上げ幅帳消しでBTCは横ばい CMEのBTC先物、OI下落止まらず

先週(5月31日〜6月6日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比6,136円(0.16%)高の3,930,958円とほぼ変わらず。重要なイベントや指標が目白押しとなった週としては値動きは落ち着いていた。
先週のビットコインの対円相場は、週明けからXRPやドージコイン (DOGE)の上昇を追い風に戻りを試す展開で400万円を回復。週央にかけては、中国・四川省で開催されたマイニングに関するシンポジウムで、マイニングに対する具体的な方針が示されなかったことや、2018年に開始されたグーグルの暗号資産(仮想通貨)交換業者やウォレットに対する広告掲載禁止策が今年8月3日から条件付きで廃止されるといった材料を味方に430万円台を回復。
ところが、イーロン・マスク氏のビットコインとの決別を示唆するツイートが嫌気され、相場は4日アジア時間から急反落し、米市場序盤に400万円を割り込んだ。ただ、この日は米雇用統計で5月の非農業部門雇用者数が55.9万人と市場予想中央値の65万人に届かず米金融政策正常化の前倒し観測が後退した一方、失業率は5.8%と4月の6.1%から改善し、リスク資産には心地よい結果となりビットコインは反発し翌5日朝方に410万円台を回復した。
しかし、雇用統計を無事に通過しbitcoin 2021も開幕となり修羅場を掻い潜ったかと思われたビットコインだったが、中国のSNSウェイボが仮想通貨関連の数アカウントを停止したことが伝わると相場は再び急反落し400万円の維持に失敗。6日にはエル・サルバドルがビットコインを法定通貨として認定する計画を大統領自らが発表したことでやや相場も反発したが、週足終値は週央までの上げ幅をほぼ掻き消す格好となった。

第1図:BTC対円チャート 1分足 出所:bitbank.ccより作成
ついにビットコインが一国の法定通貨として認められようとしている訳だが、マーケットの反応は薄い。これだけ強い材料が出ても相場の上値が重いのは、やはり世界的な仮想通貨規制の先行き不透明感、その中でも特に中国の動向が懸念されていることが挙げられよう。
米商品先物取引委員会(CFTC)のCOTレポートによると、先週1日時点、すなわち四川省マイニングシンポジウムが開かれる直前のシカゴマーケンタイル取引所(CME)のビットコイン先物の取組高(OI)は、昨年10月ぶりに8,000(40,000BTC)を下回っていた(第2図)。5月に取引が開始されたマイクロBTC先物(1枚=0.1BTC)でも同様に取組高の急減が確認されており、運用規模に関わらず機関投資家が資金を引き上げる様子がうかがえる。昨年6月や10月に相場膠着し値固めとなると、CMEでの取組高が増加し相場も追随していたが、中国での規制に加え米国での金融政策の転換点が意識される中、昨年と同様のパターンにはあまり期待できないか。来週も取組高の減少傾向が続くか注視したい。

ビットコインの対円相場は、先週3日に安値圏での三角保ち合い上放れに一時的に成功したが、マスク砲+ウェイボ仮想通貨アカウント停止で三角保ち合いの中に押し戻された。エル・サルバドルの件でこうした悪材料も消化された印象を受けるが、中国規制の材料は次いつ出るか予測が難しいため、依然として気が抜けない。中国の仮想通貨規制に関しては明確な出口がどこにあるかすら定かではないが、四川省のマイニングへの対応が明確になれば不透明感も幾分取り除かれるか。
中国の規制次第ということは否定しきれないが、bitcoin 2021の効果もあり目先は底堅い展開を見込む。また、10日には欧州中央銀行(ECB)政策金利発表とラガルド総裁の記者会見、それから米消費者物価指数(CPI)の発表もあるため、為替や株式市場も含めそれまでは様子見ムードとなりやすいだろう。





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bitbank Report 2021/06/07:上げ幅帳消しでBTCは横ばい CMEのBTC先物、OI下落止まらず