BTCドルは5週続伸 今週こそ3.8万ドル上抜けとなるか
13日〜19日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比12,584円(0.22%)安の5,612,417円と小幅に下げ、週足連騰記録は4で打ち止めとなった。一方、ドル建てBTC相場の週足は小幅に上昇し、5週続伸となった。
16日にドル建てBTC相場が38,000ドル(≒568.1万円)にタッチすると、利益確定の売りが優勢となり、BTC円は560万円、550万円と節目の水準を次々に割り込んだが、17日には540万円周辺で下げ止まった。この日の米時間には、一部の米連邦準備理事会(FRB)高官らがインフレ沈静化にやや懐疑的な姿勢を見せたことで、BTCは上値を重くする場面もあったが、米証券取引委員会(SEC)がハッシュデックスのイーサ(ETH)上場投資信託の判断を延期すると、ETH相場が上昇し、BTCも連れ高となり、底堅い推移となった。
米国ではETHの証券性を巡る議論に方が付き切っていないが、SECがETFの審査を進めているという事実が好感された格好か。
ボラティリティの落ち着きやすい週末のBTCは550万円近辺を背に揉み合いが続いたが、今朝方にはアルゼンチンの大統領選挙で中央銀行制度反対派でBTC推進派のハビエル・ミレイ氏が勝利を納めたことで、BTCに祝賀買いが入り、週足終値は560万円を回復した。
ミレイ氏がアルゼンチンの大統領になったことで、アメリカ大陸では2人目のビットコインを支持する国の頭首が誕生した。ミレイ氏はビットコインの法定通貨化を公約には掲げてなく、足元のBTCの祝賀買いも持続力はそれほどないと見ているが、2021年にはエルサルバドルでビットコインが法定通となり、2022年にはブラジルでビットコインが支払い手段として法的に認められた背景もあり、中南米と南米でのビットコインの実用化の流れにアルゼンチンも追随するか大いに注目される。
他方、SECは18日、フランクリン・テンプルトンとグローバルXの現物型ビットコインETFの判断を延期したが、市場では織り込み済みだったからか反応は薄かった。16日にはハッシュデックスのビットコインETFが判断延期されたことで、ETFの早期承認期待が剥落する様子も窺えたが、失望売りも一巡したと言えよう。SECによる次の判断は来年1月となっており(第1表)、暫くビットコインETFを巡る材料は出尽くしとなった格好だが、クリスマスにかけてはヴァンエックとアークのイーサETFの第2位審査期限も控えており、年末にかけて再び承認期待が復活すると見ている。
さて、今週は22日午前4時に10月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公開される予定となっており、12月のFOMC会合や今後のFRBの政策動向の手掛かりを掴めるか注目される。11月FOMCを巡っては、当方では当初パウエルFRB議長から市場の利上げ終了観測を牽制する発言があると想定していたが、結果的にFRBは国債利回りの急速な上昇による金融情勢の逼迫化を背景に追加利上げに対して慎重な姿勢を強めた。パウエル議長は会合後の記者会見で、追加利上げの可能性について言及するも、現状の金融政策が十分に景気抑制的な水準に達し始めていることを示し、12月会合については何も決まっていないと明かした。
よって、今週のFOMC議事要旨では、追加利上げに慎重な会合参加者が増えたことが示されると想定される一方、12月の会合については具体的な手掛かりに乏しい内容となることが推測される。ただ、前回のFOMC後に発表された雇用統計、消費者物価指数(CPI)、サービス業PMI、小売売上高などは、直近では利上げ打ち止めを正当化する内容と言え、データ次第で12月も利上げを見送ることが議事要旨で示唆されれば、BTCにとっては支援材料となろう。
テクニカルの側面では、BTCは相対力指数(RSI)が「買われ過ぎ」水準とされる70%を割り、13日から14日の相場下落に伴いRSIのダイバージェンスも一旦は解消された。トレンド指標では移動平均線のパーフェクトオーダーと一目均衡表の三役好転が維持され、引き続き地合いの強さが示されており、今週も38,000ドル水準を試す展開が視野に入る。
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bitbank Report 2023/11/20:BTCドルは5週続伸 今週こそ3.8万ドル上抜けとなるか