1000万円到達後に急落する場面も、投機ポジションの増加が影響か
今週の値動き
- 今週のビットコインは3月4日の947万円から取引が始まりました。今週の相場は、先週末から底堅い動きが継続し、月曜日から買いが殺到しました。先週の高値だった960万円を超えると、相場はさらに上放れし、火曜日には最高値となる1033万円まで上昇しました。一方、これまで急激に上昇した反動で高値からは大きな売りが発生し、一時900万円まで値を下げ、最大で約-12%を記録しました。価格の下落は底堅さを取り戻し、現在は再度高値を試す動きとなっています。足元では徐々に値動きが落ち着き1010万円から970万円の短期的なレンジで推移しています。現在の一時間足は995万円で推移し、24時間移動位平均線(24EMA)近辺で取引されています。週末にかけてこのレンジを抜ける方向に注目となります。
今週のデリバティブ市場
1.無期限先物取引の資金調達率
ビットコインの資金調達率(FR)は、プラスで安定して推移しています。デリバティブ市場ではロングポジションを保有するトレーダーが多いことを示しています。特に800万円からFRの上昇が顕著になっており、後追いでロングポジションが積まれています。今週の価格の急落時にはFRも低下しましたが、現在も0.02%台で推移しており、2週間前と比べると高い水準が維持されています。
2.ロング・ショート清算
- 今週のロングポジションとショートポジションの清算推移は、ロング側とショート側共に大きな清算がありました。2月28日の900万円到達時にデイリー合計で約1億5000万ドルのショートポジションの清算が発生しました。ロングポジションでは、3月5日に高値から価格が急落した際に約1億8000万ドルの清算が発生しました。大きな清算が頻発したことが今週のボラティリティが高まった一因となりました。
3.先物価格乖離(3ヶ月)
- 3ヶ月先の先物価格と現物価格の乖離率は拡大傾向にあります。現在は21%ほどの上乖離となっていますが、最大で23%まで乖離しました。価格の急落後は拡大傾向に歯止めがかかっていますが、1月の現物ETF承認前の水準を超え、乖離率は今年の最大を更新しています。1月は乖離率が20%を超えた後に、価格は高値から19%も下落する動きを見せています。デリバティブ市場ではかなり強気に先物が買われており、相場が調整局面に入った際は最低でも20%程度は落ちることを覚悟した方がいいでしょう。
今週のオンチェーン
1.取引所保有のBTC推移
- 取引所が保有するBTCの数量は足元で小幅ながら増加傾向にあります。増加傾向に転じたとはまだ言い難い状況ですが、単発では取引所への大きな送金がみられ、売り需要が増えてきていると考えられます。ここ数週間は取引所保有BTCの減少傾向がみられていましたが、対ドルで最高値6万9000ドルに相場が近づくに連れ、徐々に売り目線の投資家も増えているようです。継続的に同指標が上昇するようなら今後の相場の上値の重しになるでしょう。
まとめ
- 今週のビットコインは価格が初めて1000万円の大台に突入した記念すべき1週間となりました。一方、1000万円近辺では短期的な上昇の達成感もあり、利益を確定する動きもみられます。相場全体としては底堅さを維持も、最高値圏では再度売られる動きに警戒です。デリバティブ市場ではポジションが溜まっていることから、現在の相場はボラティリティが上がりやすい環境にあります。ハイレバのポジションには高いリスク管理が求められます。1000万円近辺では明確に売り需要の増加が確認されており、これまで強い上昇トレンドが続いていましたが、トレンドの変化も意識する時期に入っていると考えられます。