたが、足元ではセンターライン周辺まで回復した(第5図)。こうしたテクニカル的なセンチメントの大幅な改善で、今週のBTCはドル建てで100日線の走る節目40,000ドルや、一目均衡表の転換線(40,665ドル)と雲下限(40,520ドル)が密集するエリア(≒592.5万円〜602.3万円)が強力なサポートとして機能すると見ている。
足元のBTCは、一目均衡表の雲上限(43,218ドル)や25日線(42,705ドル)が密集する節目43,000ドル周辺のエリア(≒632.5万円〜640万円)がレジスタンスとなっているが、FOMCを無難に通過すれば今週は1月の米雇用統計も控えている。年末商戦を通過して臨時雇用の減少が確認されれば、BTCにとってはプラスと言え、相場が週後半にかけて上値を伸ばす余地はあると見ている。