微妙な位置で下げ止まったBTC まだあと一押しありそうな状況

先週(6月27日〜7月3日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比232,707円(8.18%)安の2,610,914円と反落。対ドルの週足では節目の20,000ドル(≒270万円)や200週移動平均線(22,550ドル≒304万円)の回復に失敗し、19,000ドル台前半まで押した。
先週のBTC相場は、①ギャリー・ゲンスラー米証券取引委員会(SEC)委員長の発言によるアルトコインの値崩れ、②5月の米消費者信頼感指数低下による景気後退懸念、③5月の米個人消費支出(SEC)発表前の米金利低下と株先物急落によるリスクオフの波及、④FTXが渦中のCelsius救済から手を引くとの報道等の悪材料が続出し、290万円から250万円台中盤まで値を落とし、ドル建てで18,800ドル周辺まで押した。
週前半の相場下落によりショートポジションが積み上がったのを狙ってか、週後半にはショートスクイーズが起こり相場は280万円にタッチしたが、すかさず戻り売りが入り上げ幅をほぼ掻き消した。ただ週末にかけては、ISM製造業景況指数の下振れや、スリーアローキャピタル(3AC)のNYでの破産申請等、再び悪材料が続出したが、相場は260万円周辺で揉み合いに終始した。


週末にはステーブルコインを発行するCircleのビジネスモデルが崩壊寸前と主張する情報も出回ったが、真偽不明ということもあり市場の反応は極めて限定的だった。半年以上、相場は下落トレンドを継続しており、ここにきてやや売り疲れの可能性も指摘できるか。ただ、少量のBTCを保有するアドレスは記録的な増加を見せており、これを潜在的な売り圧力の増加と捉えるか少額HODLERが増えたと捉えるか判断に悩む(第2図)。
足元では短期的にBTCを保有するアドレスも増えていることを鑑みると、短期で少量のBTCを保有する市場参加者が増加したことになるが、相場の下落局面でこうしたことが起きるのは珍しい(第3図)。目立った例外としては、2014年の弱気相場の終盤に短期BTC保有アドレス数が一時的に反発していたことがあり、これは売りが一巡して相場の下げ止まる予兆と捉えられるか。


ただ予てから指摘している、流通するBTCの黒字割合を示すPSP(Percentage Supply in Profit)は、実数値が52.6%と50日移動平均が55.4%と、依然として売られ過ぎ水準となる50%を割り込んでおらず、少なくとも後もう一段は下げ余地が残っている状態と言え、ハッシュレートも短期移動平均が上昇し競争率が上がっている。
また、今週は比較的にタカ派として知られるNY連銀のウィリアムズ総裁発言とISM日製造業景況感指数、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が水曜夜から木曜未明にかけてあり、金曜日には雇用統計と、相場を大きく動かす可能性のある材料が複数待ち受けている。物価高による昨今の米経済指標の下振れが雇用にも悪影響を及ぼしていることが示唆されれば、米市場のリスクオフがBTC相場に波及する可能性は高そうだ。
米経済がリセッション入りすれば利下げの議論が始まるとの声も散見されるが、足元のFOMCメンバーのフォーカスはインフレの抑制にあると言え、まずはそのための政策を優先させると見ている。
週明けの本日は米市場が休場だが、BTC相場は引き続き下値リスクへの警戒を怠れないだろう。



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bitbank Report 2022/07/04:微妙な位置で下げ止まったBTC まだあと一押しありそうな状況