結局2万ドルを回復したBTC 底入れまで長い道のりとなるか?

先週(13日〜19日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比803,825円(22.40%)安の2,784,975円と大幅安。対ドルでは2020年3月ぶりに200週移動平均線を週足終値で割り込んだ。
前週の米消費者物価指数の上振れを受けた米株急落の流れを継ぎ、先週のBTCは世界の株式市場の下落に連れ安となり週明けから上値の重い展開を演じ、300万円を割り込んだ。相場は、21,000ドル水準となる280万円周辺で切り返すも米Coinbaseの従業員18%カットや米連邦公開市場委員会(FOMC)前の警戒ムードで上値を抑えられ、20,000ドル水準となる270万円周辺をトライした。
米インフレ上昇による政策引き締めが警戒されていたFOMCでは、75ベーシスポイント(bp)の利上げが発表されたものの、市場は織り込み済みだった。加えて、経済見通し概要では年末までに利上げペースが緩むことが示唆され、会合後の定例記者会見でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長も来月は50bpペースに戻す可能性を残し、安堵感からリリーフラリーが起きBTC相場は反発し300万円を一時回復した。
しかし、米国の利上げペース加速とインフレ加速による景気後退懸念は払拭されず、株価は買いが一巡すると急反落。BTCもこれに連れ安となり再び20,000ドル水準を試す展開となると、ハッシュレートの不安定もあり週末に同水準を下抜け、対ドル2017年高値、19,891ドル(≒268万円)をも割り込んだが、DOGE相場の操作の疑いで渦中にあるイーロン・マスク氏が「DOGEを支援し続ける」とツイートしたこともあり、DOGE主導でアルトが切り返すと、BTC相場も反発し、20,000ドル水準を回復して週足終値を付けた。


今年のBTC相場は前年の安値割れや前回の半減期サイクルの天井割れなど、これまでの通説を覆す弱気相場となっている。週末を乗り越えると結局20,000ドルは回復したが、少なくとも2015年から2週連続で200週移動平均線を終値で下回ったことはなく、今週は同水準を回復できるか否かでその先のテクニカル的なセンチメントに大きな影響を及ぼすと見ている。
ハッシュレートにもやっと相場低迷による顕著な影響が出始めたかと思いきや、週末の間に200Ehash/sを回復しており、需給バランスは改善方向に向かってはいるが、依然として相場の戻りを狙ったマイナーの換金売りには注意を要する。その他、先物資金調達率もこれまでの相場の大底と比べるとハッシュレート同様に下げ幅が限定的となっており、BTC相場にとって典型的なセリングクライマックスが起きたとは未だ判断し難い。
また、以前指摘した市場に出回るBTCの黒字割合を示すPercent Supply in Profit(PSP)は、相場の大底シグナルとなってきた50%に肉薄している。PSPは実数値とその50日移動平均(SMA)が50%を割ると相場の大底、95%以上になると天井のシグナルとなり、短いBTC相場の歴史で大底を正確に当ててきた。PSPの50SMAは、足元、57%付近で推移しており、相場の更なる下げ余地を示唆している一方で底打ちも近いことを示唆している。

今週は22日午後10時30分と23日午後11時からパウエルFRB議長の証言があり、利上げペースや景気についての発言に注目したい。足元では、FOMCの結果を消化し売りが一服した印象もあるが、パウエル議長の議会証言が相場が動く切っ掛けになるか。それまでは節目の20,000ドル(≒270万円)を巡り様子見ムードが広がると想定しているが、引き続きダウンサイドへ警戒感は緩めずに持っておきたい。



PDFリンク
bitbank Report 2022/06/20:結局2万ドルを回復したBTC 底入れまで長い道のりとなるか?