明確なリスクオフでもBTCは確り ドル建てで年初来高値目指すか
16日〜22日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比417,117円(10.26%)高の4,482,000円と大幅に反発し、年初来高値(453.7万円)近傍まで戻した。
フィデリティとブラックロックがそれぞれの現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)申請に修正を加える中、グレイスケールがビットコイン投資信託(GBTC)のETFへの転換申請を米証券取引委員会(SEC)に再申請したことを背景に、先週のBTC相場は米国において初となる現物型ビットコインETFの承認への期待感が膨らみ、20日には430万円周辺から440万円台に乗せた。
この日はその後、イスラム組織ハマスとイスラエルの紛争激化への懸念から米株式市場が大幅安となり、BTCは440万円台で上値を重くしたが、相場は440万円で買い支えられた。
週末のBTC相場は30,000ドル水準となる449.6万円を回復する場面もあったが、同水準周辺で上げ渋る展開となった。ドル建てでは、コインベースでは週足終値で30,000ドルを回復しているが、クラーケンなどの一部取引所では同水準を僅かに下回って1週間の取引を終えている。
20日の米国市場は、米債利回りが低下し金(ゴールド)価格が上昇する中で株が売られており、明確なリスクオフムードとなったが、BTCは底堅く推移し、東京時間から欧州時間の上げ幅を維持した。ただ足元では、米10年債利回りと2年最利回りの逆転(逆イールド)が急速に縮小している。逆イールドの解消は景気後退や株式市場のクラッシュの前兆としても意識され、一部では1987年10月19日の「ブラック・マンデー」の再来を危惧する声も散見される。
昨今では、BTCは米株を含め米債利回りや金との相関/逆相関が弱まり、「無相関アセット」とはなっているが、株式市場のクラッシュが起きれば追証や損失補填によるキャッシュ需要の増加でBTCは売られる傾向があるため、目先の米国市場の動きには十分に注意しておきたい。
一方、グレイスケールとの裁判に敗訴し、控訴もしなかったSECだが、裁判所の次の動きとしては本件について近日中にSECに何かしらの指示を出すか、指示をせず単純に訴訟を終わらせるの二択となっており、GBTCのETF転換を前進させる指示が出れば、BTCにとっては支援材料となろう。
また、足元ではBTCの相場上昇に遅れをとっていたアルトコインが物色されており、循環の流れでBTC相場ももう一段ほど上昇余地があるか。
ただ、BTCの相対力指数(RSI)は既に「買われ過ぎ」水準とされる70%を超えており、過熱感も確認される。よって、BTCはドル建てで年初来高値の31,736ドル(≒475.7万円)を更新する前に一旦調整が入る可能性が高いだろう。
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bitbank Report 2023/10/23:明確なリスクオフでもBTCは確り ドル建てで年初来高値目指すか