ビットコインは5週ぶり反落 歴史的に「弱い月」に突入

先週のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比1,258,759円(20.70%)安の4,821,241円と、5週ぶりに反落。週足の下げ幅としては過去最大で、対円では2週間ぶりに500万円を割り込み、対ドルでは大台50,000ドルの維持に失敗した。一方、月足では、BTCは1,365,351万円(39.51%)高と過去最高の上げ幅を記録し、5ヶ月続伸となった。
先月のBTC相場は、8日に米電気自動車(EV)メーカーのテスラから15億ドル相当のBTC購入と将来的なBTC決済導入が明らかになり、400万円周辺から一気に480万円台に乗せ、上旬から対ドルでは50,000ドル乗せが射程圏内に入る展開となった。その後も、米金融大手のBNYメロンが年内にも暗号資産(仮想通貨)カストディ参入を発表したり、モルガン・スタンレーとブラックロックがBTC投資検討を明らかにしたりと好材料が続き、中旬には初めて50,000ドルの上抜けに成功し、21日には58,367ドルの高値を付け、対円では600万円台に乗せた。
一方、月末にかけての相場は大幅反落。市場が総楽観となり過熱感が台頭したことに加え、テスラCEOのイーロン・マスク氏の「ビットコインとイーサは高過ぎるように見える」とのツイートや、イエレン米財務長官の仮想通貨のリスクを指摘する発言、さらには米10年債利回りの上昇を受けたリスクオフの株安ドル高がタイミング悪く重なり、BTC相場は月高値の6,149,997円から一時155万円ほど押し、28日には460万円まで安値を広げる展開となった。

株式市場を一気にリスクオフムードに送り込んだ米長期金利の上昇は、26日に前日の1.614%から下落し1.4%台前半まで押し、上昇一服の様相を呈している。しかし、27日には米議会下院が1.9兆ドル規模の追加経済対策案を可決しており、国債増発懸念から利回りが持ち直してもおかしくない状況と言える。ただ、先週の米経済指標は新築住宅販売件数や失業保険新規申請件数などで改善も見られ、こうした経済の復調基調が続けば「良い金利上昇」の形となり株価の下値は限定的と指摘され、足元のリスクオフムードも一時的と考えられる。
また、米インフレ期待(ブレークイーブン・インフレ率)も2.1%台で高止まりしている。勿論、インフレ高進懸念が強まるほど長期金利にも上昇圧力が掛かりやすくなり、ビットコインにとっては一様にプラスとは言えないが、長期金利に敏感な金(ゴールド)と比べれば、利回りより大きなリターンが期待でき、インフレヘッジの受け皿として一定の需要が見込めよう。
BTC対円相場は、チャート上ではギリギリの水準を終値ベースで守っている。先週指摘の通り、相場はボリンジャーバンドセンターライン割れ後に-2σを目指す展開となったが、終値では23日安値(471万円)を死守しており、足元ではジリ安となりながらも値固めの様相となっている。BTCにとって3月は「弱い月」となっており(第1表)、シクリカリティは相場の味方とならなそうだが、この先大きく値が崩れる可能性も低いか。
引き続き、突っ込み買いには注意と見ているが、今週は1月高値(435.5万円)やボリンジャー-2σ(≒446万円)などをサポートに値固めが続くか。上値目途としては、21日線(≒522万円)とボリンジャーセンターライン(≒524万円)、その上は50,000ドル水準となる533万円、一目基準線の転換線(≒537万円)と13日線(≒537万円)が密集するエリアがあり、週明けはレンジ上限を確認しに戻りを試す展開か。





