綱引き構造逆転か? BTCは200日線タッチで目標達成感も

29日のビットコイン(BTC)対円相場は22,875円(0.39%)高の5,842,732円と続伸し、昨年7月ぶりに8連騰を記録した。
東京時間のこの日の相場は、対ドルで47,000ドル水準となる580万円をサポートに小幅に反発すると、海外時間にロシアがキーウ周辺でのと軍事活動を縮小すると発表があり、ウクライナとの停戦交渉に進捗が見えたことで590万円台に乗せ、対ドルで200日移動平均線が走る48,300ドル(≒593万円)にタッチするも、米連邦準備制度理事会(FRB)による積極的なインフレ抑制、すなわち政策の引き締めが警戒され期待インフレ率が低下すると、BTC相場も上値を重くし590万円台の維持に失敗。さらに、人気GameFi、Axie InfinityのRonin Bridgeがハッキングの被害に見舞われ、625万ドル(≒7.6億円)相当の暗号資産(仮想通貨)が流出したことが明らかになると、一時は580万円を割り込む場面もあった。ただ、47,000ドル水準となる580万円周辺で相場は買い支えられ、なんとかプラス件でこの日の終値を付けた。


BTCの対ドルは、上値目途として指摘した200日線を2度試すも失敗した。奇しくも48,000ドルにはオプションのポジションも相応に蓄積されており、200日線上抜けには何か材料が欲しいところだ。こうした中、ウクライナでの紛争解決への兆しが見え始め株式市場はリスクオンとなったが、期待インフレの低下、引いては実質金利の急上昇がここにきてBTC相場の重石となっている模様で、これまでの綱引き構造(紛争によるリスクオフで上値制限v.s.インフレ高進懸念で下支え)が逆転した格好か。
週後半には、2月の米国の個人消費支出(PCE)と3月の雇用統計の発表が立て続けにある。月間のPCEは前回の2.1%から0.5%まで落ち着くと市場では見込まれているが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた原油やその他コモディティ価格の上昇の影響は2、3月に如実に出る可能性がある。また、雇用統計では、失業率の更なる低下も予想されており、やはりFRBによる積極的な利上げへの警戒は結果が出るまで拭えない。
リスク選好度の回復もあることから、大幅な値幅調整が入るとは見ていないが、週後半にかけての米重要経済指標を通過するまで高値で膠着もあり得るだろう。



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bitbank Report 2022/03/30:綱引き構造逆転か? BTCは200日線タッチで目標達成感も