BTC週足反落でチャネル下抜け 米つなぎ予算可決も債務上限解決せず
16日〜22日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比1,087,018円(6.79%)安の14,928,534円と反落した。
第2次トランプ政権での戦略的ビットコイン備蓄(SBR)実現への期待感から、先週のBTC円は強地合いで取引が始まり、17日には1665万円の史上最高値を記録した。
一方、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)への警戒感からその後は弱含みに推移すると、金利見通しの引き上げやパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のインフレに対する警戒感が嫌気され、相場は1500万円台中盤まで水準を下げた。
19日の東京時間には、揺り戻しで1600万円を一時回復するも、一連の米経済指標が景気の底堅さを示したことで、長期金利の上昇が相場の上値を圧迫。この日は米株式市場も引けにかけて軟化し、BTCは1500万円割れを窺う展開となった。さらに、20日の米個人消費支出(PCE)価格指数発表を前に警戒感から相場はさらに弱含み、海外時間に1400万円台中盤まで水準を下げた。
一方、米PCEは前年比で+2.3%から+2.4%に伸びが加速したものの、市場予想の+2.5%を下回り、前月比では総合とコアの双方で伸びが鈍化し、BTCは反発。翌21日には1560万円周辺まで水準を戻した。
ただ、直近2営業日で米国の現物ビットコインETFからは資金の順流出が続き、年末のポジション調整が嫌気されたからか、その後のBTCはジリ安に転じ、週足終値では1500万円の維持に失敗。ドル建てでは95,000ドル周辺で終値を付けた。
「BTC相場が90,000ドル周辺で着地するか、100,000ドル周辺で着地するか」が、20日の米PCE価格指数によって左右される可能性を指摘したが、結果は下振れたものの前年比では若干の加速となり、FRBのタカ派的なスタンスを覆すような内容ではなかったと言えよう。加えて、ドル建てのBTC相場は上昇チャネルの下限を週末に明確に割り込んでおり、テクニカル的にも調整入りが濃厚と指摘される(第2図)。
また、ETFへの資金フローをみてもわかる通り、先週は機関投資家によるクリスマス休暇前のポジション調整が入った可能性がある(第3図)。休暇に入る市場参加者が増えると商いが細ると指摘され、こうした状況では相場はジリジリと水準を下げやすく、今週のBTC相場は90,000ドル(≒1409.7万円)を目指す展開が視野に入る。
反対に、材料がなければ相場が大きく崩れる可能性も低いと指摘され、目先のBTC相場は調整しつつも下値は限定的か。デリビットのオプション市場でも90,000ドルストライクには建玉が積み上がっており、同水準周辺ではデルターショートの買い戻しで相場が下げ止まりやすいとみている。
他方、米議会は20日、来年3月半ばまでのつなぎ予算案を可決し、バイデン大統領が署名して成立に至った。これにより、来年1月1日に迫る債務上限適用停止期限での連邦政府のシャットダウン(閉鎖)を回避した訳だが、債務上限問題自体には決着がつかなかった。
債務上限の適用を改めて停止、もしくは上限を引き上げるまでの間、連邦政府は国債の発行が不可能となり、財務省が「Extraordinary Measures(エキストラオーディナリー・メジャーズ)」と称される非常手段を発動することによって財源を確保することとなる。
この「非常手段」には、連邦職員退職制度が米国債で運用する基金や、為替安定化基金、公務員退職・障害基金などへの投資延期があるが、これらによって予算を食い繋げる期間は極めて不透明であり、場合によっては数週間以内に連邦政府がデフォルトに陥る可能性もある。
ビットコインが誕生してから米連邦政府の閉鎖は2013年10月、2018年1月、2018年12月〜2019年1月と3回起きているが、2013年10月は相場上昇、2018年1月は一時的に上昇、2018年〜2019年にかけては横ばいと値動きはまちまちとなっている。最後2回の連邦政府閉鎖に関しては、BTC相場のバブルが弾けた年ともなっており、反対に2013年はバブルの真っ只中であったことから、「連邦政府の閉鎖=BTC買い」とは端的に結論付け難い。
ただ、米国での現物ビットコインETFの上場によって資産としての格が引き上がり、「デジタルゴールド」としての認識も広まる中で、米国の債務上限問題はビットコインへの市場の注目度を一層高めるとみており、連邦政府閉鎖やデフォルトの現実味が増せば、相場には追い風になると指摘される。
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bitbank Report 2024/12/23:BTC週足反落でチャネル下抜け 米つなぎ予算可決も債務上限解決せず