中銀ウィーク通過も方向感示せず 今週のBTCはどこに向かう?

24日〜30日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比141,350円(3.31%)安の4,129,814円と反落した。
バイナンスUSの出来高水増し疑惑で420万円を割ったBTC対円は、410万円で下げ止まると、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え揉み合いに転じた。しかし、FOMCでは特段のサプライズはなく、相場は方向感を示せずにいると、米四半期国内総生産(GDP)速報値の上振れや新規失業保険申請件数の改善を受けた米債利回りの上昇が相場の重石となった。そこに、日銀がイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正を議論する見通しとのリーク記事が流れ、ドル円相場の下落を受けてBTC対円は410万円を割り込んだ。
28日に行われた日銀政策決定会合では、リーク記事の通りYCCの修正が決定され、10年物国債利回りの上限を0.5%から1.0%まで許容する決定が下された。これを受けてドル円相場は乱高下を演じるもすぐに元の水準に戻し、BTC対円も連れて上下に振れたが、その後、6月の米個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが鈍化したことや、四半期の米雇用コストが低下したことを受けて反発し、410万円を回復した。
週末のBTC相場は概ね410万円台中盤で揉み合いに終始。今朝方には、カーブファイナンスからハッキングによる60億円を超える資金不正流出があったが、BTCはドル建てで29,000ドル水準となる410.6万円周辺で買い支えられている。

先週は日米欧中銀の金融政策決定会合があったが、BTC相場は方向感を示すに至らなかった。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、FOMC後の記者会見で次回9月会合でも金利を引き上げる可能性を否定しなかったが、利上げの有無はあくまでこの先の経済指標の内容次第とした。
そんななか、今週は米雇用統計ウィークとなっており、6月のJOLTs求人件数(8月1日)、7月のADP雇用レポート(2日)と労働省の雇用統計(4日)の発表が控えている。さらに、今週は全米供給管理協会(ISM)の7月製造業動向レポート(1日)とサービス業動向レポート(3日)の発表もあり、重要指標が目白押しとなっている。
市場では労働市場の拡大ペースの僅かな鈍化や賃金上昇ペースの鈍化が予想されている他、製造業購買担当者景気指数(PMI)は引き続き景気拡大と縮小の境となる50を下回る予想となっており、BTCは引き続き底堅い推移となるか。先週は29,500ドル水準(≒417.9万円)が相場のレジスタンスとなったが、同水準をクリアできれば30,000ドル(≒425万円)回復も視野に入る。
ただ、FF金利先物市場は9月利上げの可能性を依然として20%程しか織り込んでおらず、市場の予想と裏腹に米経済指標が強めに出れば、追加利上げ観測が台頭でリスクオフムードも強まることが想定される。BTCは29,000ドル水準で底堅く推移してきているが、指標の結果次第では同水準のサポートを割り込む可能性もあるため、今週は材料が出尽くすまで過度なリスクテークは控えるのが無難か。




PDFリンク
bitbank Report 2023/07/31:中銀ウィーク通過も方向感示せず 今週のBTCはどこに向かう?