BTC対ドルは200週線を死守 保ち合い上抜けは近いか

先週(8月1日〜7日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比17,766円(0.57%)高の3,130,476円と5週続騰。BTC対ドルは週足終値で200週移動平均線を維持した。
先週、週明けのBTCは、ペロシ米下院議長の台湾訪問決定を巡る米中関係の悪化によりリスクオフムードが台頭し、310万円から上値を重くし節目300万円を僅かに割り込む展開で始まった。もっとも、ペロシ氏が2日夜に無事台湾に到着したと報じられると、BTCは対ドル200週線水準で反発、複数米金融当局者からのタカ派的発言や、Solana系ウォレットへのハッキングもあったが、急速な円安の恩恵を受け300万円を維持すると、再び対ドル200週線水準で粘り腰を発揮し310万円を回復した(ドル円相場の急騰により、BTC対ドル200週線の水準が円換算で引き上がった)。
週央には元中華系取引所の ZB.comがハッキングの被害に見舞われ一部サービスを停止すると、相次ぐハッキング事件に市場のムードが悪化し、BTCは310万円を割り込み再び300万円割れをうかがったが、週央の相場下落にはロングの投げが伴い、先物資金調達率もマイナスに振れたことで売り一服感で相場は反転。5日の米雇用統計では、非農業雇用者数変化が市場予想の倍近くの増加となった上、失業率は低下、平均時給は増加となり、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月も積極的な利上げを継続するとの思惑から米長期金利が急騰し一時は荒れ模様を予感させたが、労働市場が堅調だったことで景気後退懸念が和らいだこともあり米株が切り返すと、BTCも連れ高となり310万円台を維持した。
週末には、FRBのボウマン理事が、インフレが継続して低下しない限り(7月と)同等幅の利上げを検討するべきと発言したが、他の当局者とのスタンスにそれほど相違がなかったからか、相場への影響は限定的だった。


先週は、米ISM製造業と非製造業レポートの支払価格指数が前月比で低下したことを受け、物価上昇圧力が緩和することを指摘したが、雇用統計が強めに出たことでこうした期待感に影を落とした。一部米企業でレイオフが報告される中、雇用統計は弱目に出ると予想していたが、影響が出てくるのはもう少し先のデータからか。
雇用統計の結果を受けて市場では9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での75ベーシスポイント利上げを織り込む動きが見られる中、今週は10日に7月分の米消費物価指数(CPI)の発表を控えている。原油価格高騰を主要因として物価が上昇してきたことに鑑みれば、7月は6月(前年同月比9.1%、前月比1.3%)ほどショッキングな結果は想定し難く、BTCにとっては保ち合い上抜けの切っ掛けとなり得るだろう。
他方、先週はビットコインの採掘難易度が4サイクルぶりに上方調整された。ビットコインのハッシュレートは5月からジリジリと低下基調が続き、6月には実需筋の換金売りと見られるオンチェーンの動きが確認されたが、足元では中期の25日移動平均線も上向き初めており、先週も指摘した実需筋の換金売り後退がやはり濃厚と指摘される。ハッシュレートの底入れは相場底入れの先行指標ともなってきたことから、引き続き相場が切り返すタイミングは近いと言えよう。
保ち合い上抜け成功の場合、BTCは6月の下げ幅をリトレースし、29,000ドル〜32,000ドルエリア(≒392万円〜433万円)まで上昇余地があると見ている。


