保ち合い上放れのビットコイン これはアク抜けのサインか?

3日のビットコイン(BTC)対円相場は209,811円(5.09%)高の4,333,706円と続伸し、5月27日ぶりに終値で430万円を回復した。
東京時間のこの日のビットコインは、410万円から420万円台後半まで一段高となり先月19日の相場急落から形成した三角保ち合いの上放れに成功(第2図)。今週一つの懸念材料だった中国・四川省で前日に開催されたマイニングシンポジウムでは、具体的な方針は示されず意見の収集にとどまったことで安心感に繋がり、ハッシュレートの回復と共に市場のセンチメントが好転した。また、グーグルが2018年に開始した暗号資産(仮想通貨)関連企業の広告掲載禁止策を、米金融犯罪取締ネットワーク( FinCEN)への登録を条件に今年8月3日から解除すると発表したことも好感されている。
米時間に入ると、主要3指数の下落につられる場面もあったが、ビットコインは価格形成を主導する対ドル相場で三角保ち合い上辺がサポートに転じ底堅く推移。対円では428万円を挟み込み、引け後からはもう一段高をトライする展開となっているが、これでビットコイン はアク抜けとなっただろうか。


昨日発表された米新規失業保険申請件数は38.5万人と前週より2万件減少し、5週連続で新規申請数は減少した。ADP雇用統計も、情報分野を除いた全てのセクターで5月は雇用者が増加し、全体では97.8万人増となった。しかし、先月はADP雇用統計で民間雇用者数が74.2万人増加だったのに対し、労働省発表の雇用統計では26.6万人と大きな差があった。加えて、失業保険の新規申請件数は減少傾向を保っているが、継続申請件数は直近2ヶ月ほど360万人〜377万人のレンジを維持している。これらを鑑みるに、今夜発表の非農業部門雇用者数は、先月同様に市場予想を下回るサプライズがあるかもしれないので注意したい。
また、チャート上でも、ビットコインは長期トレンドとして意識される200日移動平均線(446万円)を依然下回って推移していることに加え、先月19日の急落前の43,000ドル(≒474万円)も回復できていない。43,000ドルは相場急落後に戻り売りが入った水準でもあり、同水準を奪回するまで、チャート的にもアク抜けとは言えないと見ている。
さて、本日は雇用統計も気になる一方、注目イベントの「bitcoin 2021」の初日ともなる(4日〜5日)。ビットコインに焦点を当てたカンファレンスとしては業界最大規模となっており、本日から明日にかけてポジティブな材料が期待できそうで、今夜の雇用統計が相場にネガティブな結果となっても下支えられる余地もあるか。





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bitbank Report 2021/06/04:保ち合い上放れのビットコイン これはアク抜けのサインか?