BTCは半減期通過で小幅反発 今週は戻りを試すか?
15日〜21日のビットコイン(BTC)対円相場の週足は、一時9,210,000円まで下落するも、終値では前週比76,147円(0.75%)安の10,047,560円とほぼ変わらずだった。
19日の東京時間にイスラエルが対イラン空襲を開始したとの速報が転がり込んだことで、この日のBTC円は980万円台から急落する展開で取引を始めた。しかし、イスラエルの攻撃がイランの核施設を対象とせず、中部イスファハンの軍事基地への限定的な攻撃だったことが明らかとなったことや、ドル建てBTC相場が60,000ドル(≒927万円)を割ったことで大口の押し目買いが観測されたことで、BTC円は反発し、東京時間の終盤には下げ幅を奪回し、1000万円にタッチした。
相場はその後、節目の水準で失速するとジリ安に転じるも、20日の半減期を通過すると980万円台で下げ渋る展開に転じた。今回の半減期では、ブロック生成時間の大幅な遅延やハッシュレートの顕著な低下は確認されず、マイナーから取引所へのBTC送金もかなり限定的となっており、ネットワークの不安定化を避けられたことでBTC円はその後1000万円を回復。ただ、ドル建てで約65,000ドルとなる同水準では上げ渋り、足元では方向感に欠ける展開となっている。
今週のBTC円は徐々に戻りを試すか。中東情勢を巡っては引き続き事態のエスカレーションが懸念されているが、衛生写真で確認できる限りイスラエルの空襲はイスファハンの軍事施設の対空システムに対して2箇所のダメージが確認された程度で、対イラン空襲は小規模な作戦に終わった。この先はイラン側の報復も懸念されるが、19日の攻撃を受けたイランは今回の作戦におけるイスラエルの攻撃を躱わしたと主張しており、大規模な報復を行わない口実を作っているようにも窺える。また、イスラエルの攻撃が限定的となった背景には資金のスポンサーとなっている米国の影響が垣間見られ、双方とも目先では状況を静観する公算が高いか。
他方、上述の通り、週末に4回目の半減期を通過したビットコインのネットワークは安定しており、実需筋(マイナー)からの特段の売り圧力も確認されない。今回の半減期では、イベントに向けてマイナーがBTCの現金化を進めていた可能性が指摘され(第2図)、報酬の半減期に備えていた格好だ。採掘難易度の調整を2〜3回通過するまでネットワーク動向は引き続き注視するべきと見ているが、現状では安心感からある程度の買い戻しも期待できるだろう。
足元の相場は65,000ドル周辺で揉み合っているが、今週は昨年までの史上最高値の69,000ドル(≒1067万円)が上値目途と見ている。
一方、先週の米株式市場は2022年第四・四半期以来の最悪の週となっており、ITセクターを筆頭に強く売られた。切っ掛けはAI需要への期待感の後退があり、エヌビディアは19日に10%超の下落を記録した。
こうした中、今週はマイクロソフト、メタ、テスラ、ジェネラル・エレクトリックなどの決算発表を控えている。この中でも気がかりなのは火曜日に決算を発表するテスラだ。同社は週末に米国のモデルY、S、Xと自動運転車の値下げと、中国でのモデル3とYの値下げを発表した他、昨今では新型ピックアップトラックの「サイバートラック」のリコールが発表されるなど、決算内容が懸念される。
米株式市場の軟調地合いが続けばBTC相場には重石になると指摘され、相場の戻り余地を限定する可能性もあるだろう。