BTCはジャクソンホール通過で上昇 ETFフローも改善傾向か
19日〜25日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比596,406円(10.68%)高の9,258,500円と上昇した。
先週のBTC円は、ゴールドマンサックス(GS)が米国の景気後退入りの確率を25%から20%に引き下げたことや、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ着手の可能性が示唆されたことで、相場の下値は堅かったが、23日のジャクソンホール経済シンポジウムでのパウエルFRB議長の講演を控え、800万円台後半で方向感に欠ける展開が22日まで続いた。
一方、パウエルFRB議長はジャクソンホールでの講演で、「金融政策を調整する時が来た」と9月の利下げ着手に向けた明確なシグナルを発したことで、BTC円は900万円台の回復に成功した。その後、相場は65,000ドル水準(≒935.2万円)で失速すると、週末は概ね925万円周辺での揉み合いに終始した。
パウエル議長は9月の利下げを市場に意識させつつ、「経済は確りとしたペースで成長している」と景気後退への懸念も否定。これにより「景気のソフトランディング+利下げ」という理想的なシナリオへの道筋を示した。他方、昨今の労働市場の減速を示すデータについては、「これ以上の減速は求めないし望まれない」と警戒感を顕にする場面もあったが、「現状の政策金利の水準にはどのようなリスクにも対応できる余裕が十分にある」と自信を示した。
全体を通してパウエル議長からは景気や労働市場の想定以上の減速に対する懸念や、利下げが手遅れになるといった懸念も窺えず、利下げの幅やペースに関してもこれまでと変わらず「データ次第」というスタンスを保ち、市場に焦りを意識させない巧妙なコミュニケーションをとったように見えた。その上で、次回9月FOMCまでには7月の個人消費支出(PCE)価格指数、8月の雇用統計や消費者物価指数(CPI)といった重要指標の発表が控えており、安心し切るのは時期尚早と言えよう。
パウエル議長の講演からは、インフレに関してはFRBの目標である2%に向けて緩やかに沈静化しているという自信がこれまで以上に増した印象も窺え、どちらかと言えばこの先は消費、労働市場、それからPMIと言った全体的な景気感を示す指標の方が注目度が高くなりそうだ。今週は7月の耐久財受注(26日)、第二・四半期GDP成長率改定値、新規失業保険申請件数(29日)、7月のPCE価格指数と米ミシンガン大学の消費者信頼感指数(30日)など、注目度の高い経済指標が目白押しとなっているが、大幅に下振れた7月の雇用統計のようなサプライズがない限り、リスクオンムードが続くだろう。
また、ジャクソンホールでのパウエル議長講演を通過して、米国の現物ビットコインETFにはおよそ1ヵ月ぶりに2億ドル(≒287億円)を超える資金の純流入が確認された。8月はETFへの資金の出入りがまちまちとなっていたが、FRBの9月からの利下げがほぼ確実視されるなかでETFへの資金流入が復調するかにも注目したい。
PDFリンク
bitbank Report 2024/08/26:BTCはジャクソンホール通過で上昇 ETFフローも改善傾向か