BTCは上値トライ失敗 今週は危うい展開か?

4日〜10日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比2,950円(0.08%)高の3,807,799円とほぼ変わらずとなった。
複数の米連邦準備理事会(FRB)高官らが金融政策の効果を評価し、積極利上げ姿勢をやや緩めたことで、BTCは8日早朝に380万円から390万円近辺まで上伸したが、その後は買いが続かず失速した。すると、海外勢参入後に利益確定の売りが入ると共に、中国が政府や国営企業職員による米アップルのアイフォン使用禁止範囲を拡大した影響で、米株先物の下落につれて、BTCは上げ幅の殆どを掻き消した。
その後、相場は節目380万円台を維持すると、383万円周辺で揉み合いに転じ、週末も概ね落ち着いた展開となったが、FTXがソラナ(SOL)とFTトークン(FTT)の売却を巡り米裁判所から許可を待っているという報道を受けてSOLとFTT相場が急落。BTCはやや上値を重くすると、今朝方には不安定な値動きを演じ、380万円割れを窺う展開で終値を付けた。

BTCはやはり8日早朝の上げ幅を維持できず、先週も方向感に欠ける展開となった。ただ、BTCはドル建てで「26,000ドル周辺での揉み合いが続くか」と想定していたが、同水準はサポートとして機能せず、週末は概ね25,800ドル台での揉み合い、足元では既に同水準をも下回って取引されている。先週は、13日発表の8月米消費者物価指数(CPI)の発表までは目立った値動きは期待できないと見ていたが、想定以上に地合いが弱いということか。
8月の米CPIは、直近の原油価格高騰を反映して、総合指数では前年同月比での加速が予想されている一方、食品とエネルギー価格を除いたコア指数は伸び鈍化が予想されている。ただ、全米供給管理協会(ISM)の8月の製造業とサービス業の支払い価格指数(Prices)は、双方とも7月を上回る結果となっており、CPIの上振れサプライズには十分に警戒しておきたい。
先週のBTC相場はFRB高官らの発言に助けられる場面があったが、今週はメディア・ブラックアウト期間となり、彼らの助け舟も期待できない。
翻って本邦では、読売新聞が9日に植田日銀総裁とのインタビューを掲載。その中で植田総裁はマイナス金利の解除について、物価上昇に確信を持てれば選択肢としてあるとの旨の発言をし、ややタカ派的な姿勢を見せた。これを受けて、週明けのドル円相場は急落を演じており、目先の円建てBTC相場の重石となろう。
勿論、上述の通り米CPIの上振れ懸念が現実となれば、こうした為替効果も逆転すると言えるが、その場合は米債利回りの上昇でBTC対ドルにも下押し圧力が掛かると言え、BTC対円にとっても強材料ではないだろう。
他方、米CPIが市場予想比で上振れた場合でも、BTC相場の下げ余地はそれほど大きくないと見ている。先週は米主要株価3指数が揃って下落し、米国債も短期から長期ゾーンで利回りが上昇したが、BTCは底堅かった。これはやはり短期で運用されるホットマネーの逃避が進んでいることや、先月17日の相場急落以降で先物市場における建玉の低迷が続いていることが背景と指摘され、潜在的な売り圧力や、ロングポジションの清算による相場への下押し圧力が後退している可能性がある。
今週のBTCは上値の重い展開が想定されるが、下値余地としては節目の25,000ドルから直近安値25,400ドル周辺のエリア(≒367.1万円〜373万円)がサポートとなろう。



