BNBが大躍進し時価総額ランキングで3位に食い込む、BSCのバリデーターになるには2.6億円必要?

昨年末から今年にかけてビットコイン(BTC)価格が史上最高値を更新し続けるなど暗号資産(仮想通貨)市場は大いに盛り上がっている。この市場の波に上手く乗っているのがBinance Coin(BNB)だ。CoinGeckoのデータによると、BNBは今年の初めに40ドル程度で取引されていたが、3月10日現在は280ドルで取引されている。

BNBはここ2ヶ月間ほどで価格が7倍になるなど高騰している。仮想通貨市場全体でみてもこの上昇は突出しており、時価総額ランキングでもビットコイン、イーサリアム(ETH)に次ぐ3位に食い込んだ。

BNBの価格上昇の要因の一つとして、バイナンス・スマート・チェーン(BSC)の利用が増えていることが挙げられる。BSCはバイナンス・チェーンと平行して走る独立したブロックチェーンで、スマートコントラクト機能を持っている。
BSCのコンセンサスアルゴリズムにはプルーフ・オブ・ステーク・アソリティ(POSA)方式が採用されており、大量のBNBをステークすることでトランザクションの検証・承認を行っている。

BSCのブロックチェーンデータを提供するBsc.Scan.comによると、今年に入りトランザクション数は大幅に伸びている。年初と比べて現在はトランザクション数が5〜6倍になっている。BSCを利用するにはBNBが必要になるため、ユーザーはBNBの購入頻度を増やしているものと推測される。
バイナンスは、今月に入りブログを公開しBSCの非中央集権化に向けたロードマップをアップデートしている。ブログではコンセンサスアルゴリズムであるPOSAについても書かれている。
BSCのバリデーターは2種類あり、コミュニティの投票によって選ばれた21のバリデーターと個人のバリデーターが存在する。個人がバリデーターになるには、BCSフルノードを走らせるためのハードウェアと1万BNBをステーキングする必要がある。1万BNBは現在の価格で換算すると約2.6億円相当になり、かなりハードルは高く設定されている。
バリデーターになるメリットは?
バリデーターになる大きなメリットは、報酬として支払われるトランザクション手数料やコミッション手数料の獲得だ。バリデーターはフルノードを立ち上げネットワークのインフラを構築するため必要不可欠な存在だ。インフラ構築を行うことのリターンとしてBNBが報酬として支払われる仕組みになっている。
ブログによると、2021年2月にバリデーターに支払われた報酬は日次平均で134BNBだった。コミュニティの代表である21のバリデーターに対する年次リターンは60%にも上るという。
BNB48 Clubは日本のアイドルグループと似たような名称だが、バリデーターの代者として多くのBNBをステーキングしている。全体で約13万BNBをステーキングしており日次報酬として163BNBを受け取っている。
代表のバリデーターは、ガスプライスの調整やネットワークに変更を加える際の投票権も保有しており影響力は絶大だ。代表者となる21のバリデーターは日々更新され、その都度多くのステーキングを行ったものがバリデーターとして選出される。POSAというコンセンサス方式は、株式会社の形態に非常に似ており、BNBホルダーの中心にバリデーターが存在しネットワークで全体が繋がっているイメージだ。
BSCで何ができるの?
BSCはスマートコントラクト機能が付属したブロックチェーンで、ビットコインとは異なりDappsと呼ばれるアプリケーションを走らせることができる。イーサリアムに似たコンセプトを元にして作られた。
BSCでは他の仮想通貨のペッグトークンを作り出すことでクロスチェーン送金を可能にした。ビットコイン、イーサリアム、リップルなどがサポートされており、特定アドレスに好きな仮想通貨をロックアップすることで、BSC上で使えるペッグトークンが発行される。
ペッグトークンを使いBSC上のDEXなどに利用することもできる。DappRadarによるとPancakeSwapと呼ばれるアプリケーションの利用が最も多い。

PancakeSwapは4.3万ユーザーが利用している。DEXで最も利用されるUniswapの5.6万ユーザーに匹敵するユーザー数だ。Uniswapはイーサリアム上のDappsの一つだ。
最近のDEXはイールド・ファーミングと呼ばれるサービスを提供しており、人気の秘訣になっている。イールド・ファーミングはトレードを行う他ユーザーのために流動性を提供する報酬として独自トークンを受け取ることができる。

Pancakeswapのサイトによると、ビットコインでイールドファーミングを行うと、年利で約20%の報酬を受け取ることができる。価格変動リスクがほぼ無いUSDTでイールドファーミングを行っても約14%の年利を受け取ることができる。ブロックチェーン上で収益をあげることができるサービスの登場がBSCの利用の増加に繋がっているようだ。
まとめ
BSCの利用が増えたことでBNBの価格が急騰し、ユーザー数で見てもイーサリアムと遜色ないほど利用されている。BSCはスマートコントラクトのプラットフォームとして現在、急成長している。また、トークンの値動きを見るとETHよりBNBの方が長期で良いチャートを形成している。


上記はイーサリアムとBNBの対ビットコインチャートだが、BNBは2017年以降でビットコインに対して価値を保存できている数少ないコインだ。長期投資できるアルトコインとも言える。
BCSのバリデーターになるには巨大な資金力が必要だが、ネットワークを分散化しようとする動きが見られる。一定数のユーザーが定着しており、良いサービスを提供するDappsが出てきている。開発も進んでおり今後の新サービスの登場に期待したいところだ。