横ばい続くビットコイン 暴落まで秒読みか?

先週のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比157,928円(4.21%)高の3,907,729円と6週ぶりに反発。対ドルでは10週ぶりの反発となり、週足続落記録を9週で止めた。
GMT主導の市場の下げが一服し、先週は買い戻しムードから始まったBTCは、上海のロックダウン解除に伴うアジア株式市場の上昇も追い風に390万円台乗せを試すと、ショートカバーも入り410万円まで上値を伸ばした。一方、対ドルで32,000ドル周辺となる同水準で上値を抑えられると、軟調な米株も相場の重石となり410万円近辺で揉み合いとなった。
しかし、週央に差し掛かるとSolanaのネットワーク停止に加え、米ISM製造業景気指数の上振れにより、米連邦準備制度理事会(FRB)が順当に政策引き締めを進めるとの思惑からリスクオフムードが広がると、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁やセントルイス連銀のブラード総裁らからタカ派的な発言も相次ぎ、BTC相場は週明けの上げ幅の殆どを掻き消した。
週末に向けてのBTC相場は、380万円台で下げ止まりジリジリと戻りを試したが、雇用統計を前に米株先物が下落を開始すると連れ安となり反落。週末は目星い材料もなく薄商いとなり、390万円周辺での推移に終始した。


金曜日の雇用統計では、指摘通り失業率の改善は確認されなかったが、4月3.6%から横ばいと市場の金融引き締め加速懸念を払拭するほどの結果ではなかった。加えて、先週はブレイナードFRB副議長が夏以降も利上げを継続する可能性を示唆し、複数米中銀当局者によるタカ派的な発言がリスク選好度を萎縮させた格好だ。
今週は5月の米消費者物価指数(CPI)の発表を金曜日に控えている。4月から、CPI、卸売物価指数(PPI)、個人消費支出(PCE)は高水準を維持しつつも前月から低下し、FRBによる政策引き締めペースが一層加速するという懸念が後退する場面もあった(第2図)。今回も4月からのCPI低下が確認されれば米国のインフレが抑制され始めたサインとなるが、4月は原油価格が一段と上昇したことで市場としては結果が出るまで身動きが取りにくそうだ。先週から米中銀当局者のタカ派的な発言が相次いでいるのは、原油高による5月のインフレ指標反発の可能性を市場に準備させる思惑もあったか。

こうした状況でもBTC相場は週足ベースで反発できたが、上記も鑑みて上値余地は今週も限定されそうだ。先物資金調達率がフラットで推移したことからショートカバーが入る可能性もあるが、5月10日の戻り高値(32,645ドル≒426万円)は引き続きレジスタンスとして意識されよう(第3図)。ハッシュレートも25日移動平均が下向きに推移し中期的に低下基調になっており、先週はマイナーから取引所へのBTC送金数量が増加していた。
繰り返しの指摘とはなるが、BTC相場は依然としてセリングクライマックスを迎えていない可能性が指摘され、下値へのリスクには警戒を怠れない状況が続くと見ている。何が相場下落のカタリストとなるかは名言できないが、5月の米CPIが予想以上の上昇率となれば広範な市場にショックが走る可能性は大きいか。


