トレンドラインを割ったビットコイン 上昇トレンドはもう終わりか?

25日のビットコイン(BTC)対円相場は99,806円(1.75%)安の5,616,000円と二日続落。
東京市場のこの日の相場は、前日NY市場の下落から下げ一服の様相で、570万円台で揉み合いに終始するも、相場が中期的な上昇トレンドラインを割り込んだこともあり(第2図内黒線)、ボラティリティ(変動率)の高くなりやすい欧州時間に入ると580万円から戻り売りが入り、対ドルで心理的節目の50,000ドル(≒546万円)付近まで安値を広げた。しかし、その後は強気な米国の経済指標を受けて下げ止まり、株価の反発や、米政府系ファンドがビットコイン購入検討に動いているとニューヨーク・デジタル・インベストメントの代表が明かし、ビットコイン相場は反発。また、「2024年まで政策金利を引き上げる条件は達成されないだろう」というエバンズ・シカゴ地区連銀総裁の発言も後押しとなり、相場は570万円台に戻した。
一方、NY引け後からは再び戻り売りに押され、相場は足元560万円台前半で推移している。


本日はシカゴ・マーケンタイル取引所(CME)のビットコイン先物3月限月の最終取引日(SQ)を控えており(日本時間27日午前1時)、今週のビットコイン相場がテクニカルやチャートの節目で売りが出やすかったのはこうした影響もあったか。加えて、本日はDeribitのビットコイン・オプションカットもあるため(午後5時)、欧州時間からの相場の動きには注意したい。
この他、本日は重要なインフレ指標である米個人消費支出(PCE)の発表を控えている。1月の現金給付の影響が消化され、2月のPCEコア・デフレーターは、前月比で0.3%から0.1%に鈍化すると市場では予想されており、前年同月比では1.5%と横這いになる見通しとなっている。市場の予想通りであればインフレ懸念後退でビットコインにはマイナスとなり兼ねないが、これが株式市場での安心感につながれば下値も限定的となろう。
テクニカル的には、ビットコインの対円相場は、ボリンジャーバンドのスクイーズに伴い-2σ付近まで下落しており、短期的な下値目標達成感がある。とは言え、第2図のトレンドライン下抜けは中期上昇トレンドの終焉を示唆しており、中期的な相場の方向観は強気から中立に引き下げる。目先では、一旦、トレンドラインまで値を戻す展開をメインシナリオに、中期的には今年の高値圏で揉み合いが続く展開を想定する。
3月は相場の弱気アノマリーがあるが、第二四半期はその反対で相場が上昇しやすいため、次の上昇トレンドに向けた準備期間に入ったと言えよう。





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bitbank Report 2021/03/26:トレンドラインを割ったビットコイン 上昇トレンドはもう終わりか?