BTCは日、週、月足で過熱感 それでもまだ上昇余地はあるか?
2月26日〜3月3日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比1,700,593円(21.87%)高の9,476,543円と大幅に上昇し、ドル建てでは週足終値で63,000ドル(≒945.6万円)を回復した。
先週のBTC円は、700万円台後半で取引を始めると、米国の現物ビットコインETFへの資金フローの改善を好感し、上値を追う展開を演じ、2月29日には960万円にタッチ。一方、その後は高値警戒感から上値を重くし、900万円台前半での揉み合いに転じた。
ただ、テクニカル的な過熱感からも一旦は調整が視野に入ったが、3月1日に全米供給管理協会(ISM)が発表した2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想比で下振れると、BTC相場の下値は支えられた。
週末に入ると、アルトターン(BTC相場の上昇後にアルトコインに資金が流れる減少)が発生し、XRPやビットコインキャッシュ(BCH)相場が急伸。すると、3日海外時間からBTCも徐々に戻りを試し、950万円上抜けを試す展開となった。
BTCはドル建てで日足、週足、月足の相対力指数(RSI)が「買われ過ぎ」とされる70%を超えており、やはりテクニカル的にはいつ調整が起きてもおかしくない状況と言える。一方、先週は週後半にかけてETFへの資金フローが急減速し、3月2日には前日のネットフローが7営業日ぶりに純流出に傾いたが、結局、相場は底堅さを保った。
他方、1日のISM製造業動向レポートでは、PMI以外にも雇用や支払価格指数が下振れとなり、米債利回りは急低下を演じ、S&P500種とナスダック総合は史上最高値を更新した。こうした動きがあったにしては1日のBTCの値動きは控えめだったが、今週はISM非製造業PMI(5日)、パウエルFRB議長の議会証言と1月のJOLTs求人件数(6日)、欧州中央銀行(ECB)の政策決定会合(7日)、2月の米雇用統計(8日)など、重要なイベントと指標が目白押しの1週間となっており、相場が動く切っ掛けには困らないだろう。
翻って、ビットコインのブロックチェーン上では、BTCの保有期間が半年未満の短期筋(Short Term Holder:STH)のアドレスの中で、含み益を抱えるアドレス数が300万に近づいている。含み益のSTH数が250万を超えてくると(第2図内紫帯)、大体の場合は利益確定の売りで相場が調整となりやすいが、例外として半減期後の相場上昇局面ではこの数値が300万を大きく超えてきている。つまり、現状では次の半減期まであと1カ月ほどあるが、足元のBTC相場は本格的なブルマーケット突入か調整かの瀬戸際にあると言える。
これまで、半減期後に含み益のSTH数が増えてきた背景には、相場がそれまでの史上最高値(ATH)を試し、上抜けに成功するという2点がトリガーになってきたと見受けられるが、現状のBTC相場は半減期を直前に既にドル建てで前回のATH(69,000ドル≒1,035.6万円)を射程圏内に入れている。加えて、米国の現物ビットコインETFに機関投資家からの資金流入が確認されたことで、個人投資家の参入も復調し始めており、状況としては新規の資金流入によって依然として含み益STH数に伸び代があると言えるか。
いつ調整が入ってもおかしくないタイミングで強気になるのは慎重さを要するが、先週後半のBTC相場の底堅さに鑑みれば、短期的な目線の調整も必要だろう。また、先週のような相場上昇が4月の半減期まで続くとは考えていないが、「半減期直前にATHは更新しない」という今までのビットコインの通説が崩れる可能性も考慮するべきだろう。
今週のBTCは上値を試す展開をメインシナリオに想定しているが、先物市場が相当にロングに傾いていることから、相場が想定外に反落すれば、ロングの投げを伴って急落するリスクも孕んでいると言え、特に短期的なトレードではリスク管理をしっかりとしておきたい。
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bitbank Report 2024/03/04:BTCは日、週、月足で過熱感 それでもまだ上昇余地はあるか?