なかなか折れないBTC 3.2万ドルは重要じゃなかった?

5月31日のビットコイン(BTC)対円相場は39,153円(0.97%)高の4,090,193円。外国為替市場でドル円相場が上昇したことで、円建てのBTCは1%弱の上昇となった。一方、BTC対円の月足終値は2年1ヶ月ぶりに一目均衡表の基準線を割り込んだ。
STEPNのガバナンストークン、GMT主導の売りが週末に一巡し道連れとなったアルトコインも反発したことで、BTC相場も切り返し370万円台乗せを目指すと、週明けのシカゴマーケンタイル取引所(CME)のBTC先物取引再開と共に相場は上昇。更に、上海のロックダウン解除に伴う株高も味方につけ、BTCは390万円周辺まで急伸し、ドル建てでは節目の30,000ドルの上抜けに成功した。
その後もショートの巻き戻しで相場は二段高を演じ、410万円(≒32,000ドル)にタッチ。昨日はもう一段と上値を試し416万円にタッチしたが、連休明けのNY市場で米株に利食いが入り上昇幅は限定された。


昨日の相場は32,000ドルを一時上回ったが、ショートスクイーズは誘発されず、5月10日の戻り高値、32,645ドル近辺もレジスタンスとして意識された模様だ。また、主要取引所での取組高の総計が直近では過去最高水準で推移する一方、手数料にあたる資金調達率は引き続きプラス圏で推移し買い持ち高が売り持ち高を上回っている状況が続いている。建玉が増加していると言うことはそれだけ市場にレバレッジも掛かっていることが指摘される上、相場上昇の息切れが起きることも懸念される。
「保ち合い放れにはつけ」が相場の鉄則だが、鍵となる水準は32,000ドルではなく5月10日の戻り高値か。アルトコインの戻りも想定外に強いが、BTCは34日線や日足基準線に上値を抑えられた格好で、戻り売りには依然注意したい。
また、今夜は米製造業PMIとISM製造業景気指数の発表があり、後者は前月比で低下が予想されている。米株も先週後半から幾分戻していることから、タイミングとしては戻り売りで押してもおかしくはないだろう。今週の外国為替市場でのドル高はリスクオンムード一服を示唆しており、ユーロ圏の物価上昇や原油高によるインフレ懸念が再燃している可能性が指摘される。BTCにとってインフレ懸念はプラスとマイナスの両面があり、リスクオフムードが強くなれば売り優勢となりやすい。



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bitbank Report 2022/06/01:なかなか折れないBTC 3.2万ドルは重要じゃなかった?