BTCは1000万円割れから反発 マクロ・テクニカル・ネットワークで環境改善
22日〜28日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、一時1000万円を割り込み972.8万円まで下落するも、終値では前週比189,715円(1.77%)安の10,527,961円と下げ幅の大半を縮小した。
米政府によるBTC売却の思惑やMt.Goxから大口BTCの送金が確認され、先週のBTCは1070万円台から上値の重い展開で取引を始めると、23日には米国で現物イーサETFの取引開始に伴うイーサ(ETH)の事実売りや、外国為替市場でドル円相場が急落したことにより、25日には1000万円を割り込んだ。
一方、25日米時間に発表された第二・四半期のインフレ指標の低下や、この日から開催されたBitcoin 2024で米ニュージャージー州・ジャージーシティが年金基金でビットコインETFの購入プロセスを進めているとの報道を受け、相場は1000万円を回復、翌26日の東京時間には1030万円台に浮上した。
26日米時間に発表された6月の米個人消費支出(PCE)価格指数は、5月の+2.6%から+2.5%に低下し、市場では米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ開始観測が維持され、BTCは1050万円を試す展開で週末に入った。
27日には、米時間に予定されたトランプ氏の発言を控え相場は1078万円まで上昇するも、同氏の到着が遅れスケジュールが押すなか失速。結局、予定より2時間ほど遅れて登壇が始まり、市場の期待通りBTCの戦略的準備金としての採用や、米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長の解雇、さらには現在米政府が保有するBTCを売却しないことを約束したが、相場は事実売り気味に1025万円まで反落した。しかし、売り一巡後には相場は大きく揉み合う展開に転じ、週足終値にかけては1050万円を回復、本稿執筆時点では1060万円を回復している。
今週のBTC相場は、上値を試す展開が視野に入る。週末だったということもあり、Bitcoin 2024でのトランプ氏の発言に対する相場の反応はイマイチだったが、本日からは機関投資家も戻ってくる。先週の週明け以降は現物ビットコインETFへの資金流入がやや下火となったが、トランプ氏の発言を受けて流入が回復するかに注目したい。
また、今週は30日から31日にかけてFEBが連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。直近では第二・四半期のGDP成長率がやや上振れるなど、景気の底堅さを示すデータもある一方、インフレ関連指標については一貫して緩やかながら伸びの鈍化が確認される。米国の最新の消費者物価指数(CPI)は+3.0%、卸売物価指数(PPI)は+2.7%、PCE価格指数は+2.5%と、いずれもFRBが目標とする+2%まで低下しておらず、7月FOMCでも政策金利の据え置きが濃厚と言える一方、インフレ鈍化の進捗から声明文やパウエルFRB議長の記者会見では前回と比べてハト派的なトーンが強まる可能性が指摘され、BTC相場にはプラスとなろう。
他方、ビットコインのネットワークでは相場復調に伴ってハッシュレートも回復基調となっている。ハッシュレートの30日平均と60日平均で構成されるハッシュリボンでは先週、30日平均が60日平均を下から上抜くゴールデンクロスが出現し、買いシグナルが点灯した(第2図)。
その他、ドル建てBTC相場は3月から続く下降チャネルの上限の上抜けにも成功しており(第3図内紫線)、マクロ、ネットワーク、テクニカルの3方面で環境が改善していると言え、今週は確りとした推移が期待できるか。
第2表:アルトコイン概況 出所:bitbank.ccより作成
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bitbank Report 2024/07/29:BTCは1000万円割れから反発 マクロ・テクニカル・ネットワークで環境改善