強弱シグナルまちまちのビットコイン 夏のビッグイベント控え警戒

先週(15日〜21日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比292,956円(9.05%)安の2,952,468円と反落し、節目の300万円を割り込んだ。対ドルでは、週足終値が200週移動平均線を4週間ぶりに下抜けた。
中国人民銀行の想定外の利下げに反応し、330万円台回復から始まった先週のBTC対円相場だったが、その後は三段安を演じ、上値の重い展開が続いた。特に週後半にかけては、市場が米連邦準備制度理事会(FRB)による政策金利引き上げペースを見極めようとする中、セントルイス連銀のブラード総裁が9月に3度目の75ベーシスポイント(bp)利上げ支持を表明すると、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁やカンザスシティ連銀のジョージ総裁からもタカ派的な発言が相次いだ。これを受け、BTCは320万円周辺から安値を広げる展開となり、19日には1.6億ドル(≒220億円)相当のロングポジションが清算され、相場は300万円を割り込んだ。
同日には米株市場もFRBの動きを警戒して下落し、BTCは連れ安で290万円も割り込んだが、週末にはハッシュレートが急上昇し、ハッシュリボンの買いシグナルが7月上旬ぶりに点灯した(ハッシュレートの30日平均と60日平均を駆使した売買シグナルで、30日平均が60日平均でゴールデンクロスに成功すると買いシグナルとなる)。すると相場は280万円台後半で反転し、小さくダブルボトムを打って300万円台回復を試した。


危うい展開となっているBTC相場だが、下降トレンド再開か否かははっきり言って判断し難い。ハッシュリボンの買いシグナル点灯は比較的に確度の高いシグナルとなってきている上、BTC先物資金調達率のマイナス圏入りや、19日のロングポジション清算額も強気筋のカピチュレーション(諦め)を示唆し、相場が底入れするシグナルとも言える。

一方、テクニカルの側面では、縮小していたボリンジャーバンドが拡大し、相場は-2σ(シグマ)を割り込み、下降トレンドを示唆している。幸い、短期から中期物のヒストリカルボラティリティは19日に上昇しているものの水準としてはそれほど高くはなく、強いトレンドが発生しているとも言い切れない。また、トレンドの強さを示す平均方向性指数(ADX)も中立を示す20周辺での推移が続いており、全体としてはまちまちと言える。
しかし、今週25日からはカンザスシティ連銀主催の年次経済シンポジウム、ジャクソンホール会議が開催され、26日にはパウエルFRB議長が経済見通しについて講演する予定だ。また、その直前には米7月個人消費支出(PCE)も発表される。PCEに関しては、7月の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)の減速に連動して、BTCによっては追い風となる結果が予想されるが、複数米地方連銀総裁がタカ派的な姿勢を維持する中、今週はパウエル議長の講演を警戒してリスクオフムードが広がることも想定される。
以上に鑑みると、今週のBTC相場は26日までレンジ相場が続くか。下値目途としては節目20,000ドル水準となる275万円が挙げられ、上値目途としては一目雲下限と-1σが密集する22,000ドル(≒302万円)周辺から基準線の走る23,000ドル(≒316万円)と見ている。



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bitbank Report 2022/08/22:強弱シグナルまちまちのビットコイン 夏のビッグイベント控え警戒