BTCは米雇用統計上振れでも反発 このまま安心して良いのか?
1月29日〜2月4日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比106,854円(1.72%)高の6,332,549円と2週続伸した。
2月1日未明の米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過して、640万円から620万円近辺まで押したBTC円だったが、この日の米国時間にはNYコミュニティ・バンコープの赤字決算と減配による米中堅銀行の運営懸念や、米新規失業保険申請件数の増加を受けた米最利回りの低下を味方に630万円を回復した。
翌2日発表された1月の米雇用統計では、月間の非農業部門雇用者数が市場予想の+18万人に対して+35.3万人と大幅に上振れたことに加え、平均賃金も前月比と前年比の双方で市場予想を上回り、米債利回りが急反発した。これを受けてBTC円も一時は弱含む仕草を見せたが、ドル円相場の急伸に伴って相場は下支えられると、メタとアマゾンの好決算を受けた米株の上昇に連れ高となり、俄かに640万円を回復した。
一方、週末のBTC円は失速し、概ねジリ安基調が続いた。週足終値にかけては、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物の取引開始に向けてやや下げ足を速め、終値で630万円台は回復したが、640万円の維持には失敗した。
1月の米雇用統計は非常に強い内容となり、市場には衝撃が走った。雇用者数の大幅な増加もサプライズではあったが、前月比の平均賃金は市場予想の倍の加速(予想+0.3%→結果+0.6%)となった。1日のFOMCの声明には、「インフレが目標の2%に向かって継続的に低下している確信が持てない限り、利下げは適切ではない」という文言が追加されたばかりだったこともあり、インフレ沈静化に向けた進捗に暗雲が立ち込める結果となった。
一方、雇用統計では幅広いセクターで雇用の拡大が示された他、メタとアマゾンの好決算も相まって経済の堅調さが2日の米株式市場の支援となり、BTC円も上昇した。ただ、これはドル円相場の上昇に伴う結果とも言え、2日のドル建てBTC相場は底堅くも上値が重かった点には注意したい。米債利回りの急上昇は基本的に金利を生まないコモディティにとっては上値圧迫材料となり、金(ゴールド)相場は2日に反落している。BTCは米IT株との相関が予てから意識されていただけに底堅さを発揮できたと分析しているが、株高と米国債安が続けば、BTC円は円安に伴いジリ高が想定されるが、BTCドルは方向感を示しにくい状況となろう。
足元では、米2年債はダブルボトムのネックラインまで戻しており、短期的には上昇一服となるか。今週は、全米供給管理協会(ISM)が発表する1月分のサービス業PMI(今夜12:00)を通過すれば目星い米国の経済指標は少なく、BTCは手掛かり難で揉み合いとなりそうだ。
今週の相場の下値目途としては、ボンリンジャーバンドの-2σや100日移動平均線の密集する心理的節目の4,0000ドル(≒593.5万円)周辺を見ており、上値目途としては節目の44,000ドル(≒653万円)を想定している。
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bitbank Report 2024/02/05:BTCは米雇用統計上振れでも反発 このまま安心して良いのか?